『かなり』

干支に入れてよ猫

【スポンサーリンク】

山での体験

どうも、坂津です。

今日は山の日ということで、むかし山で体験した不思議な話をひとつ。

 

高校生の頃、炎激部えんげきぶ練習あそびで毎日のように山に登っていました。

まぁ山と言っても正直なところ丘程度なのですが、しかしたくさんの木が生い茂っている雑木林の中の獣道を抜けて登るのは一苦労です。

ドラえもんに出てくるのび太たちの学校の裏山って感じですかね。

で、なんで山に登るのかって言うと、頂上付近にぽっかりと開けた空き地があるんです。

ちょうどサッカーコート1面分くらいの広さの空き地で、ご丁寧に芝生が生えていたりするんです。

そこで運動サッカーして発声練習もちょっとして、山を降りて芝居の稽古をするというルーティーンでした。

 

あ、サバゲとかもやってましたね。

www.kana-ri.com

 

さて、その日もいつものように私は山に登りました。

部室に行くと既に数人分のカバンが置いてあるのに、誰も居ない状態でしたので、きっとみんな山に居るんだろうと思ったので。

いつもの獣道をいつものように駆け上がり、いつもの木を左に曲がっていつもの岩を乗り越えて、その先に、いつものじゃない物を発見しました。

白い布切れです。

木の茶色と緑、地面のコゲ茶色、岩の灰色くらいしか色の無い視界に、突如として真っ白い物が入り込んできたのです。

 

近付いてまじまじと見詰めるまでもなく、それはパンティでした。

f:id:sakatsu_kana:20180810210639j:plain

私が漫画の登場人物だったなら頭上にはてなマークがたくさん並んでいたでしょう。

なぜこんなところにこんなものが?

 

私はパンティのすぐ横にしゃがみ込み、まじまじと観察しました。

土などで汚れた形跡は無く、雨に打たれた感じもありません。

ついさっきこの地面にファサッと落ちたような感じです。

そして見るからに使用感が無く、まっさらおろしたてと言った感じです。

 

特に風が強い日ということもありませんでしたが、私は『どこかから洗濯物が飛ばされてきた』という結論で無理やり自分を納得させ、先へ進みました。

 

すると。

 

「マジかッ!!」

 

先輩の声が聞こえます。

 

「なぜ拾わんのだッ!」

 

同級生の声も聞こえました。

 

なるほど。

これはドッキリ的なやつだったようです。

話を聞けば、先輩がゲーセンの景品として獲得したパンティだそうで。

その先輩が悪戯心でこの道にパンティを仕掛け、通った奴がどんな反応をするか見ていたんだそうです。

で、拾うやつや気付かない奴、色んなパターンがありながら一人ずつ増えていったんだそうです。

今度は私も隠れて、次に来る奴がどうするのかを見守る番です。

部員はあと2人。

どちらも後輩ですが、どんな対応になるのか楽しみです。

 

が。

 

私たちは大変なことを失念していました。

この獣道を使って上の広場に行くのは私たちだけではありません。

他の部の奴らもちょくちょく使っているのです。

で、ごくごく限られた人数でしたが、教員の中にも私たち学生が山の広場に行っているのを知っている人が居ました。

 

次にパンティトラップを通りかかったのは、そんな教員の一人でした。

ワンダーフォーゲル部の顧問です。

あだ名はプリンちゃん。

 

私たちは焦りました。

まさかプリンちゃんがこんなところにこんなタイミングで来るなんて思ってもいませんでした。

恐らくは上の広場に居るであろう生徒の誰かを呼びに来たのだと思います。

なんて間の悪い。

しかし同時に、私たちは昂りました。

教師が、パンティを前に、一体どんな姿を晒すのか。

 

高鳴る鼓動。

抑えきれない好奇心。

さぁ魅せてくれプリンちゃん!

 

ここで、私の記憶は途切れているんです。

何がどうなったのか、プリンちゃんがパンティをどうしたのか、全く記憶に無いんです。

そして何が不思議かって、炎激部えんげきぶの全員が私と同様に、記憶を無くしているのです。

どんなに思い出そうとしても、山を降りて部室に居るところからしか思い出せないのです。

 

あのとき何があったのか。

プリンちゃんはどうしたのか。

なぜ皆同様にその時の記憶だけが無いのか。

謎は謎のまま、今でも解明されていません。