どうも、坂津です。
私はバナナが好きではありません。
それは、難しいから。
加工されている食品であれば、基本的には賞味期限が記載されています。
ですから期限内であれば安心して食べられますし、期限が超過していれば良心の呵責を感じずに廃棄することができます。
しかし、バナナには賞味期限が書かれていません。
もちろんバナナ以外の青果物にも期限の記載はありませんが、バナナ以外は見た目で判断できるから良いのです。
不自然に柔らかくなってたり色が変わってたりしたらもう廃棄です。
でも、バナナは違います。
いや、私個人としては違わないのですが、ほら、居るじゃないですか、こういうこと言う人が。
『バナナは黒くなってからが本番』
みたいな意味不明なことを。
こういう主張を繰り広げる人が存在するから、バナナは難しいんです。
この世に私一人しか居ないのであれば、バナナの表皮に茶色の斑点が発生した時点で即刻廃棄です。
しかしその斑点が熟成のサインであり食べごろの合図であり美味さのしるしであると告げる人が存在し、彼らの信仰が真実であるとするならば、私の判断は間違いということになり、廃棄は正されるべき行為ということになってしまうのです。
こんなにも難解な食べ物が他にあるでしょうか。
こんなにも悩ましい思いをせねばならないのなら、私はいっそバナナを食べない。
そう、食べない。
選択しない。
選択肢にすら入れない。
そうすれば、バナナに関する問題は解決できないまでも、私がその超難問に直面することは無い。
そう思って生きてきたのです。
それなのに。
息子はバナナが大好物。
もうバナナしか食べないと言っても過言・・・いやちょっと過言だけど、とにかくバナナが大好きなのです。
どんなに不機嫌でも「バナナ食べる?」という殺し文句ですぐにゴキゲン。
寝起きで着替えを嫌がってるときでも口の中にバナナを放り込めば一瞬にして大人しく着替えさせてくれるのです。
つまり私は、バナナを避けて生きることができなくなってしまったのです。
私「なぁ、私にバナナを教えてくれないか?」
妻「おん?どした?ついに頭がイカれたか?」
私「いや至って正常だよ。正常だからこそだ」
妻「バナナを教え?どういうことだってばよ」
私「バナナには賞味期限が書かれてないだろ」
妻「黄色い皮に焼き印でも入れとけってか?」
私「そうしてくれるんならどれほど有難いか」
妻「そんなことしなくても大体分かるじゃん」
私「分からないから困ってるんだ教えてくれ」
妻「しょうがない。それでは教えて進ぜよう」
私「あ、ありがとうございますバナナ師匠!」
妻「まずバナナを手に取るのだ。怖くないよ」
私「(恐る恐る)こ、こうですか(ひょい)」
妻「そして四方八方から舐め回すように観賞」
私「えっ、はい?こうですか?(くるくる)」
妻「で感想を述べる。このバナナはどうだ?」
私「買ってきたばかりで新しいと思いますが」
妻「うむ。正解だ。ではこちらのバナナは?」
私「確か4日前のやつで、皮はもうまっくろ」
妻「そうだな。このバナナを見てどう思う?」
私「正直言うと手に触れるのも嫌な感じです」
妻「ではこれは食べれないということだな?」
私「いや、でもそれは私個人の価値観でして」
妻「黙らっしゃい!私はお前に聞いてるの!」
私「はっ、はい!私は食べたくありません!」
妻「よかろう。ではこのバナナは廃棄とする」
私「えぇ?良いんですか?人によってはまだ」
妻「よく言うだろ。よそはよそ。うちはうち」
私「その格言、バナナも該当するんですか?」
妻「当たり前だ。ほぼ全てに通用する至言だ」
私「目から鱗ですありがとうバナナ師匠!!」
というわけで、バナナの期限については私が外見で判断しても良いということになりました。
もうこれでバナナなんて怖くないね!