『かなり』

干支に入れてよ猫

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川の底で拾った石

どうも、坂津です。

急にふと思い出したのですが、子供のころにめっちゃ大きなアメジストを拾ったことがあります。

近所の用水路でフナを乱獲しつくした私は少し遠出してそこそこ大きな河川へ行きました。

そして改造しまくった巨大な魚捕り網で川底をえぐるように掬っていたときのこと。

その川で捕れる魚種はフナ、ブラックバス、うなぎ、ドジョウ、サヨリブルーギル、たなご、ハヤくらいでした。

あとザリガニと小さいカニ

そんな五目漁の獲物の中に、件のアメジストが混じっていたのです。

子供の握りこぶしより一回りほど大きかったそれは、8cm四方くらいのサイズでした。

見付けたときはそれがアメジストだということは分からず、何か紫で透明の綺麗な石だという認識でした。

 

それがスモーキーアメジストの塊で、相場で2,000~3,000円程度のシロモノだということが今なら分かります。

しかし子供の私にはそんなリアル情報は無意味であり、ただ目の前の『川底から出てきた綺麗な石』という現実に酔いしれても仕方ないことでしょう。

私は捕獲した魚たちを川へ解き放ち、意気揚々とアメジスト塊を持ち帰ったのでした。

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イメージ的にはこんな感じ。

 

が、しかし。

いざ家に帰ってから再度アメジストを見ると、出逢ったとき(丘でビチビチ跳ねる魚に混じって転がってたとき)と比べてとても曇っているように見えました。

紫感とか透明感とか、もっとあった気がするのに。

そう思いつつ、魚と一緒に拾った生臭さを落とすために水道で洗おうとしたとき。

表面を濡らすと、また最初のキラキラ感が取り戻されたのです。

私は子供ながらに「なるほど、こいつは水の中に居ないとダメなやつなんだな」と直感しました。

そして家の中で常に水がある場所として思い浮かんだのは金魚の水槽であり、私は躊躇なくアメジストを水槽に沈めました。

 

それから、私は学校や遊びに外出して帰宅する度に水槽の中を確認し、アメジストにただいまを言うようになっていました。

理由は分かりませんが、なんか大事にしてる感が欲しかったのでしょう。

んでしばらく経ったある日のこと。

宝くじの当選番号を確認していた父が素っ頓狂な声を上げました。

なんと、手元のくじに印刷された数列と、新聞に記載されている一等の数列が、一致するのだと。

しかし直後に落胆の声が。

どうやら組違いということらしく、当選金は10万円。

 

その翌日。

いつものように水槽を覗いた私は驚きます。

アメジストが、無い。

父に聞いても母に聞いても「なにそれ知らんけど」です。

念のため妹にも聞きましたがさっぱりでした。

金魚が食べるわけもなく、石が水に溶けるはずもなく、まして勝手に出て行くわけもなく。

今でもこのアメジストの消失は謎のままです。

出来事を時系列に並べると、アメジストの何らかの影響で宝くじが当たったんじゃないかと類推できるだけで、本当のところは何も分からないのです。

 

ただひとつ言えるのは、アメジストには幸運や金運を呼ぶような言われは無いということ。

石言葉も「真実の愛」とか「誠実」とかだし。

本当に、何だったんだろう。