『かなり』

干支に入れてよ猫

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会議の準備

どうも、坂津です。

 

会社での会議。

意見が真っ二つに分かれていました。

昔からお付き合いのあるお客様と、今後も取引をしていくか否かという議論。

一方は『即取引停止派』で、もう一方は『様子見保留派』です。

 

そのお客様には本当にお世話になっていて、売上構成比もそこそこ高めなのですが、如何せん取引歴が長いので旧体制からの変更が受け入れらません。

例えば発注や見積り依頼などは極力メールで送って頂くよう、全お客様にお願いしているのですが、そのお客様は基本的に電話で口頭、もしくはたまにFAXという状態です。

また値段についても、旧価格のまま値上げ交渉もままならない状態でした。

要するに売上高は多いものの、利益率は低く、さらにそのお客様に関連する業務コストが高いという状態なのです。

 

即取引停止派は、そのお客様を切ることで会社全体の業務効率が上がり、結果的に手が空いたスタッフが他の仕事をできるので売上も減らないという考え方です。

様子見保留派は、そのお客様との関係があるからこそウチと付き合ってくれている他のお客様への影響も考えて、もうしばらく現状維持しようという考え方です。

 

保留「停止したら売上が減るんだぞ」

停止「売上減少は一時的なものです」

保留「それは根拠も担保も無い案だ」

停止「無駄な業務が発生しています」

保留「それらが売上に繋がっている」

停止「でも残る利益が少なすぎます」

保留「それは先方と協議して改善を」

停止「そう言いつつもう何年ですか」

保留「長い付き合いなんだ仕方ない」

 

議論は平行線のまま。

私はここで切り札を使いました。

この会議に臨む前に、ある資料を作成していたのです。

それは、そのお客様関連で発生する業務にかかる延時間を計測したもの。

本来であれば百社以上との取引をしている中で1社だけに掛かる処理時間を抽出するなど、それを記録するスタッフにとってみれば嫌で嫌で仕方のない作業でしょう。

電話応対の回数と通話時間、FAXの枚数とその内容などなど、細かく全部記録するのです。

私はそれをやってもらい、明確な数値として資料を作成することができました。

今までは『なんとなく業務が多い』『なんとなく営業利益が少ない』という感覚的なものが議論のベースになっていましたが、ハッキリと数字で表せば会議は次のステージに進むことができます。

 

結果的に、業務に要している人的コストも含めれば、このお客様単体で見た場合は完全に赤字であることが判明したのです。

ちなみに私は即取引停止派として会議に参加していました。

 

坂津「これでも取引継続しますか?」

停止「これじゃさすがに無理でしょ」

保留「ぐぅ・・・いや、でも・・・」

停止「でもじゃないでしょう、ねぇ」

保留「し、社長!良いんですか!?」

社長「ん~・・・難しいよね・・・」

停止「難しくないです!単純明快!」

停止「取引停止!それで解決です!」

停止「従業員の残業も減りますよ!」

停止「会社として利益率も上がる!」

社長「だよね~・・・んん~・・・」

停止「悩む余地なんてありません!」

社長「でも昔からお世話になってて」

停止「情で飯は食えませんからね!」

坂津「あー、ひとつ良いですかね?」

 

私は奥の手を出すタイミングを見計らっていました。

切り札のあとにもう一つ奥の手を隠し持っていたのです。

それは、事務スタッフを増員するという提案。

一見すると人件費が余計にかかってしまいそうですが、これを実行すると問題のお客様用に専任を置くことができ、他の人員にも余裕が生まれ、結果的にみんなが定時に帰れるという試算ができました。

問題のお客様に専任スタッフを置くことができればその他の業務効率は飛躍的に上がります。

そうすれば全体的に処理できる業務量が増えるので、今より売上が増えて事務作業が増えても対応できますし、従来の残業代を増員に充てることになるので人件費の増加はそこまで大きくありません。

 

坂津「いかがでしょう?これで従業員の残業も減り業務効率も上がり大切なお客様との関係も切らずに済みます。また残業が減ることで従業員満足(ES)が向上し、それがひいては業務品質の向上にもつながると考えます。時間に余裕ができれば目の前のことだけでなく将来のことについても考えることになり、目的や目標を持って業務に当たる従業員も増えるのではないでしょうか。そうすれば仕事に対する意識も変わり、結果的に会社全体の士気が上がることにも繋がると思います。現状ではこれが最善策と思いますが、社長?」

社長「それだ!!!!」

 

 

坂津「てワケで、増員のOK出たよ」

部下「ありがとうございますっ!!」

坂津「こちらこそ、集計ありがとう」

部下「正直めんどうでしたけどねw」

坂津「資料のお陰で説得できたんだ」

部下「なら苦労した甲斐があります」

 

お客様との取引を停止するか継続するかを話し合う会議に、スタッフの増員を最終目的として乗り込む奴なんて、そうそう居ませんよね。

私にとっては停止しようが継続しようが、従業員が働きやすいのが最重要なんです。