『かなり』

干支に入れてよ猫

【スポンサーリンク】

薬剤師さんって変わった人が多い?

どうも、坂津です。

ここ数年、まともに健康を害したことが無かったので、院外処方という制度についてすっかり失念しておりました。

診察を受けた病院でそのまま薬が貰えないという不便さを痛感しました。

まぁ医薬分業は、目先のメリットよりも可能性としてのリスク回避を優先する先進国の慣わしですから、異を唱えるつもりもありません。

ただ単純に『面倒だな』っていう、ね。

 

数ヶ月前から背中に『ポコッ』とデキモノがあったんですよ。

いや、もっと前か。

年単位かも?

触ったら中にピーナッツくらいの大きさのコリコリした固いものがある感じで、でも別に痛くも痒くも無かったのです。

それが、ここ最近でなんだかちょっとずつ違和感がありまして、1週間くらいで痛みを感じるようになってきました。

背中なので通常は見ることも無いのですが、ちょっと本格的な痛みになってきたので、気になって鏡で確認してみました。

見るんじゃ無かったと後悔してしまうほど、デキモノは変わり果てた姿になっていました。

 

まず大きさが、ピーナッツくらいだったのが眼球くらいになっていました。

そして触った感じが、固かったのが生肉にように柔らかくなっていました。

それから色が、他の部分と同じ肌色がアザのように紫色になっていました。

 

これはもう病院に行くしかないと肝を決めていざ皮膚科に。

受付で初診であることを告げ、問診票に必要事項を記入。

しばし待ってから診察室に通され、症状をヒアリング。

 

「数ヶ月前から背中にポコッと膨らんでいる部分があり、ここ数日で急にそこが大きくなって変色して痛みを伴うようになりまして」

 

じゃあ上着を脱いで見せてごらんなさい、からの、患部をチラ見。

触ることも無く、ほんの一瞬の診察。

いやもう観察か視察か。

 

先生曰く『毛穴にバイキンが入って化膿してるんでしょう。薬を出しておきます』だそうです。

こうして秒単位の診察を終えた私は支払いの際に『一瞬だけ背中を見られてこの金額かよ』と思うよりも先に『えぇ~薬はここでくれないの~?薬局行くとかめんどくさい~』と思ってしまいました。

しぶしぶながら処方箋を受け取り、仕方なく薬局へ向かいます。

 

処方箋薬局の待合室は、病院のそれよりも混雑していました。

薬を貰いに来る人がこんなに多いとは。

それに、また同じように問診表みたいなのを書かねばならんとは。

 

そしてようやく名前を呼ばれ、やっと薬を貰えると思ったそのとき、薬剤師さんの独演会が始まったのです。

 

他の調剤薬局がどうなってるのか分かりませんが、私が行ったそこは薬を渡すカウンターに4席くらいの椅子があって、それぞれの席はパーテーションで仕切られていました。

服薬内容も個人情報だしプライバシーってことでの配慮でしょうか?

だったら待合室でフルネームを大声で呼ぶ仕組みもどうかと思うので整理番号を配布するようにしてくださいお願いします。

 

さて、私に薬をくれる薬剤師さんはちょっと年配の、おじいさん一歩手前という感じの先生でした。

さっき私が書いた問診表を見ながら、項目を上から確認していきます。

 

薬「今までにお薬を飲んで副作用とかは?」

私「ありません(そこに書いてるよね?)」

薬「現在服用中のお薬があったりします?」

私「ありません(そこに書いてるよね?)」

薬「ジェネリック薬の使用に抵抗はある?」

私「ありません(そこに書いてるよね?)」

薬「今回お渡しするお薬の詳しい説明は?」

私「いりません(そこに書いてるよね?)」

 

すべての項目の『いいえ』にちゃんとマルをしているというのに、なぜ全問を繰り返すのでしょうか。

まぁ念には念をという考え方は嫌いじゃ無いので別に構いませんケド。

 

薬「ではお渡しするお薬の説明をしますね」

私「(…説明不要ってさっき言ったのに)」

薬「これは抗菌の薬で、こっちが痛み止め」

私「(うんそう書いてあるね大きな字で)」

薬「これが塗り薬なんですけど、患部は?」

私「(それって必要な質問か?)背中です」

薬「え!?手が届きますか?塗れますか?」

 

薬剤師さんは驚くほど心配そうに、私に憐憫の視線を浴びせてきました。

もともとシワだらけの顔をより一層シワだらけにして。

しかしご心配には及びません。

私は背中に回した両手で指が組めるほどには柔らかいので、自分の身体で自分の手が届かない場所など無いのです。

 

私「余裕で届きますから問題ありませんよ」

薬「まだお若いからですよ。私なんてもう」

私「(急に寂し気な表情で語り出した!)」

薬「この頃はできないことが増えました…」

私「(な、何て答えるのが正解なんだ…)」

 

ひとしきり遠い目をした先生は、ハッと我に返ると照れ笑いをしました。

なにこの時間。

なにこの空気。

私はさっさと薬を貰って帰りたい一心でした。

なにせ平日の仕事終わりで、そろそろこの薬局も閉まる時間ですし。

 

私「いざ手が届かなかったら妻に頼みます」

薬「ほほう。良いですなぁ優しい奥さんで」

私「(しまったこれは地雷だったのか?)」

薬「趣味に没頭するあまり気付けばこの歳」

私「(それは趣味について聞けって顔?)」

 

私が無言を通したため、ちょっと不服そうな表情をしつつ、先生は薬を渡してくれました。

おじいちゃんの話を聞かないと薬が貰えないシステムなの?

 

よくよく考えると、その昔ドラッグストア勤務だった頃、多くの薬剤師さんと接する機会がありました。

彼ら彼女らは、確かに個性的で、なんというか、ちょっとした異世界感を醸していたように思います。

周囲に同調し協調し輪に溶け込む能力はしっかり持っているのに、頑なに曲げない確固たる価値観を持っているような、そんな人達だったように思います。

正直、そういう人と話をするのは嫌いじゃありません。

 

次に通院するのは休日なので、今度はしっかりゆっくり話を聞いてみようと思います。