『かなり』

干支に入れてよ猫

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【閲覧注意】身の毛もよだつ怖い話

どうも、坂津です。

年齢を重ねるごとにどんどん機会が減っているのですが、割と「あ、これって心霊体験かな?」という事象に遭遇する人生です。

社会人になってからはずいぶんとご無沙汰してたのですが、久しぶりに怖かったので書き残しておこうと思います。

 

私の耐性が落ちているだけなのかもしれませんが、過去イチで怖かったです。

 

上記のエントリとは比べ物にならない程の怖さですので、怖い話が苦手な方は決して読まないようにしてください。

 

 

 

いつものように残業をしていました。

どんどん退社していく社員たち。

 

「お疲れ様です。お先に失礼します」

「はいお疲れさま」

 

最終的に私だけが事務所に残りました。

だいたい週1~2日くらいはこんな感じです。

 

最後に事務所を出る人は、全窓全扉の戸締りを確認し、エアコンや照明などが切られているかを確認し、最終的に警備システムを起動してから帰ります。

特に戸締りですが、これを疎かにしたまま警備システムを起動しようとしても、できないんですよね。

『開いている場所があります』みたいなエラーが出て。

なので最初に戸締りを確認しとかないと、靴を履いて外に出たのにまた事務所に入って開いてる場所を施錠しに行かなきゃならないので二度手間になるんです。

 

「あ~れぇは~誰っだ~ だ~れ~だ~ 俺だぁ~♪」


炎の転校生 OP

 

事務所で一人になるとどうしてもお気に入りの歌を口ずさんでしまいます。

こうやってモチベーションを維持しながら頑張るんです。

 

で、ようやく仕事の目処が付き、そろそろ帰ろうと椅子から立ち上がったのがおよそ23時頃。

さぁ戸締りせねばなりません。

 

壁際をザーッと歩きながら窓ガラスを触ります。

鍵が開いてたら窓が動きますから、動かないことを確認しながらどんどん進みます。

よし、このフロアOK。

忘れがちなのは会議室の窓です。

でもちゃんと閉まっていました。

次によく忘れちゃうのがトイレの窓。

 

「戸締り確認のためだからね~」

 

誰が居るわけでもないですが、やっぱり女子トイレに入るときには何だか言い訳してしまう小心者の私です。

ここもOKでした。

さて、帰りましょうかね。

 

端からどんどん電気を消していき、最終的にスマホのライトを点灯してからフロアを全消灯します。

出入口に行き、スリッパを脱いで皮靴に履き替えます。

裏の勝手口から出て、さぁ警備システムの開始です。

 

ピーッピーッ。

 

エラー音。

 

『開いている場所があります』

 

「なんだよもぉ~・・・」

 

緑色に光る小さな液晶画面には、窓か扉かが開いている箇所を示す記号が表示されています。

 

【C-3】

 

「どこだよC-3ってもぉ!」

 

誰にともなく悪態をついてしまうのは遅くまで残業していたことによる妙なハイテンションのせいでしょう。

独り言を発してしまうのは、年齢のせいかもしれません。

 

私は勝手口から中に入り、靴を履き替えてスマホのライトで壁を照らします。

そこに警備システムの端末に表示される記号と、社屋の設備をイコールにしてくれる紙が貼ってあるのです。

 

「C-3・・・はぁ!?」

 

真っ暗で無人のフロアに私の素っ頓狂な声が響きます。

C-3は給湯室の窓でした。

なんでそんな場所が?

 

いえね、実はウチの会社には給湯室が2箇所ありまして。

日々使う方の給湯室はちゃんと確認したんです。

換気のために窓を開けることもある場所ですから。

でも、C-3の方の給湯室は全然使わないハズなんです。

と言うのも、ガスも水も止めてるから。

そもそも給湯室は2箇所も要らないってんで、給湯室としては使わずに、物置的に使ってる場所なんです。

段ボールとか積み上がってるし、窓を開ける方が困難な部屋です。

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ただ、まぁ掃除かなんかで入ることもあるし、その時に窓を開けたってことも考えられなくは無いかな。

とにかく原因は何であれ、そこを閉めないことには警備の設定ができないので帰れません。

私は派手なモーションで電気のスイッチを叩きました。

フロアの数か所の明かりがランダムに点灯し、机や椅子にぶつからずに歩けるだけの視界を得ます。

 

事務机と椅子をすり抜けて、会議室に繋がる廊下に出て、その先にある給湯室を目指します。

 

「もっぐっらぁ~の掟ぇを今から言うよ~♪」

 


土竜の唄 掟

 

ここでも歌を口ずさんでしまいます。

 

廊下の電気もつければ良かったな~と、少しだけ後悔しながら、スマホのライトで給湯室の中を照らします。

段ボール、掃除道具、何かの商品サンプルなど、雑多に置かれています。

 

そしてそれらの間を抜けたスマホの細い光が、辛うじて壁面を照らします。

やっぱり窓が開いていました。

私は積み上がった段ボールの隙間から、窓を閉めようと手を伸ばしました。

しかし届きません。

すぐ横に立てかけてあったホウキの柄を使おうと思い立ち、首を横に振りました。

 

「ッ!!!!」

 

めっちゃびっくりしました。

声を上げなかった自分を褒めてあげたい。

そしてすぐに視線を外した自分を褒めてあげたい。

何事も無かったようにホウキを掴み、柄で窓を閉めて給湯室から出て行った自分を褒めてあげたい。

 

ほっそい巨漢が居たんです。

 

積まれた段ボールの隙間、およそ30cmくらいの間にみっちり詰まってこっちを向いてる太った男が。

 

いや、みっちり詰まってるから太ってるように見えるのかな?

よく分かりませんが、絶対に「こっちが見えてることを気付かれちゃいけない」パターンです。

昔からよくあるやつです。

でもあまりに久々だったので無反応を貫き通せなかったかも。

バレてたらやだなぁ。

 

そんなことを思いながら廊下を抜け、事務所の電気を消し、勝手口まで戻ってきました。

そしてら急に耳元で声が聞こえて、すごく焦りました。

 

「ん゛~~~~ん゛~~~~~~」

 

マナーモードの携帯かとも思いましたが、明らかに声でした。

もうさっきの太った男の顔しか頭に浮かびません。

やっべぇついてきた!

でも取り乱してはいけません。

私はマイペースを取り繕って靴を履きかえ、勝手口から外に出ます。

外から施錠し、警備システムを作動させます。

 

ピーッピーッ。

 

エラー音。

 

『開いている場所があります』

 

【C-3】

 

一体何の嫌がらせでしょうか。

ホウキの柄で、とは言え私はちゃんと閉めました。

私はとりあえずその場を離れ、勝手口から反対側になる社屋の壁を外から確認しました。

さっきの給湯室の窓が、ここから見えるのです。

 

開いてました。

 

もう戻るのが嫌になって、最終手段を使います。

警備会社に電話です。

 

「ああ、すみません。なんだか警備システムが作動しないんですよ」

 

こう言うと、割と短時間で警備会社の人が来てくれるんです。

んですごく丁寧に対応してくれるんです。

10分くらいで来てくれました。

 

「すみません、開始ボタン押してもエラーが出ちゃって」

 

そりゃそうです。

C-3の窓が開いてるんですから。

でもエラー表示を見せれば、一緒に閉めについてきてくれるので。

 

「そうですか。じゃあ念の為もう一回押してみましょうか」

 

ピーッ

 

『警備を開始しました』

 

「ッ!?」

 

驚きです。

だって、さっき外から見たら開いてたんですよ?

 

「できましたね」

 

「そ、そうですね。ご迷惑をお掛けしました・・・」

 

「いえいえ。それでは」

 

去っていく警備会社の人。

とりあえずもう一回、外から窓の確認をしに行く私。

 

閉まってるー。

 

一体誰が、と考えたけどそんなの決まってますね。

あいつが開けて、閉めたに違いありません。

 

あー、もうあの給湯室に行きたくないなぁー。

やだなー。

 

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という作り話を、社内イベントで披露することになりました。

なぜ「坂津の怪談」なんて演目があるんだ。

今年の幹事に文句言ってやろう。