どうも、坂津です。
私が小学校低学年くらいのころ、学校から家まで真っ直ぐ帰ったことがありませんでした。
行く時は集団登校なので仕方ないのですが、帰りは自由ですからね。
細かい路地などを含めれば帰路のルートは無限大。
今日はどこを通って帰ろうか、そこではどんな景色が見れてどんなものが落ちててどんな生き物と遭遇できるのか、楽しみでたまりませんでした。
もちろん母親には「決まった道を真っ直ぐ帰りなさい」と言われ続けていましたが、そんなお小言はどこ吹く風です。
親に怒られるくらいのリスクを背負った方が、冒険心は一層燃え上がるのです。
あの家の裏庭はいつも3匹の猫が居る。
この建物の周辺にはネジが落ちている。
そのアパートの前に居るおじさん怖い。
あの駐車場に停まってる車はオンボロ。
この街路樹の花の蜜は甘くて美味しい。
その川には高確率でヌートリアが居る。
おや?あれ?今日は2匹しか居ないぞ?
うお!いつもと違う形のネジを発見だ!
お、おぉ。あのおじさん意外と優しい!
オンボロ車の持ち主が綺麗なお姉さん!
なんてこった冬には花が咲かないのか!
小さいヌートリア初めて見た!可愛い!
路地の分岐の数だけ帰宅路があり、またいつもと同じ道でも時間や季節がちょっと違うだけで新しい発見があります。
こういう、いわゆる『道草を食う』行為が現在の私を育んだと表現することは、決して過言では無いと思います。
文字通り道端に生えてる雑草を食べてみたり。
泥穴に手を突っ込んでザリガニを捕獲したり。
蛇を捕まえて尻尾を持ってブンブン回したり。
あるときなど、信号待ちで停車しているトラックの荷台に乗り込んでみたことも。
見知らぬ町に着いて運転手さんに激おこされたけどなんとか連れて帰ってもらったり。
自身の安全を守るということからはかけ離れた行為だったとは思います。
親の立場からすればいかなる手段を用いてでも阻止すべき案件かも知れません。
でも、実際に「その経験が糧になっている」という体験をしてしまった私は、もし息子が道草を食っていたとしても、それを注意できる自信がありません。
息子が小学生になる5年後、そのとき社会がどのようになっているかは分かりません。
しかし『先回りしまくった過剰な安心安全でガチガチに塗り固められた生活』を送ってほしくはないのです。