どうも、坂津です。
明確な数字を提示せず、単純に「大きい」「早い」「少ない」などの言葉を使う際には注意が必要です。
その「大きさ」「早さ」「少なさ」に対する解釈には、決して埋めることのできない個人差が存在するのです。
そもそも長さや重さや時間などを表現するための『単位』というものは、この解釈の個人差によって問題が生じないために開発されたツールです。
それを使わずに会話を進めるのは、始めから相互理解を放棄していると受け取られても仕方がありません。
しかし、きちんと数字と単位を用いた言葉を発しているのに、実際の行動がそれと合致していない場合もあります。
こちらの方がよりタチが悪いですね。
例えば待ち合わせの時間に「ちょっと遅れます」と言って10分遅刻する場合と「5分遅れます」と言って10分遅刻するのでは罪の重さが変わりますよね。
前者であればお互いの「ちょっと」の認識の差が緩衝材になってくれますが、後者の場合は嘘、虚言、詐欺と受け取られてもしょうがないのです。
で。
私の所属する界隈だけなのかも知れませんが、主に20代半ばから30歳前後の方が「一瞬」という単語を乱用しているように見受けられます。
一瞬とは時間にすると0.36秒というごく短い時間です。
一瞬が三回でようやく1秒。
そんなに短い時間で一体何ができるというのでしょうか。
「ヤバイかな~って一瞬思ったんスけど」
このときの『一瞬』は本当に一瞬なんだと思います。
まさに『まばたきを1回する程度の短い時間』という解釈で間違っていないと思います。
文脈的には『自分でも咄嗟に、これはマズイと思いましたが、制動が利かずやってしまいました』という意味になりますので、これは正しい一瞬の使い方と言えるでしょう。
「すみません、一瞬いいスか?」
言いたいこととしては『少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか』なんだと思います。
しかし『少々お時間』と『一瞬』では明らかに必要とする時間の長さが違います。
そしてこーゆー声の掛けられ方をして本当に一瞬だった試しがありません。
彼らの尺度では『一瞬=10分』くらいの感覚なのでしょうか。
であれば『最寄り駅まで徒歩10分の物件』は『最寄り駅まで瞬間移動可能物件』ということになりせんかね。
「あ、一瞬コンビニ寄って良いスか?」
コンビニエンスストアは非常に便利な場所です。
一般的な用事の多くを、コンビニで済ますことができます。
ですから立ち寄って利用することに何の異も唱えようとは思いません。
しかしそこに『一瞬』と関するのならば、せめて用事は1つにしてくれないか?
トイレで用を足しATMでお金を下ろしコーヒーを買い店外の灰皿付近で喫煙する・・・これら一連の行動を終えるまでが君の言う『一瞬』なのかい?
いや、逆にそれだけの行動を本当に一瞬でやれる超高速行動スキルでも持っているのかな?
雷の呼吸でも使えるのかな?
皆さまの中にもし、この『一瞬』を多用されてらっしゃる方がおられましたら、ご注意を。