『かなり』

干支に入れてよ猫

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飛び込み営業マン

どうも、坂津です。

異常気象が通常になりつつある昨今、突然の豪雨や予想を超える強風などは『起こってしかるべき』という認識を強めなければなりません。

『ってもまぁ自分は大丈夫だろ』という油断こそが被害の規模を大きくし、回避できた不幸にブチ当たることになってしまうのです。

最低限、防災グッズを常備するとか、有事の際の連絡手段を家族と話しておくなどの準備はしておきたいものです。

また企業においても、各種災害を想定したガイドラインやマニュアルを用意し、全従業員が判断に迷うことがない環境を整えねばなりません。

 

部下「失礼します。課長、よろしいですか?」

坂津「うん。インターホンが鳴ってたけど?」

部下「はい、どうも飛び込み営業のようです」

坂津「無下に帰すのも可哀相だし対応しよう」

 

私が働いている事務所は商業ビルになっているので、企業相手の商材を販売する飛び込み営業にはもってこいの環境です。

複数の会社が1つのビルに固まっているのですから、営業活動の効率的には最高ですよね。

なのでうちの会社にもちょいちょい営業が尋ねてきます。

こういうとき私は、なるべく応接に通して話を聞くようにしています。

もちろん時間が空けられそうな時は、ですけども。

 

営業「お時間を頂きありがとうございます!」

坂津「うん。それで、ナニを販売してるの?」

営業「はい!防災関連のご提案に参りました」

坂津「あ~、実はもう防災系は導入しててね」

 

非常時の水、食料、毛布などの備蓄から、ガス発電機、ガソリン発電機、手動発電機の用意、避難経路の設定と周知、連絡マニュアル、防災ガイドラインなど、うちの会社は結構その辺の準備は充実している方だと自負しています。

地方の零細企業にしては、ですが。

なので新規に防災関連の提案をされても、採用する隙間など無いのです。

 

営業「弊社の保存食は省スペースで実用的で」

坂津「いや、だから、もう準備してあるので」

営業「従業員1人あたり何日分の量ですか?」

坂津「確か2日分だったような気がするけど」

営業「でも3日分の食糧備蓄が義務ですから」

 

年若い営業マン。

きっと先輩から色々と教わって、いま口にした『従業員×3日分の食料備蓄が企業の義務』というのが切り札的な殺し文句なのでしょう。

ちょっとしたドヤ顔で言い放ちました。

しかし、私だって伊達や酔狂で防災グッズを取り揃え、非常マニュアルを作ったわけではありません。

こっちだって色々と調べているのです。

3日分の食料備蓄を推奨しているのは確か東京都で(他のエリアでもあるかもしれません)、しかも違反に罰則等があるわけではない『努力義務』だったはずです。

それを知った上でさっきの発言をしているのなら、虚偽の情報による脅迫(義務に違反すると罰則があるように思わせ契約させる手法)です。

断固として受け入れるわけにはいきません。

さらに言えば、もしそれを知らずに先輩や上司の受け売りで発言しているだけだった場合、自分が扱っている商品に対して勉強不足過ぎて呆れます。

そんな人から物を買う気にはなれません。

 

坂津「というわけだから、出直してきなさい」

営業「すみませんでした!出直してきます!」

 

割と素直に聞き入れて引きさがるあたり、嫌いじゃありません。

自分の非を認めて謝れるのは、人として信用できる条件です。

 

そして2週間後。

 

営業「どうも!失礼します!出直しました!」

坂津「うお。うん、で、今日は何の用なの?」

営業「非常備蓄食料のご提案に参りました!」

坂津「え?それ、前回のと同じ内容だよね?」

営業「はい!でも今回は義務とか言いません」

坂津「そうだね。嘘は良くないからね。偉い」

営業「従業員さんのために買ってください!」

坂津「おっと、そう来たか。ストレートだね」

営業「備蓄が充実すると皆さまが安心です!」

坂津「それは間違い無い。で、いくらなの?」

 

ようやく商談のテーブルに乗った営業マン。

小手先や口先の技に囚われず、自分が扱っている商品でお客さんにどんなメリットをもたらすことができるのかを考え、それを熱心にオススメすれば良いということに気付いてくれたようです。

とは言え今回についてはもうこちらに同様の物がある状態。

なので、それらの期限が切れる半年後に再度提案して欲しいと告げました。