『かなり』

干支に入れてよ猫

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フィリピン紀行

どうも、坂津です。

仕事でフィリピンに来ています。

初日の晩御飯は屋台村的なところでした。f:id:sakatsu_kana:20190905225443j:image

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ピンボケなのは許してください。

光量が足りないので仕方ありません。

 

屋台で好きなものを見繕ってお金を払うと、あとはバーベキュー的に焼いて席まで持ってきてくれるシステム。

素材はどれもこれも『ザ・家の味』って感じで悪くなく、ひとつ文句を付けるとしたら『どれもこれも甘辛ソースで同じ味』ってことですかね。

とにかく甘い。

ハニーサルサという表現で合ってるのか不安ですが、生春巻にかけるソースをもっと甘く、そして辛くしたような味です。

イカも豚も鶏も、焼肉も唐揚げも天ぷらも、全部同じソース。

こんな濃い甘辛ばかりだとビールを飲む手が止まらなくて困ります。

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気づけば20本近くの空ビンを量産したのち、2件目に向かいます。

 

アジア圏に仕事で行ったことがある男性には伝わると思いますが、カラオケとかマッサージに行きたがる人というのは必ず居るもので。

4人で晩御飯だったのですが、それぞれが自分の望む2件目を目指して2人ずつ2グループに別れます。

 

私は純粋に飲めるお店を探します。

いや、常日頃から言ってますが、私は三次元の女子がすこぶる苦手なのです。

なので女の子と飲むお店とかマジで勘弁って感じなのです。

女の子と触れ合うお店などもってのほか。

 

なのですが。

 

完全に騙されました。

 

そうじゃないと思って入ったお店が、看板に偽りありのソッチ系。

外には『GIRLS BOXING BAR』と書かれていて、出入口で腕組みして立っている屈強な黒人ガードマン(?)いわく

「店内にボクシングリングがあって、女子ボクサーの試合を見ながらお酒が飲めるよ」

ということだったのです。

 

それなのに。

入店して席に着くや否や私たちの両サイドにキワドイ水着の女の子が滑り込んできました。

そして過剰なボディタッチの嵐。

私は必死に叫びます。

「アイ ハブ ワイフ!アイ ラブ ワイフ!ノー タッチ!ドント タッチ ミー!トーク オンリー!」

そして愛する息子の写真をスマホに表示させつつ。

「ディス イズ マイ サン!マイ エンジェル!ナイン マンス!」

 

すると彼女らはスッと手を離し、ニヤニヤと笑いながら、私の同行者を顎で指しました。

「ユア フレンド ベリー ファニー」

見ると、私をアテンドしてくれていた方がシャツを脱がされ、水着ギャルに馬乗りされています。

私は悟りました。

この場ではアレが正解で正常。

私こそが異端者であり異常な存在。

しかし、だからと言って郷に従うことはできません。

 

「アイ ウォント ルック ボクシング!」

 

そう叫ぶことしか、私にはできませんでした。

ですが、それが奏功したのか、女の子たちは私から距離を置き男性店員に何やら説明し始めました。

 

そして。

店内の照明と音楽が一変。

巻き起こるサカツコール。

 

ん?

サカツコール?

 

「サ、カ、ツッ! サ、カ、ツッ!」

 

全く意味が分かりません。

軽いパニック状態のまま、私はリングに上げられました。

 

「トィナイト レフェリー サカツゥゥー!!」

 

響き渡るマイクのアナウンスで、私は私の役目を自覚しました。

どうやらボクシングの試合のレフェリーをやることになっているらしいです。

 

は?

ちょお待て!

何じゃレフェリーて!

 

私が有するボクシングの知識は『はじめの一歩』が全てです。

あ、それと『あしたのジョー』か。

そんな私がレフェリー?

できるわけないじゃん。

 

しかし、私は既にリング中央。

生まれたての小鹿のようにプルプルと震えることしかできません。

逃げ出すことも、抗議の声を上げることもできないのです。

 

そして選手入場。

男性。

 

ちょと待てッ!!

女子ボクサーは!?

ここ、ガールズボクシングバーでしょ?

なんて叫びが天に届くより先に試合は始まります。

レフェリーである私の合図無しに。

ひどい話です。

祭り上げられたとはいえ、このリングの上ではレフェリーである私が裁定者であるハズです。

そんな理不尽な状況が、私をルーラーとして、レフェリーとして覚醒させました。

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ロープを掴んで相手の進路を断ちボディを打ち続ける反則ボクサーを制止すべく、私は選手の間に体を入れて止めます。

両者を対角コーナーに下がらせ、反則ボクサーに注意を与えたあとで再び試合開始。

 

ん~、思ったよりもレフェリーっぽい働きができているじゃあないか私!

 

結局のところこの泥試合は決着せずドローのまま時間切れになり、勝利の判定が私に委ねられました。

レフェリーなのにジャッジまでせねばならないのか。

私は迷わず両選手の腕を取り、高く掲げました。

2人が勝者で良いのです。

今このときにおいては私が法であり、私の決定が全てです。

だから2人共が勝利者という結果も、有り寄りの有りなのです。

 

というような前代未聞の非日常を味わった私。

まさかボクシングのリングに上がる日がくるなんて、夢にも思っていませんでしたよ。

それもレフェリー。

なんて思いながらお会計をして店を出ました。

 

請求額、8万円。

選手へのファイトマネーだそうです。

 

完全に暴利バーじゃねぇか!

 

私のフィリピン紀行、まだ、1日目。