あけましておめでとうございます、坂津です。
自らの血肉とも呼ぶべきキャラクター。
己の魂の一片とも呼ぶべきキャラクター。
自らが創造主となり創生したキャラクター。
濃く太い絆で結ばれた愛すべきキャラクター。
そんな大切な大事な宝物であるキャラクターを、私なんかに貸してくれるなんて、どうかしてるぜお前たちィィーッ!!!
すみません、テンションが上がりきってしまい暴言を吐いてしまいました。
本当に本当に、本当にありがとうございます!
長田先生からは鬼の女海賊「紫電」さんと、人間のドジッ子メイド「メリッサ」さん!
nagatakatsukioekaki.hatenadiary.jp
nagatakatsukioekaki.hatenadiary.jp
ねずじょうじさんからは人間の恋人未満カップル「町田」くんと「アスミ」ちゃん!
らんさんからは人間の俺様キャラ「クォル・ラ・ディマ」さんと、人間で姉御肌の格闘家「ラミリア・パ・ドゥ」さん!
お米ヤローさんからは超回復能力を持つ妖精の弓使い「カウンチュド」さん!
以上の7名を拝借し、それぞれの国と我がキスビット(の中のタミューサ村)との絆を勝手に作ってしまうというストーリーを創作します!
もう書いちゃうからね!
後戻りできないからね!
いまさら「やっぱやんぴ」とか言わないでね!
ちなみにまだあと1日、キャラクターの貸し出しをしてくださる心の広いお方をお待ち致しております。
2月いっぱいまでに「貸してやっても良いよ」というお言葉を頂けましたら喜び勇んで飛びつきますので、ご検討のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
~・~・~・~・~・~・~
タミューサ村の村長、エウスオーファンは優しく話しかけた。
「傷の具合はどうだね?アウレイス」
ベッドの上に敷かれた清潔な真っ白いシーツに勝るとも劣らない、透き通るような白い肌、アウレイスと呼ばれた女性がか細く答える。
「お陰さまで、痛みもほとんどありません。でも、これで私、役立たずになっちゃいました」
数ヶ月前、アウレイスは瀕死の重傷を負った。
いや、瀕死とは言い難い。
確かに彼女は、死んだのだから。
アウレイスは突如として現れた正体不明のモンスターに、左肩から左胸、左脇腹付近までを噛み千切られてしまった。
もちろん臓器、左側の肺と心臓も半分ほど失っていた。
誰もが、彼女の死を悟った。
その日の夜、教会に今回の被害者の遺体が安置された。
皆が花や、生前に好んでいた食べ物などを供えている。
遺体が存在する者はまだ、マシだったかもしれない。
アウレイスの遺体も、並べられていた。
そのすぐそばに、子供が二人歩み寄ってきた。
頭部に2本のツノを持つ、サターニアの子供だ。
彼らはまだこの村に来たばかりであったが、アウレイスには特別に懐いていた。
それは、彼女が子供達を助け出したことに起因しているのだろう。
「エオア兄ちゃん、お姉ちゃんは、死んじゃったの?」
「泣くなアワキア・・・お姉ちゃんが悲しむから・・・」
目にいっぱいの涙を溜めながら問いかける弟に、自分の涙を見られないよう背を向けて言い放つ兄の声も震えている。
と、弟が泣きながらアウレイスの遺体をゆすった。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!死んじゃやだよ!」
周囲の大人たちは、何も言えず、ただ見守っていた。
本当は自分たちも、逝ってしまった家族に、愛する者に、ああやってすがりついて泣きたいのだ。
それをしないのは、我慢しているのは、なぜなのだろう。
素直に泣いている子供の方が、よっぽど尊く美しいではないか。
「アワキア!やめろよッ・・・」
兄が弟の肩に手を掛けたときだった。
アウレイスの遺体をゆする弟の両手から、淡い、黒色の光が放たれていた。
その光はアウレイスの全身を緩やかに包み込み、やがて彼女が失った部分、左肩あたりに集まりだした。
「アワキア・・・?お姉ちゃんも、治せるのか!?」
エオアの驚く声に、アワキアも驚いている。
「わかんない、わかんないよ!でも、お姉ちゃんが死んじゃうのは嫌なんだ!」
アワキアが叫ぶと、黒い光はその強さを増した。
そして、フッと光が消えると、そこには驚くべき光景が在った。
アウレイスの失われた左肩部分が、再生しているのだ。
いや、正確には再生ではなく「継ぎ足し」か。
今まで空洞だったその部分には、浅黒い色の肌が繋がっている。
まるでその部分が全体的に痣になっているようだった。
そしてもうひとつ。
先ほどまでアウレイスをゆすっていた、アワキアの姿が見当たらない。
代わりにそこには、サターニアの赤ん坊が寝息を立てていた。
「アワキアには本当に感謝しています。私の命を取り戻してくれた。自分の歴史と引き換えに」
兄であるエオアによれば、アワキアの不思議な治癒能力は昔からのものだったそうだ。
どんなにひどい傷でも、たちどころに治してしまう。
しかしそれは、エオアに対してだけだった。
子供の言うことではあるが、もし真に受けるならば、アワキアは「元はエオアの兄だった」そうだ。
治癒の力を使うたび、アワキアは若返ったと言う。
怪我の具合によって、若返る程度も違ったのだそうだ。
しかも、単純に若返るのではなく、それまで経験してきた記憶もすべて巻き戻ってしまうらしい。
恐らくは、自分の大切な者にだけ発動する特殊な魔法なのだろう。
自分が生きた時間を代償に効果を発揮する、特殊な魔法。
「アワキアは、どうしていますか?」
「年頃のサターニアの夫婦が引き取って、面倒を見てくれているよ。有り難いことだ」
アウレイスは安堵のため息をついた。
自分のために赤ん坊になってしまったアワキア。
きっとエオアも、自分を憎んでいるだろう。
「入りなさい」
エウスオーファンの急な呼びかけに、ベッドで寝ているアウレイスも、扉の向こうに居るエオアも、驚いた。
ギィと音を立てて、扉が開かれる。
「お、おねぇちゃん、大丈夫?」
「エオア・・・ごめんなさい・・・」
アウレイスはエオアの目を見られなかった。
大切な兄弟を、自分なんかのために赤ん坊にさせてしまった。
きっともうエオアのことも覚えていないだろう。
「なんで謝るのさ、お姉ちゃん。アワキアは、良いことをしたんだろ?」
にっこりと笑いながら、エオアは言った。
「アワキア、すごく可愛いんだぜ!すぐに歩けるようにも、しゃべれるようにもなるさ!」
「ありがとう・・・ありがとう・・・」
アウレイスは泣いた。
申し訳なくて、切なくて、でも、嬉しくて。
村長はエオアに退室するよう言った。
お姉ちゃんに無理をさせてはいけないよ、というとエオアは素直に言うことを聞いた。
「さて、アウレイス。君はさっき、役立たずになってしまったと言ったね」
エウスオーファンはアウレイスの目を真っ直ぐ見て、言った。
視線を外すことができない、力のこもった瞳だった。
「はい。アワキアが修復してくれた部分は、透明化ができません・・・」
意識が回復し、身体が動くようになってからアウレイスは何度か自分の能力を試していた。
不安があったからだ。
嫌な予感は的中し、アワキアに再生された、肌の色が違う部分だけは、透明化することが出来なかった。
要するに、左肩、左胸だけが空中に浮いているような状態になってしまう。
これでは透明化などしない方がマシだ。
「いいか、アウレイス」
エウスオーファンは静かに言う。
「君にヒントを与えよう。君のその能力は、決して“自分を透明にする”だけのものじゃない。おそらく過酷な体験によって生じた“消えてしまいたい”という気持ちから、あの能力が発現したのだと君自身は思っているのだろうが・・・」
ひと呼吸起き、優しさと慈しみを込めた口調で続ける。
「君の能力は、誰かを護るためのものだ。大切な人、失いたくない存在、愛する者を護るための力だよ。それを忘れなければ、きっと、本当の力が目覚めるはずさ」
「私の、本当の・・・力・・・?」
今はまだ分からない。
ただ、エウス村長がそう言うのならきっとそうなのだろう。
アウレイスは静かに、だが強く誓った。
私があの子たちを、みんなを、この村を、ソラ様を、護るんだ。
あれ?
「わ、私、今なんでソラ様のことを・・・?」
真っ白な頬が、ほんのりと、色づいた。