あけましておめでとうございます、坂津です。
昨日のエントリの続きです。
良くない出来事の真っただ中に於いて「最悪だ」「なんて不幸なんだ」と思っていたことも、時間が経てばやがて消化され、ネタに昇華されるというお話です。
【シャワールーム】※怪談要素があります
仕事で韓国に出張したときのことです。
その時は社長と同行しておりました。
タイミングが悪かったのか、ホテルの空きが少なく、私と社長は相部屋での宿泊となりました。
普段は社長をゾンザイに扱っている私ですが、それでも腐っても社長ですからそれなりに気を遣います。
疲れの取れない宿泊になることは明白でした。
取引先との商談、という名の酒宴を終えてホテルの部屋に戻りました。
坂津「お風呂、お先にどうぞ」
社長「もーこのまま寝るろ~。朝入るから良いんだぁ~」
坂津「はいはい。じゃあ入らせて頂きますよ」
社長「どーぞー」
へべれけ状態の社長を放置して、私はシャワーを浴びにバスルームへ。
シャワーカーテンの向こう側から物音がしました。
ユニットバスなので仕方ないのですが、さすがにお風呂サイドを使っているときにトイレサイドを使うなよなぁ、社長。
シャワー頂きました、の声は社長のイビキに掻き消されました。
私もくたくたです。
目覚ましをセットしてベッドに潜り込みました。
社長「坂津くん、坂津くん、ねぇ!坂津くん!?」
坂津「ん~・・・なんですか?」
盛大なヒソヒソ声の社長に起こされました。
緑色に発光しているデジタル時計は午前2時過ぎを表示しています。
まだ寝入ってから1時間くらいしか経っていません。
社長「声が、声が聞こえるんだよ!女の泣き声が!」
坂津「そりゃ聞こえるでしょうよ」
社長「ええぇ!?なんで!?」
坂津「壁が薄いんでしょ。それに・・・」
実はここのホテル、ある特徴がありました。
というのも、ホテル周辺には有名な美容整形外科が乱立し、韓国内でも有名な「整形」地域なのです。
あまりの人気に病院へ入院ができず、包帯ぐるぐる巻きのまま近場のホテルに宿泊する人がたくさん居るのです。
ロビーでも、そんな方々をたくさん見ました。
坂津「だから、術後の痛みとかで泣いちゃってもおかしくないでしょ」
社長「そ、そっか。でも何で痛み止め飲まないんだろうね?」
坂津「そんなことまで知りませんよ。寝ましょう、社長」
社長「そ、そうだね。おやすみ」
・・・・・・
社長「坂津くん!ねぇ坂津くん!」
坂津「も~、なんですか?」
社長「泣き声じゃなくなってるんだけど!」
坂津「ホントですね。唸り声?」
社長「しかも、壁が薄いってレベルじゃないよね?」
坂津「響いてますねぇ。あー、風呂場の換気扇じゃないですか?」
社長「どういうこと?」
坂津「換気口が各部屋で繋がってて、声も響いちゃうとか」
社長「そ、そうか・・・」
結局このあと、社長は熟睡に入りました。
私は2度も起こされた上にだんだん声が気になってしまい、浅い眠りと覚醒を繰り返すような質の低い睡眠を余儀なくされました。
声がおさまったのは朝6時。
7時から朝食の予定だったので、社長を起こすのは6時半という約束でした。
睡眠不足に、アルコールが完全に抜けていない状態が重なって、最悪です。
とりあえず軽くシャワーを浴びて目を醒まそう。
と思ってバスルームのドアを開けた私は、一瞬で目が醒めました。
完全覚醒です。
バスルームのドアを閉めたあと2秒で身支度を整えた私は社長に叫びます。
「起きてください社長!私は先にロビーに居ますからね!」
社長が上半身を起こしたのを確認するや否や私は部屋から飛び出しました。
シャワールームの床に散らばるビジューと爪。
付け爪だと思いたい。
エメラルドグリーンのマニキュアが塗られた爪の破片。
砕けたビジューがキラキラと照明を反射していました。
5時間ほど前に私が使用したときには確実に無かったものです。
社長「お風呂場でね、何かを踏んだんだよ。痛かった~」
坂津「そうですか。怪我はありませんか?」
社長「うん。血は出てないから大丈夫」
坂津「それは良かったです」
見間違いでは無かったことが確認されたものの、社長に教えることもハバカラレ、何とも言えない気持ちで帰国しました。
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【中2病】
中学生の頃に発症する人が多い、俗名「中2病」。
例に漏れず私も患っておりました。
重度の。
感染経路は不明でしたし、もしかしたら遺伝かもしれません。
友人「あー神様ー!来週のテストを無くしてくれー!」
坂津「祈るなら神じゃなく悪魔にしろよ」
友人「は?なんで?」
坂津「万能ゆえに無能な神より打算的な悪魔の方が信じられるぞ」
友人「なに言ってんのキモい」
そんな私が当時ハマっていたのが麻雀でした。
深夜に『スーパーヅガン』という麻雀アニメが放送されており、影響を受けたのです。
仲間を集め、休み時間や放課後に勤しんでいました。
しかし当然ながら学校での遊戯はもちろん、賭博などが認められるはずもなく、教師陣による迫害更生を受け入れて麻雀仲間は解散しました。
表向きは。
私達は“屋上”という名の無敵ゾーンへのバックステージパスを所持していました。
放課後、私は友人の一人と屋上で、残りの二人を待っていました。
ちょっと部活に顔出したらすぐ行くから、ということでした。
ただ待つのも勿体無いので、二人で遊ぶことにしました。
坂津「神経衰弱やろーぜ」
友人「おお、面白そうだな」
トランプと同じでルールは単純。
裏向きに置かれた麻雀の牌を2つ選び出し、柄が一致すれば獲得というシンプルな遊びです。
ここで私が嘘のようなツキを発揮してしまいます。
無造作に置かれている136個の牌から次々とペアを探しだし、連続で8組をゲットしました。
友人「おい、嘘だろ?」
坂津「くっくっく・・・」
完全なる偶然でした。
それなのに、私は病気のせいで勝手な言葉を紡ぎます。
坂津「お前には見破れないだろうな」
友人「なんだよ!イカサマかよ!」
坂津「バレなければイカサマではない!」
友人「教えろよ!何やった?どういう仕掛けだ?」
坂津「くっくっく・・・」
本当にやっかいな病気です。中2病。
ミラクルはまだ継続中で、9セット目を合わせました。
坂津「フハハハ!盤上はすべて我が手中にありィーッ!!」
友人「やってられんわ!」
そう吐き捨てると友人は屋上の出入口へ向かいます。
止せばいいのに、増長した私はその背中に言葉の矢を放ちます。
「逃げるのか負け犬め!いや、この程度のイカサマ、犬でも看破できるな。貴様は犬以下だ。ヌートリアだ!負けヌートリアめ!」
重い金属性の扉を開き、無言で屋上を去る友人。
響く金属音。
バタン! カシャン!
カシャン?
明らかな施錠音。
途端に焦る私。
ドアに駆け寄りノブを回す。
開かない。
坂津「おい!ふざけんな!開けろよ!」
友人「イカサマで開けてみろよ!じゃあな!」
坂津「おい!まて!おーい!」
友人「しばらくそこで頭を冷やッうわあああああー・・・」
ガタタタゴツン
明らかな滑落音。
非常に焦る私。
ドアを叩き叫ぶ。
「おい!何があった?大丈夫か?おい!おーい!!」
ここに私が居ることを知っているのはさっきの友人と、部活に行った2人の友人のみ。
ドアの向こうの状況が分からないまま、私は途方に暮れました。
しばらくして救急車が校庭に乗り込んできました。
あー、察し。
状況的にはかなりの絶望感です。
恐らく部活に行った2人の友人も、さっきの友人が搬送されたことを知れば、まさか私だけ屋上に取り残されているとは思わないでしょう。
しかも屋上の鍵を所持しているのは、他でも無いさっきの友人です。
大声で叫べばもしかしたら誰かに聞こえるかもしれませんが、解錠には絶対に先生の協力が必要です。
怒られる。
麻雀牌とかあるし。
ここへの出入りもできなくなるだろうし。
私は自力での脱出を決心します。
幸いにも雨どいを伝って校舎の壁面を登り降りすることは日常茶飯事だったため、屋上からでもどうにかなるハズでした。
※学校全域鬼ごっこが流行しており、壁面からの教室侵入などは必須能力でした。即刻禁止されたのは言うまでもありませんが。
鉄柵を乗り越え、足場になりそうな場所を探します。
金属製の丈夫な雨どいを発見しました。
やった!これで降りられる!
麻雀セットを口に咥え、私は降下を開始しました。
不幸はすぐに訪れました。
雨どいが途中で終わっているのです。
4階建て校舎の3階付近の壁に、私は張り付いたまま途方に暮れました。
しかたありません。
足が届く範囲にある移動先はどこかの教室のベランダだけでした。
もしそこに誰か居たら、それが先生だったら、一発アウトです。
しかしいつまでもこうしているわけにもいきません。
心を決めた私は、勢いを付けてベランダに飛び降りました。
校長室のベランダに。
3人の6つの目が私に集中します。
校長、教頭、学年主任。
恐らくさっき搬送された友人のことで何か話をしていたのでしょう。
主任「坂津、なにやっとるんだ?」
坂津「ほふほーにほひほひはへへ」
主任「口に咥えている物を放しなさい」
例え大人に囲まれても、その症状が治まらないのが中2病の悪いところです。
坂津「やぁ、先生方。ひとつ、私と勝負しませんか?」
死ぬほど怒られました。
麻雀セットも没収されました。
友人は軽い脳しんとうでした。
ちょっと長い話だったから今回は2つだけになっちゃいました。
昨夜、妻との会話で思い知ったことがあります。
妻「今日の記事はなかなか面白かったよ」
私「ホント?ありがとう」
妻「あのシリーズならいくらでもネタがあるよね」
私「そう?たとえば?」
妻「アレとかアレとかアレとか・・・」
私「お、おおぅ・・・ホントだ。いっぱいある」
妻「旦那の人生はネタまみれだよね」
私「それは喜んで良いのかね」
妻「少なくとも、ブログやってるうちは、良いんじゃない?」
私「おっしゃる通りです」