どうも、坂津です。
真剣な表情の社長に呼び出されました。
社長「ねぇ坂津くん、ちょっといいかな」
坂津「は。社長のご命令とあらば身命を賭して遂行します」
社長「ありがとう。じゃあこっちへ」
坂津「はい」
なぜか社長は車の鍵を持って、駐車場へ向かいます。
私は黙って付き従うのみ。
社長の車が見えてきたと思ったら左右の方向指示器が2回チカチカと明滅し、解錠されたことを知らせます。
社長「運転席に乗ってくれる?」
坂津「はい」
社長「エンジンをかけて」
坂津「はい」
社長「これ、ここを見て欲しいんだ」
坂津「はい?」
ナビの液晶画面がオーディオ再生モードになっており、再生中のCDのトラック情報が表示されています。
その画面の右下に『録音する』というボタンが表示されていました。
社長の指示でそのボタンをタップします。
すると『SDカードが未挿入です』というエラーが出ました。
社長「坂津くん、SDカードって、なに?」
坂津「記憶媒体の一種ですが・・・」
社長「きおくばいたい?ETCカードなら持ってるんだけど」
坂津「SDカードで高速料金は支払えません」
社長「そのカードは、電器屋さんで手に入るもの?」
坂津「左様でございます」
社長「今から、買いに行こう?」
私は無言で車から降りました。
一瞥もせず会社へ戻ります。
社長「身命を賭してって言ったじゃないかー!」
坂津「じゃかぁしゃー!完ッ全にプライベートじゃねぇか!」
社長「最初から誰も仕事だなんて言ってないもん」
坂津「ちったぁ自分の立場を自覚しろッ!」
社長「たちば・・・?」
坂津「社長の言葉ってのは重いんだっての!」
社長「ほほう!では重い一言を。SDカードを買いに行こう」
坂津「行かねーよ!」
社長「社長命令なのに?」
坂津「ぐぬぬ・・・」
社長命令という言葉は社畜にとって決して抗えない魔法です。
この呪文を唱えられたが最後、命令を遂行するまで解放されることはありません。
坂津「分かりました。でも買いに行くのは調べてからですよ」
社長「え?何を調べるの?」
坂津「SDカードって色んな種類があるんです」
社長「ほほう」
坂津「で、モノによってはこのナビに合わないことも」
社長「なるほど。では調べたまえ」
坂津「ぐぬぬ・・・」
私はスマートなホンを取り出し、ナビの型番で検索をします。
やっぱりでした。
このタイプのナビは2GBまでのカードしか読みません。
坂津「じゃあ電器屋さんに行きましょうか」
社長「ひゃっほい」
ちょっと遠いですが、敢えて大きめの電器屋さんへ行きました。
SDカード売場へ直行します。
社長「さ、坂津くん・・・これ全部SDカードなのかね?」
坂津「そうですよ。意外と多いでしょ」
社長「意外とどころじゃないよ!ざっと100種類以上あるじゃないか!」
坂津「そう、この中から社長のナビに最適な逸品を見付けるのは至難の技」
社長「うわぁ!やっぱり坂津くんに頼んで良かったよぉ!」
坂津「砂漠で一粒の宝石を見付け出すがごとき作業ではありますが、必ずや社長のご希望に沿う品を探し出しますよ。この坂津めが」
社長「頼もしいィ!」
諸君、自分の価値を高めるっていうのはこうやるんです。
さて、最近のSDカードって容量増えましたねぇ。
普通に64GBとか在るんですね。
坂津「じゃあ、これにしましょう」
社長「待って。なんで2なの?もっと多いやつは?」
坂津「これしか適合しないんですよ、あのナビには」
社長「でも、16とか32とかのやつの方が安いよ?」
坂津「それが今の
社長「2の方が少ないのに高いの、オカシイと思うんだけど」
坂津「需要の大小で値付けされるのは当然でしょう?」
社長「もっと優しい言い方を・・・」
坂津「これらの安いやつは聞いたこともないようなメーカーですが、これから社長の車に装備されるこのカードをご覧ください。何ソニックと書いてありますか?」
社長「パ・・・パナソ・・・」
坂津「超有名メーカーですよね?やはり社長のお車にはそれ相応の、品質的にもリスクの少ない大手メーカー製のものを選ばれるべきだと思います」
社長「少しだけ納得した」
坂津「よし、じゃあとっとと買って帰るぞ」
売場にあった2GBのカードがパナ1択だったのが幸いでした。
こういう地道な努力の積み重ねが現在の私を構築しているのです。
あ、気をつけなきゃいけないのが、自分の株価は「上げるだけじゃダメ」ですよ。
タイミングによっては「適度に落とす」ことも必要。
じゃないと全責任が自分に回ってきちゃったりして面倒なことになります。
だから学生のみんな!よーく覚えておくんだよ!
知識<仕事力<人間性<世渡り
学校では左側の「知識」しか教えてくれないんだからな!