どうも、坂津です。
言語形成期の大半を千葉県で過ごした私は、生まれ故郷であるはずの岡山に馴染めず苦労した経験があります。
そんな私も今ではすっかりネイティブ
日常生活に差し支えない程度の岡山弁会話が可能となり、晴れて標準語と岡山弁のバイリンガルになったのでした。
さて、うちの会社の話です。
従来は地元民ばかりで構成されていた従業員が、ここ数年は新卒の子たちが県外から来るケースも増えてきました。
そんな新人の子は当然ながら岡山弁に馴染みがありません。
とある日。
午前中の会議が長引き、急きょ会議を続行しながら昼食をとることになりました。
しかし今からお弁当屋さんに発注したところで出来あがって配達されるまでにお昼が終わってしまいます。
そこで新人ちゃんにコンビニへ買い出しに行ってもらうことになったのです。
新人「何を買ってくれば良いですか?」
上司「弁当じゃと好き嫌いがあるしな」
新人「ではおにぎりにしましょうか?」
上司「そじゃな。20個あればええよ」
新人「どの具が良いか聞いてきますね」
上司「あーもう適当でええよそんなの」
新人「せめて社長の好きな具だけでも」
上司「おお~、さすがの気遣いじゃね」
新人「やっぱりお肉系のでしょうか?」
上司「いや社長が好きなんは塩じゃけ」
新人「分かりました!行ってきます!」
岡山弁では「~だから」のことを「~じゃけ」と言います。
「だから言ったじゃないですか」は「じゃけ言うたが」に。
「これは君のだからね」は「これはお
「暇だから良いですよね?」は「暇じゃけえかろ~?」に。
なのでこのとき上司は、新人の「社長はお肉系が好きですよね?」という問いに対して「いやいや、社長が好きなのは塩だからね」と答えたわけです。
しかし、それはネイティブオカヤマンにしか通じない会話なのです。
皆さまもうお察しの通り、新人ちゃんは社長用に『
この他にも新人ちゃんの頭に『?』が浮かんだことによって初めて我々の方が「あ、コレ岡山弁だったのか」と気付かされることもありました。
上司「お客さんを知るんが営業のうったてじゃけんな」
注釈「お客様について知ることが営業職の手始めです」
新人「・・・????・・・うったて・・・????」
岡山県人は『物事の手始め』『最初の一手』という意味で『うったて』というネイティブワードを使います。
元々は字を書くときの最初の点、筆を紙に置く起点のことを『うったて』と呼んでいたようです。
上司「その線はサシ
注釈「その線は定規を使って書いてね」
新人「・・・???・・・サシ???」
岡山県人は『定規』のことを『サシ』と呼びます。
おそらく『ものさし』の真っ二つにぶった切って下半身のみ採用したのでしょう。
上司「チャラ
注釈「雑に書いてはいけませんからね」
新人「チャラ・・・?おえん・・・?」
岡山県人は『雑に書く』『適当に書く』『走り書き』のことを『チャラ書き』と言います。
また『雑に書かれた字』『適当に書かれた字』のことを『チャラ字』と呼びます。
なんとなく語感で意味合いは理解できそうですが、県外の人に「電話じゃアレなんで、チャラ書きで良いからFAX送ってもらえます?」とか言っても通じません。
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新人ちゃんには仕事に慣れてもらうこと以上に、まずは岡山弁に慣れてもらわなければなりません。