『かなり』

干支に入れてよ猫

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正しい言葉を使う

どうも、坂津です。

写真はプリントせずデータとして持っておくだけで満足なタイプの私ですが、父は違います。

 

『現像してくれ』と言われます。

 

ちょっと待って。

そもそも現像げんぞうとは感光したフィルムの像を薬品で定着させることを言うので、写真用紙にプリントするという意味ではありません。

なのでデジタル撮影されたデータをプリントして欲しいときに現像してくれと頼むのは間違いなのです。

厳密に言えばデジタル撮影したデータも、撮影機器の内部で撮影したままのRAWローデータから、保存用やアウトプット用にJPEGジェイペグデータへと変換されていて、その変換作業のことをRAW現像と呼ぶので、現像をしていないワケではありません。

しかしこれは機械の内部で勝手に行われていることなので、私にしてくれと依頼するのは間違いです。

 

私「と言うワケでプリントしてってことな?」

父「なんだぁ?てめぇ・・・面倒くせぇなぁ」

私「言葉はなるべく正確に使うべきでしょう」

父「まぁ確かにな。じゃあプリントしてくれ」

 

今は定年していますが、その昔は新聞社に勤めていた父。

私に出来る限り正しい言葉を使うように教えてくれたのは他ならぬ父自身なのです。

父に注意されたことは今でも覚えていて、割と役に立っています。

 

例えば『過半数を超える』という表現。

耳馴染みのある言い回しですが、実は『過』と『超』で二重表現になっています。

過半数』が既に『半数を過ぎた』という意味なので、正しくは『過半数に達する』もしくは『半数を超える』と言うべきです。

 

それから『翌日』『翌週』『翌月』など『翌』の使い方。

来週と翌週は同じ意味じゃないの?と思っている方もいらっしゃるかも知れません。

意味は同じでも、使うタイミングが違うのです。

語り手が『現在の視点』で言う次の週のことを『来週』と表現します。

語り手は『過去の視点』もしくは『未来の視点』で言う次の週のことを『翌週』と表現します。

例えば『今年のゴールデンウィークはどこにも行かなかったよ。でも翌週の休みは出掛けたんだ』というのは正しい使い方です。

『今年のゴールデンウィーク』という過去の日付を起点として、その次の週という意味で『翌週』と言っているからです。

逆に『今週は忙しいから翌週はゆっくりするんだ』という表現は間違いです。

この場合は『今週』という現在が起点となっているので『来週はゆっくりする』と表現するのが正しいのです。

 

中学生の頃だったか、こんな風に言葉の使い方についてちょくちょく注意されていた私。

その当時は「伝わりゃ何でも良いじゃん」と思っていましたが、今となってはものすごく有難い教育だったなぁと思っています。

もちろん言語は生物ナマモノで、時代と共に変化していくものだという認識はあります。

 しかしそれでも『いま正しいとされている言葉』は存在します。

誤用が誤用のまま正しい言葉に昇格する例も無くは無いですが、それは率先してそうすべきことでもありません。

自分の考えや意思を相手に伝えるツールとして最大の効果を発揮する言葉ですから、やはり正しく美しい使用法を心掛けるべきなのです。

私も父がそうしてくれたように、息子にしっかりレクチャーしようと思っています。

そうすることで逆に『へぇ、今はそうじゃないのか』という勉強にもなると思いますし。

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