『かなり』

夏の気配が・・・消えた・・・?

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此の親にして此の子あり

どうも、坂津です。

今週のお題「おかあさん」

もう何度もこのブログに登場しているので常連さんにはお馴染の私の母ですが、一言で表現するならば『変わり者』です。

考え方というか発想というか、いつも『なぜそんなことを思ったのか』と不思議になるような言動をこれでもかと振り撒くのです。

そして近頃になってしみじみと『ああ、私はずいぶん母の影響を受けているな』と思うのです。

 

私が小学生の夏休み。

 

母「佳奈ちゃん、自由研究なにするか決めた?」

私「ジュース凍らせてアイスにして食べようか」

母「それは自由研究になるの?何の研究なの?」

私「ジュースの種類ごとに凍る時間の違いとか」

母「単に食べたいだけじゃないと誓えますか?」

私「単に食べたいだけじゃいけないんですか?」

母「母ちゃんに良い考えがあるので聞きなさい」

 

そう言う母に連れられて、家のすぐ前にある田んぼへ行きました。

青々とした稲が私の膝より少し上くらいに伸びており、静かに風に揺れていました。

 

母「佳奈ちゃんはウキクサを知っていますか?」

私「知らないけど今田んぼから取ったそれだね」

母「その通りッ!この緑のやつがウキクサだ!」

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ウキクサ亜科 - Wikipedia

 

ウキクサという名前なんて知りませんでしたが、存在は知っていました。

流れの淀んだ用水路やため池、田んぼの水面がいつの間にかコイツでびっしり緑色になるやつです。

わざわざ近寄って見たことは無かったので葉の1枚がどんな形状なのかなんて知る由も無かったのですが、母は小さなウキクサの小さな葉を2枚切り取り、持って帰りました。

 

私「母ちゃん、そのウキクサどうするつもり?」

母「コップの中で培養して増殖させようと思う」

私「え?コップの中で増えるの?ウキクサが?」

母「水入れて浮かべて日光に当てれば増えるよ」

私「なにそれマジか!すげぇ面白そうじゃん!」

母「増えてく様子を毎日絵日記にすれば良いよ」

 

そして、より自由研究っぽさを増強するためにコップを二つ用意し、水道水と田んぼの水でウキクサの増え方を比較するという体制に、小学生だった私は目を輝かせて母を尊敬したものです。

詳しい日数は覚えていませんが、ウキクサは着実に増殖していきました。

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確かこんな感じで増えたと記憶しています。

まだ夏休みが半分も終わっていなかったハズなので、割と早い段階、数日でこんな増え方をしたように思います。

 

私「ちっちゃい葉っぱが少し大きくなってる!」

母「水と光だけで増えていく植物の恐ろしさよ」

私「でも水道水と田んぼの水で違いは無いねぇ」

母「そうだね。ほとんど同じように増えてるね」

私「でも田んぼの水は濁って水道のは透明だね」

母「いつまでも透明というのも恐ろしいことよ」

 

このあたりから、ウキクサの増殖が止まりました。

毎朝起きて一番にコップの中のウキクサを確認する私のモチベーションは『昨日と違う』形状を見ることでしたが増殖することは無く、それどころか葉の色が茶色がかってきました。

 

私「なんか茶色くなってきた気がするんだけど」

母「水の色も変わってきたし、そろそろ潮時か」

私「どういうこと?コップ持ってどうするの?」

母「捨てるのっ!(庭にウキクサをバシャ!)」

私「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

母「いい?あのウキクサは死んだの。狭いコップの中ではあそこまで増えるのが限界だったの。田んぼの水だろうが水道水だろうが、流れの止まった水、つまり『死んだ水』の中ではウキクサは生きられないのよッ!!」

 

私の自由研究の結果は『ウキクサにとって重要なのは水道水か田んぼの水かではなく、それが流れているかどうかだった』ということになりました。

当時はただただ衝撃を受けただけだったのですが、中学生になったある日、ふとこのことを思い出して母に尋ねたことがあります。

 

私「小学生の自由研究で、ウキクサ覚えてる?」

母「ああ、あれ。覚えてるけど、どうしたの?」

私「母ちゃんは、最初から結果を知ってたの?」

母「いや。観察日記があれば楽だと思っただけ」

私「は?楽?何が楽なの?それどーゆーこと?」

母「夏休みの子供が朝自分で起きるという奇跡」

私「はっ・・・ま、まさかそのためだけに!?」

母「おかげでラジオ体操にも行けたでしょう?」

私「ぐぬぬ・・・」

 

確かにウキクサが気になっていた私は自ら進んで朝早くに起床し、ウキクサの形状を描き、そしてラジオ体操に行くというルーティーンをこなしていました。

そんな生活が半分続いた夏休みはそのまま惰性で早起き習慣を継続したまま過ごすことになりました。

全ては母の計画通りだったのかとショックを受けそうになった私ですが、しかしすぐにこのデマカセを看破しました。

だって本当にその通りなら途中でウキクサが死ぬ前に水替えを提案して夏休みの最後まで観察を続けさせるべきです。

 

私「以上の理由から母ちゃんの発言は虚偽だ!」

母「甘いね。夏休みの後半を思い出してごらん」

私「た、確かあのあとはじいちゃん家に行った」

母「そう!ウキクサが気になるから行きたくないとか言われたら面倒だからナイスなタイミングで枯れてくれたウキクサに感謝しか無かったわ!夏休みに子供が田舎に行くということ、それはつまり面倒を見てくれる大人が増えるということ!そしてそれは母ちゃんが楽をできるというコトなのよッ!!!」

私「ぐぬぬ・・・」

 

現在でも母に「そういえばあのとき」みたいな過去話をすると、意外な真相が聞けて面白かったりします。