『かなり』

干支に入れてよ猫

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事故られて事故った

どうも、坂津です。

盛大に事故られました。

そりゃもう凄まじき事故です。

交差点内で右折しようとして停止してるとこに正面から突っ込んで来たんですよ。

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あまりにも一瞬の出来事で、何かすごい衝撃を受けたなって思ったらエアバッグに埋もれていました。

舌を噛んだ以外は、特に怪我はありませんでした。

 

愛車は大破でレッカー必須。

私はショックで茫然自失。

 

耳障りな金属音を立てつつどうにかドアを開けて車外に出ました。

ほぼ同時くらいに、相手の車からも運転手が降りてきました。

 

坂津「・・・死んだかと思った・・・」

相手「っざけんなよテメェ!」

坂津「ファ?」

相手「警察呼べよオラァ!」

坂津「え・・・えぇ、良いですケド・・・」

 

中肉中背の中年がやたらウェイウェイ言ってきます。

まずは「ごめんなさい」とか「大丈夫ですか」じゃないのかな。

まぁ事故った時ってかなりテンパるし、前後不覚なのかな。

 

坂津「警察、もうすぐ来るそうです」

相手「あぁん?うるせーよ!」

坂津「ファ?」

相手「ちょっと黙ってろっつってんだよ!」

坂津「・・・」

 

意味が分かりません。

どうしたのでしょうか。

事故のショックで脳が残念なことになってしまったのでしょうか。

とりあえず黙れと言われたので、私は私の保険屋さんに連絡をし、警察を待ちました。

 

警察「あー、派手にイッたねぇ」

相手「コイツが突っ込んできたんだよ!」

坂津「ファッ!?」

警察「状況確認はそれぞれでやるからねー」

坂津「はい、お願いします」

相手「あいつが突っ込んできたんだよぉぉぉ!!」

 

相手の中年、いや残念と呼ぼう。

残念は、時間経過とともに落ち着くどころかどんどんヒートアップしていきます。

 

坂津「あの、私は止まってたんですよ。あっちがぶつかってきたんです」

警察「うんうん。なるほどね」

坂津「本当なんです・・・」

警察「あれ?お兄さんドライブレコーダー積んでるの?」

坂津「あ!ありますあります!」

 

デキる警察官が粉々になったフロントガラスの隙間から、ドライブレコーダーを見付けてくれました。

そうだ、私の愛車にはこれがある。

これで私の無実は証明される。

残念がどれだけ嘘っぱちを並べ立てたとしても、こちらには動かぬ証拠があるのです。

 

で、なんやかんやあって、私の車載カメラの動画を一緒に見ることになったのです。

残念と、残念の保険屋さん、私と、私の保険屋さんの4人で。

なんかこういうのに警察は関わらないそうです。

 

私は私の保険屋さんに「私は絶対に停止していて、相手が一方的に突っ込んできたことは間違いなく、その証拠の動画もある」と説明していました。

この言い分は私の保険屋さんから残念の保険屋さんへ伝わり、そこで「なんかウチのクライアントが言ってることと違う」となったそうです。

んで保険屋さん同士で話し合った結果、みんなでその動画を見れば、全員が誤解なく納得できるだろう、ということになりました。

地理的な関係で、残念の保険屋さんに集合です。

 

残念「・・・」

残保「ご足労いただきまして恐縮です」

坂津「いや、大丈夫ですよ」

坂保「早くハッキリさせてスッキリしましょうね」

 

ここまでは完全に私が優勢。

何がどう転んでも絶対に私の勝ちは揺るぎないものでした。

恐らくはこの「これで終わる」という安心感がトリガーとなり、私の事故直前の記憶が突然戻ってきたのです。

私はみるみる青ざめ、冷や汗がダラダラと流れ落ちました。

 

坂保「あれ?坂津さん大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」

坂津「えぇ・・・まぁ・・・」

残念「・・・」

残保「じゃ、時間もアレですし、見ちゃいましょうか」

坂津「あの、どうしても見なきゃいけませんか?」

坂保「え?」

残保「え?」

 

空前絶後の大ピンチです。

超絶怒涛の大ピンチです。

絶体絶命の大ピンチです。

 

残保「確かに強制ではありませんが、しかし双方の主張が食い違っているこの状況で証拠となり得る動画を『見ない』という選択は、何かやましいことがあると受け取られる可能性もありますよ?」

 

残念の保険屋さんはすかさず突っ込んできました。

なかなかのキレ者です。

 

坂保「だって坂津さん、絶対に止まってたって言われてましたよね?」

 

打って変わって私の保険屋さんは弱腰に。

私の態度の急変にビビってしまっています。

 

残念「良いから見ようぜ」

 

ずっと仏頂面だった残念が急に元気になって視聴を推奨してきます。

もう後戻りはできないんだな、と思いました。

私はこの証拠物品をこの場に持参した時点で、すでに詰んでいたのです。

覚悟をキメるしかありません。

 

坂津「・・・再生してください・・・」

残保「じゃあ、いきますね」

 

カチッ

 

つぅきぃぃーーーのひぃーかーりにぃーみぃ~ちびかぁれぇぇぇぇー♪

なぁ~んんんんーっどもッ♪

めぐぅーrッドグシャ!!!


【ムーンライト伝説】 美少女戦士セーラームーン

 

 

絶唱する私。

月の光に導かれたわけでもないのに突っ込んでくる残念車。

何度も巡り逢うことのないたった1度の衝突音。

 

私が完全に止まっていたことが確認され、残念側の過失100%ということで話がつきました。

あんなにウェイウェイ言ってた残念が、まるで人が変わったように、最後には謝ってくれました。

 

残念「なんか、すみませんでした」

 

絶対に事故に対する謝罪ではありませんでした。

なぜなら、あれは憐れみの目だからです。

 

残保「では、あとはこちらで処理しておきますので」

 

残念の保険屋さんは何事も無かったかのように振舞いました。

一刻も早くこの場の空気を流し去ってしまいたいのでしょう。

帰る道すがら、私の保険屋さんは私に言いました。

 

「消音で再生すれば良かったですね」

 

「それだッ!!」

 

 

もし皆さまの愛車がドライブレコーダー登載車であるならば、声を大にして言いたい。

まず歌うなと。

いや、せめて絶唱はやめておけと。

もし歌うんなら曲を選べと。

最悪の場合は、消音で再生しろと。

 

そして痛感したとある事実。

普通の日常だと思っていた瞬間が、いきなり黒歴史に変わる瞬間がある。

肝に銘じました。