『かなり』

干支に入れてよ猫

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全く新しい初めての試みなのでどこまでセーフなのか分からない フィクションであると思って許して欲しいけど怒られたら削除する心構え

どうも、坂津です。

行ってきました悪の秘密結社。

悪の秘密結社とは言うものの、表向きは釣具屋さんということですし、まぁ別に身構えなくても大丈夫だろうとタカを括っていました。

そのくくっていたタカは悪のヒトタチの現実を前に脆くも崩れ去ることになるのです。

ねぇ、タカって何?

タカをググると答えが検出され「高を括る」と書くことが分かりました。

 

いや、そうじゃない。

 

悪の秘密結社に行ってきたんですよ。

 

アポのお相手はズブロッカさんという変わったお名前の方でした。

ズブロッカと言えばお酒の名前だったような・・・私が大好きなTHE YELLOW MONKEYの「聖なる海とサンシャイン」の歌詞に出てきます。

“あのことで頭がいっぱいな夜は ズブロッカでは消せない”

という部分で、ズブロッカって何だ!?と思い調べた記憶が蘇ります。

 

まぁお酒の名前が人の名前になることもありますよね。

あ、逆か。

人の名前がお酒の名前になったパターンか。

いや、それは置いといて。

 

悪の組織の要塞ですから、どんなところかと緊張していました。

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きっとこんな感じでドーンと建ってて、周囲には警備兵がワサワサ巡回していて、きちんと身分と用件を伝えなきゃ捉えられて怪人に改造されてしまうとか考えていました。

 

そしたら。

 

なんだか普通のマンションの1階中央が入口っぽいのです。

あれ?

ああ、そっか。

秘密結社だもんな。

そりゃそうだ。

地下だ。

きっと地下に広がっているんだ、要塞。

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とか考えながら仮の姿である釣具屋さん「Perfection」の看板を眺めました。

あ、開店は12時からなのか。

と言っても私が訪ねたいのは悪の組織の方だし、釣具屋さんの方と同じ時間に始業するのかな。

 

まだ9時前だな。

ちょっと早く来すぎちゃったかも。

 

お、駐車場のゲートを開けようとしてる人がいるぞ。

組織の人かな?

あの人に聞いてみよう。

 

と、少し高齢のその女性に声を掛けようとした矢先、カラフルな衣装に身を包んだ集団が私に先駆けてその女性を大声で呼びました。

 

「おい!お前!」

 

「はい、何でございましょうか?」

 

「忘れたとは言わさんぞ!今日こそはお前もろとも組織を壊滅してやる!」

 

「おやおや、今日も掃除が大変そうですねぇ」

 

とても物騒な雰囲気ですが、私とて成人男性です。

妙な輩にカラまれている女性を見過ごすことはできません。

大学生時代にちょっとだけ習っていた八極拳がこんなところで役に立つとは!

 

と思っていたら私の鼻先をブンッと何かがかすめていきました。

一瞬の出来事でした。

対向二車線の道路の向こう側にヘルメットが転がります。

中身は・・・確認できません。したくありません。ヘルメットの中身・・・。

 

そしておばさんの足元。

ヨガの修行僧よろしく、手足があらぬ方向に折り曲げられたカラフルな面々が、体中の穴という穴から鮮血を溢れさせて転がっていました。

 

 

「おや、あなたは別の方ですか?ひょっとしてお客様でしょうか?」

 

 

ひえええええっぇぇぇぇぇぇえぇえぇぇぇぇええーーーっっっ!!!

 

 

弾丸よりも早くその場を走り去った私はシャトレーゼに駆け込もうとしましたが閉まっているので仕方なくローソンに駆け込みました。

 

「あ、あれは一体・・・何だったんだ・・・」

 

荒らぶる男衆を一瞬で肉団子に変えたおばさんは、眉ひとつ動かさずに頬に付いた血をエプロンで拭っていました。

メルエムと対峙したウェルフィンの気持ちがよく理解できました。

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震える手でローソンに置いてある雑誌を片っ端から立ち読みしました。

成人指定の雑誌の青いテープが剥がせず、仕方なく青年誌から読み始め、ananを読み終わったあたりで少し落ち着いてきました。

 

さっきのあれは、きっとこれから行く組織とは別モノだ。

 

路上で起きた暴力事件に偶然遭遇してしまっただけなんだ。

 

そう思い込み、恐る恐る現地へ向かいました。

 

例の駐車場は何事も無かったかのように静まり返っていました。

あのあばさんも、肉塊もありません。

それどころか血のりの一滴さえ残っていません。

 

あれは夢だったんだな。

悪の組織への訪問という極度の緊張感が私に白昼夢を見せたに違いない。

 

そうと分かれば怖いものはない。

 

お店の前にちょっと個性的な髪形の方がいらっしゃいました。

背中側からなので良く分かりませんが、たぶん男性です。

 とにかく取り次いでもらわないことには始まりません。

 

「すみません、こちらに悪の組s・・・」

 

その方がスッとこちらを振り返りました。

 

ひぎゃああぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁああああーっっっ!!!!

 

私は脱兎のごとくローソンを目指します。

 

「あ、あの!お客様!待っt・・・」

 

後ろから恐怖の大王が私に呼び掛けているようですが、止まったら確実に殺されます。

あの顔は絶対に3ケタぐらい殺している顔です。

間違いありません。

 

ローソンの店員さんは私のことを怪訝な目で見ますが、そんなことを気にしている場合ではありません。

滝のように流れる汗もそのままに、私は雑誌コーナーにしゃがみ込んで外を伺います。

 

どうやら悪魔男爵は追ってきてはいないようでした。

 

そっと押すだけでジャバーっと流れ出るほど汗を吸ったスーツが思いのほか重いのですが、そんなことも忘れてしまうほどの恐怖でした。

あの地獄大使はいったい何者だったのだろう。

もう怖い呼び名が思い付かないけど、本当に怖かった。

 

どうしよう、もう近付けない。

あの場所へは二度と・・・。

 

 

生まれたての小鹿のようにガクブルしている私の向こうで、レジの店員さんとおしゃべりしているジジイが一人。

 

「ん?余?余は悪の組織のボスだぞ?」

 

「あんた、そんな事あらすかー」

 

あれ、いま悪の組織って聞こえたような・・・

 

「あのぅ、突然失礼致します。私、坂津と申しますが・・・」

 

「ウム、何だ貴様は。まさか○○ナビの者ではあるまいな」

 

「あ、いえ、リクルート関連の営業などではございません。本日はズブロッカ様にアポイントをいただいておりまして、あ、申し遅れました。わたくし株式会社モエロの坂津と申します」

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「失礼ながら、悪の組織の方とお見受け致しましたもので、お声掛けをさせていただいた次第なのですが・・・」

 

「ほう。それで坂津とやら、モエロとは一体どんな組織なのだ?」

 

「はい、わたくし共はオリジナルグッズの製造販売を手掛けておりまして・・・」

 

「なんだ、そのオリジナルグッズというのは」

 

業界に理解のある人には「オタク」や「萌え系」や「同人」などの言葉で説明するのですが、一般人に対しては理解して頂けない場合も多いので、外向きの回答で応えます。

 

「例えばお客様から写真やイラストを拝借し、それをインテリア雑貨などの様々なアイテムにプリントするような感じですね。飼い猫の写真などをマグカップやクッションなどにプリントされるお客様もいらっしゃいますし・・・」

 

「なに!?それでは余のビスコタもマグカップになると言うのか!?」

 

「え?え?何ですか?ビスコタ?」

 

「出来るのか出来ないのか!」

 

「で、できます!(たぶん)」

 

 

老人は嬉しそうにフンと鼻を鳴らしてローソンを出ていきました。

私はその背中を見送ることしか出来ませんでした。

 

時計を見るともうアポイントの時間も過ぎていました。

ズブロッカさんごめんなさい。

 

あとで謝罪のメッセージを入れておこう。

 

そしてウチの社長には「いやぁ、すごい組織でしたよ」とだけ言っておこう。

 

 

 

こうして私は組織への訪問ができませんでした。

 

本当はちょっと釣具も見てみたかったなぁ。

車のトランクには常にロッドとリールが2セット乗っているのですが、それだけ。

簡単な小道具セットとルアーの2~3個でも欲しいなと思っていたのです。

 

それなのに、あまりの恐怖体験(最後のおじいさんは謎が多いだけで別段怖くなかったですが)によって何一つ為し得ず帰路につくハメになりました。

 

最初からお客さんとして行けば良かったのかな。

 

悪の組織に興味本位で近づいたのが悪かったのかな。

 

やはり、組織に入るぜ、くらいの覚悟が無いと、不用意に触れてはいけない領域だったのかもしれません。 

 

 

最強おばさんのくだりが良く分かるエピソード 

 

地獄大使のくだりが良く分かるエピソード

 

○○ナビのくだりが良く分かるエピソード

 

ビスコタのくだりが良く分かるエピソード

 

 

しかし私はあくまでも中間管理社畜

会社からの命令とあらば全力で嫌々ながら出張する所存です!

次はどこへ行くことになるのか分かりませんが、まずは帰って机の上の処理しなきゃいけない仕事の山を見て愕然とするところから始めます!

 

 

 

※賢明なる読者の皆様へ

パーフェクションさんは本当はそんな怖いところじゃないですよ。

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