『かなり』

干支に入れてよ猫

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思い出したくないのに思い出してしまう

あけましておめでとうございます、坂津です。

明日は成人の日ですね。

もうかれこれ18年ほど昔、たった1年間だけでしたが新成人だったことが私にもありました。

同級生たちがスーツでビシッと決めている中、私だけ紋付袴・・・。

浮いてたなぁ・・・。

何が浮いてたってね、色がね。

なぜか若草色っていう。

完全に歌丸でしたよ。

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あ、ただし当時は長髪でしたので頭部は歌丸じゃありませんでしたよ。

自毛でちょんまげができるくらいの長さはありました。

それが駄目だったんですよね。

大銀杏もどきを結ってしまったんですよ。

浮いてたなぁ・・・姿かたちも色も髪型も・・・。

 

少数ながらも存在していた紋付袴を装備した同級生も、揃いも揃って黒なんです。

だからスーツの奴らと色的に同盟なんですよ。

で、女子たちの着物はほとんど赤とかピンクで、たまーに青とか。

何百という新成人が集まる会場で、若草色なのは私ただ一人なんじゃないかという疎外感と焦燥感。

あと謎の高揚感。

当然のことながら目立つんで、テレビカメラが来るんですよ。

んでインタビューされるんですよ。

 

アナ「成人、おめでとうございます!」

坂津「あざーッス!!」

アナ「これで大人の仲間入りですね!」

坂津「ッスね!!」

アナ「その髪型は?自前ですか?すごいですね!」

坂津「ッスかね?あざーッス!!」

アナ「どんな大人になりたいですか?」

坂津「お姉さんは今何歳なんですか?」

アナ「え・・・?私は、27歳ですケド・・・」

坂津「7年前、あなたに“なりたい大人像”がありましたか?」

アナ「え・・・いや、えっと・・・」

坂津「更に言うなら今、何年先までのビジョンを描いていますか?」

坂津「あなたは私に“どんな大人になりたいか”を問いましたね」

坂津「しかしそれはまずご自分の胸に聞いてみるべきことです」

坂津「私はここ数年、あなたをテレビ越しに観ています」

坂津「初々しかった新人の頃に比べ、今のあなたはどうですか?」

坂津「明確な目標など無くとも、勢いだけで輝けるのは若い時だけです」

坂津「経験を積むごとに重要になるのは目指すべき高みです」

坂津「同期に置いていかれているように感じていませんか?」

坂津「それは、あなたが将来に対するビジョンを持っていないからだ!」

坂津「さぁ今からでも遅く無い。あなたは、どうなりたいですか?」

アナ「・・・」

 

放送、されなかったなぁ。

当たり前ですよねぇ。

 

なんだか妙にハイテンションで、ちょんまげ歌丸スタイルのまま雪の舞う寒空の下、約60分もの道のりを歩いて帰宅しました。

防寒機能など皆無の装備でしたから風邪をひきましたしねぇ。

あと足袋。

足袋に雪駄で雪道を歩くのってヤバいですね。

足先が霜焼けになりました。

 

しかし実家で養生するわけにもいかなかったんですよ。

あ、当時私は大学生でして、一人暮らしをしていたんです。

成人式だからってんで実家に帰っていたのですが、その日のうちに下宿先へ帰ることになっていました。

地元の同級生と飲み会大学の仲間とTRPG

完全に阿呆の思考ですね。

紋付袴を実家に脱ぎ捨て、オタク装束に身を固め、本棚にあるお気に入りのエロい同人誌をリュックに詰め、痛痒い足を無理矢理スニーカーにねじ込み、ボーッとする頭をフラフラさせながら電車に乗り込みました。

 

座ってはいけない。

直感的にそう思いました。

絶対に寝てしまうし、寝たら起きれないだろうし、乗り換えをしくじるわけにもいかない。

私は乗降口付近にある銀色の棒を支えに立ち続けました。

 

乗り換えを繰り返し、ようやく下宿先が近付いてきた頃にはもう、車窓から見えるのは夜景になっていました。

そして映る自分の姿。

 

解いて無かったなぁ。ちょんまげ。

 

エンジとネイビーのチェック柄のネルシャツをGパンにインして、カーキのダボッとした大きめジャンパーと汚れて灰色になった白のスニーカー。

紫色のリュックサックには数えることすら不可能なほどのキャラクターがぶら下がり、手に持つ紙袋からは丸められたポスターが2本突き出ている。

そんなどこにでも居るオタクのヘアスタイルがちょんまげ。

 

ああ、忘れたいけど忘れられない・・・。