どうも、坂津です。
月曜日です。
週はじめです。
また、新人の研修が始まりました。
経緯と経過はコチラからどうぞ。
三次元女子が苦手な私に試練が与えられました。
私はその子を霧雨魔理沙だと思いこむことでこれをクリアしようと試みるのでした。
しかしそれが本人にヒドイ状況でバレてしまい、私は終了したのです。
いきなり新入社員の研修を押しつけられ、多忙中の混乱に乗じてハァハァしてしまった私は一体どの面下げて桐谷さんと顔を合わせれば良いのか困った挙句、素晴らしい手段を思い付きました。
テストを敢行するのです。
先週中に教えた内容をしっかり把握できているかのチェックです。
テスト中は特に会話を交わすことも無いですし、その結果を踏まえてのコミュニケーションなら自然な流れで対面できるハズです。
「コレ、教えたよね?間違って覚えてるよ」
「お!導入しか教えてないのによくコレが分かったね」
頭の中での飴と鞭シミュレーションは完璧です。
あ、実際に鞭とか使いませんよ?
霧雨さんに鞭打ちとか余計にハァハァしてしまいます。
あ、桐谷さんだった。
さて、ちゃちゃっとテストを作って試験試験♪
「坂津、ちょっと良いか?」
「・・・ッ!? し、社長!? はい喜んで!(急に背後に立つなよ私がゴルゴだったら即死ですよ社長)」
「新人の子、どんな感じ?」
「(ざっくりした聞き方だな)良いカンジです(ざっくりで返してやれ)」
「そっか。来週から営業に出られる?」
「え、来週から?それはちょっと早いと思いますが・・・」
「そうか。じゃあ今週いっぱいで仕上げといてね」
えええええええええぇぇぇっぇぇぇぇええぇぇっぇぇぇぇぇぇええっぇぇぇ!!?
無理無理無理無理無理!
DIO様も真っ青の無理無理だよ!
営業経験の無い私がちょっと研修したくらいで営業マンを、いや営業ウーマンを仕上げられるんなら営業部なんて要らないよ!
胃が痛い・・・。
私はお腹を押さえながら、とりあえずテストを作ります。
押さえるのはもちろん私のお腹を、です。
そうだ、このテストでの点数が悪ければ、その結果を社長に見せて「これじゃまだ営業に出るのは難しいですね」とか言って先延ばしにしよう。
それが良い。
しかし実際、あまりにもひどい点数だと私の教え方に問題があるようにも解釈されかねないという副作用も考慮して、良いトコ60点獲れるだろうという問題にしよう。
それが良い。
よし、ちょっとだけ未来が明るくなってきたぞ。
とにかく急いでテストを作らないと霧雨・・・じゃなくて桐谷さんが出勤してきてしまう。
私に残された時間はあと27分。
彼女が60点を獲るような設問を打つべし打つべし打つべし!!
私は天才でした。
神のごとき閃きと鬼のごときタイピングで鬼神のごときテストを作り上げました。
プリントアウトし、ゼムクリップで4枚の用紙を止めたところで桐谷さんが出勤してきました。
「おはよう、今日は先週の復習も兼ねて、軽くテストをしてもらうから」
「おはようございます。分かりました。あまり自信ないですケド」
彼女がテストを解いている間は私の時間です。
通常ならば日中に処理することを諦めていた事務作業も今のうちにすすめることができます。
テストってすげぇ!
無いところから時間を作り出すという錬金術!
今のうちに事務作業!ブログチェック!事務作業!ブログチェック!
「どうだい?終わったかな?」
「はい、できました」
「じゃあ採点がてら復習しようか」
私の有能っぷりを証明するこのテストには、様々なポイントがあります。
まず桐谷さんの理解力を分析し、おそらく60点であろうという設問。
そして虫食い、四択、記述式などのバラエティに富んだ回答方法。
あとはテスト用紙右上に名前を書く欄があります。
このテストが今回だけでなく、以降の新人にも使えると思って記名欄を作っているあたり、私の抜け目無さが垣間見えます。
さて、まさか名前を書き忘れるなんて真似はしていないだろうね桐谷君。
桐谷 麻衣香
霧雨 魔理沙
二度見しました。
桐谷 麻衣香
霧雨 魔理沙
しっかりとMS P ゴシックで書かれ印字されている霧雨魔理沙の文字を、ボールペンの線が打ち消しています。
その上に書かれた桐谷さんの名前。
やぁぁぁっっっっちまったあぁぁぁぁぁぁーっ!!!
テストは84点でした。
私は桐谷さんを見くびっていた挙句、未だに霧雨さん扱いしているのがバレました。
そしてそれを口に出さず、そっと線で消されるという優しさなのか何なのか分からない対応をされ、恥辱で死んでしまいそうです。
いっそのこと「彼女は完璧ですのでもう研修は不要です。早く営業に出しましょう」と進言してしまった方が楽かもしれません。
そうだ。
そうしよう。