『かなり』

干支に入れてよ猫

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久々に風邪をひいた

どうも、坂津です。

風邪をひいてしまいました。

何年ぶりでしょうか、38.9℃まで熱が上がりました。

高熱が出るとそれだけで体力が消耗します。

立って歩くのもフラフラです。

それでもいつもなら市販の風邪薬と栄養ドリンクと睡眠で乗り切ろうとするのですが、いかんせん現在は0歳児と同居の身。

なるべく早く根治せねばならぬと、病院へ行きました。

 

近所の小規模クリニックなのですが、まぁすごい混雑で。

どうやら私と同じように風邪を患ってしまった人々が押し掛けているようでした。

それに対して先生は1人。

とにかく待ち時間が長いのです。

問診票を書いてから実に2時間、ずーっと放置プレイでした。

それ自体は仕方ないことですし、何の文句もありません。

ただ、たまたまそのときの環境が、私にはとても苦行だったのです。

 

診察待機室みたいな、ベッドが4~5台並べて置いてある場所に通されました。

各ベッドはカーテンで仕切られています。

始めの1時間はベッド横の椅子に座って待機。

やっとベッドに通されたら今度は寝たまま1時間の放置。

で、何がキツかったかって。

その間中ずっと、隣のベッドから聞こえてくる老婆の呻き声に苛まれたのです。

 

「こわい~こわい~誰か~」

「助けて~誰か~こわい~」

「くるしいよ~こわいよ~」

 

あまりにも悲痛な呻き声に、私はベッドから起きて受付に行き、隣のベッドから人を呼ぶ声がしますと伝えました。

しかし、返事は「高熱でうなされてるだけなので、気にしなくて大丈夫ですよ」とのこと。

でも気にするなと言われたって隣からずっと地獄の亡者みたいな声が漏れてくるのはたまりません。

 

「いたいよ~くるしいよ~」

「誰か来て~たすけてよ~」

「こわい~嫌だ~こわい~」

 

私自身も久しぶりの高熱で朦朧としているなか、老婆の呻き声が精神を加速させていきます。

1分を1時間にも感じるような苦痛。

もう私のことなどどうでも良いので隣の老婆を静かにさせる処置を優先して欲しいとさえ思いました。

 

で、ようやく私が診察を受ける番が回ってきました。

懸念されたインフルが陰性だったのは不幸中の幸いでした。

あとで聞いたところによると、隣の老婆はインフルだったようです。

てか、混雑してた患者の大半がインフル陽性だったそうな。

先生に「坂津さんは普通の風邪で良かったね」と言われました。

 

そして会計を済ませ、貰った処方箋を持って薬局に行きました。

すると薬剤師さんが、縁起でもないことをサラッと言ってのけました。

 

薬「インフルって病院で伝染ることが圧倒的に多いから、今回の検査が陰性でも、たぶん待合室でウィルスを貰ってるハズだから、油断しないでね。ただの風邪で体力が落ちたところにインフルがインターセプトしてくるなんて、よくある話だから」

私「なにそれ怖い~嫌だ~助けて~」

 

三人目

どうも、坂津です。

妄想癖のある私ですが、1日のうち最も妄想が捗るのが入浴中です。

特にスカルプシャンプーで頭皮を洗浄しているときは甚だしく妄想してしまいます。

妄想の中身は日替わりで特に何の意味もありませんが、だいたい架空の物語が進行します。

で、通常だと入浴を終えてパジャマを着る頃にはその内容はキレイさっぱり忘れているのです。

ただ、たまに忘れず覚えている妄想劇もあります。

今回はそんな『忘れられなかった物語』を文字にしてみようと思います。

 

 

 

御岐部みきべ おさむは高校1年生。

今日も声を掛けるチャンスを窺っていた。

相手は同じクラスの女子。

委員長の五木いつき 舞莉まりだ。

中学校は別々で、それまで特に面識も無かったこの2人。

しかしおさむは入学式の日、クラス編成が貼り出された掲示板に舞莉まりの名前を見付けてからずっと気になっていたのだ。

とは言え、引っ込み思案で物静かな陰キャおさむにとって、明るく活発で優等生を絵に描いたような舞莉まりは別世界の住人のようで、なかなか話し掛けることができないでいたのだ。

 

しかし、ある日。

まさか夢でも見ているのだろうか。

なんと、舞莉まりの方からおさむに声を掛けてきたではないか。

 

「ねぇ御岐部みきべくん、ちょっと良いかしら?」

 

おさむ舞莉まりに言われるまま従った。

化学準備室にある薬品を授業前に用意するのを手伝って欲しいということだった。

しかし、なぜ自分に?

舞莉まりの為なら喜んで手伝うクラスメイトが大半だろうに。

気になっていたことを伝えるチャンスであるにも関わらず、おさむは降って湧いた好機に戸惑うことしかできずにいた。

先に入るよう促された化学準備室には、棚にたくさんの薬品が並んでいた。

それらをぼーっと見ていると、背後で『カチャッ』と音がした。

施錠された音だ。

慌てて振り返るおさむ

そこには、後ろ手で扉の鍵をかけた舞莉まりの姿があった。

 

「これで、ここには誰も来ないわ」

 

そう言うと舞莉まりは、今まで見せたことも無いような冷徹な目をおさむに向けた。

 

御岐部みきべくん、あなたも気付いてるんでしょう?」

 

抑揚がほとんど無い淡々とした口調で問われた内容に、おさむは首をかしげることしかできない。

 

「な、何のこと?」

 

「とぼけないで。始業式からこっち、毎日ずっと私の方をチラチラ見てたでしょ? ねぇ、あなたも気付いているんでしょう?」

 

ズイと一歩近付く舞莉まりに対し、おさむは反射的に一歩退いてしまう。

まさか、まさか彼女も自分と同じように、自分のことを気にしていたのか?

 

「良い? 絶対に人に言っちゃダメだからね。これはあなたと私だけの秘密よ」

 

おさむは確信し、そして約束した。

自分が彼女を気にしていたように、彼女も自分を気にしていた。

だがそれは絶対に人に知られてはいけない極秘事項。

このことは誰にも気付かれてはいけないのだ。

 

おさむ舞莉まり、お互いが運命共同体であると確認し合ってから数日後、クラスに転校生が来た。

ひょうきんな印象のその男子が黒板に名前を書いたその時、おさむ舞莉まりは息を飲んだ。

 

「どうも~、俺は後基うしろもと 武利たけとしって言います。乙女座のAB型で趣味は映画鑑賞です」

 

武利たけとしはいかにも軽薄そうな口調で自己紹介を始めた。

そして、おさむ舞莉まりが最も恐れていたことを、いとも平然と言ってのけた。

蒼白になるおさむ

悲嘆に暮れる舞莉まり

今まで友人達にバレないように気付かれないように生きてきたというのに。

武利たけとしの発言によって芋づる式に発見されるのは時間の問題と思われた。

彼はこう言ったのだ。

 

「俺の名前、音読みすると“ゴキブリ”になるけど、それでイジるのは勘弁してね」

 

犬好きの友人に激怒された

どうも、坂津です。

私の知り合いに大の犬好きが居ます。

特にトイプードルが好きで、確か3頭ほど飼っていたと思います。

彼はその犬たちを大変可愛がり、大切にしています。

毎日違う服を着せ、月に1度はトリミングを行い、高級フードを与え、毛を染め、写真館でプロに撮影してもらい、専用の部屋を用意しています。

私はペットに服を着せたり毛を染めたりするのを善しとしていませんが、しかしそれは私の個人的な価値観であり、彼の愛情表現に対して口出しすべきでは無いので黙っています。

「可愛いだろ」と言われれば「可愛いね」と返します。

「すごいだろ」と言われれば「すごいね」と返します。

彼に言わせると、新しい服を着せれば犬たちはとても喜ぶし、トリミングで毛がサッパリするとゴキゲンになるし、派手なカラーリングに染め上げれば嬉しがるんだそうです。

 

さて、そんな彼に激怒されたことがあります。

私が言った何気無い一言が、彼の逆鱗に触れてしまったようなのです。

 

私「この子たち、そこらの人間よりずっとお洒落だね」

友「近所のドッグランではファッションリーダーだぜ」

私「そのうち毛染めや服では物足りなくなったりして」

友「現に首輪やリードにもアクセサリー付けてるしな」

私「いずれタトゥーとかピアスなんかもするのかい?」

友「はッ!?」

 

この後、大事な大事なこの子たちの体に傷を付けるようなことをするわけが無いだとか何だとか言ってものすごく怒られました。

 

確かに人間のファッションとして考えても、抵抗感の境界って存在すると思います。

 

0.何もしない

1.身にまとうもの(衣類)

2.身につけるもの(アクセサリー)

3.毛や爪の整形、着色

4.ピアス

5.タトゥー

 

たぶん下に行くほどハードルが高いんじゃないでしょうか。

で、友人の犬に対する境界線は3と4の間だったという話です。

しかしそもそも0と1の間に境界を置く私としては、1以降は同列として見てしまいます。

その価値観の違いによって友人は激おこで、私は面食らうことになったのです。

 

愛玩動物たちは、そもそも人間が可愛がり易いよう、人間に愛され易いように品種改良されて生み出された命です。

野生動物と違い、生命そのものに『人間から愛されるべき存在』という宿命が架せられています。

ですから人間は自分ができる最大限の愛情を愛玩動物に注ぎ、可能な限りの寵愛を授け、全力で溺愛し、愛護し、慈しみます。

その愛の手段・方法に個人差があるだけ。

 

今は禁忌とされている行為でも、もしかしたら今後『ペットの美容整形』なんてのが当たり前になるかも知れません。

ちょっと鼻を高くしましょうね。

歯並びをキレイにしましょうね。

歯ぐきをピンクにしましょうね。

しっぽを少し短くしましょうね。

これ、誰がどうやって善悪のジャッジをするんでしょうか。

 

親が子供に好き勝手やったら『子供の人権を無視している』なんて言われます。

それは子供が『やがて成長して人格を形成し、自分の判断で物事を決定できる』から言えることでしょう。

ではペットは?

いつか自分で物事を判断できるようになるんですか?

なりませんよね。

だったら終始その責任は飼い主個人に帰属するものであり、自分のペットに対しての愛情表現の善し悪しは飼い主自身でしか白黒付けられないハズなのです。

もちろん『動物の愛護及び管理に関する法律』の範囲内で。

 

だから私は犬好きな友人に何も言いません。

怒られたことに対しても「ごめん、そうだよね」としか言いません。

彼の犬は彼の監督下、庇護下で愛護されるべきであり、そこに私の意見、価値観が介入する余地はありません。

 

だから、さようなら友よ。

犬に対する毛染めとピアスの差が分からない私がそばに居るのは不快でしょう。

だから黙って、さらば友よ。

犬に服を着せるのとタトゥーを入れるのに大差ないと思っている私が憎いでしょう。

君は君の愛を貫くと良い。

君の愛犬に酷いことを言ってしまって悪かったね。

末長くお幸せに。