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『かなり』

私が感じる「かなり」なことを徒然に。

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【中】それぞれのプロローグ

PFCS

あけましておめでとうございます、坂津です。

皆様にキャラクターをお借りして進めるお話しです。

 

そのキャラクターたちが、コチラ。

 

所属国種族性別名前職業創造主
ドレスタニア(近海) 女性 紫電 海賊 長田克樹 (id:nagatakatsuki)
ドレスタニア 人間 女性 メリッサ 国王付きの使用人 長田克樹 (id:nagatakatsuki)
チュリグ アルビダ 無性 ハサマ 国王 ハヅキクトゥルフ初心者
奏山県(ワコク) 人間 男性 町田 会社員 ねずじょうじ(id:nezuzyouzi)
奏山県(ワコク) 人間 女性 アスミ ピアニスト ねずじょうじ(id:nezuzyouzi)
コードティラル神聖王国 人間 男性 クォル・ラ・ディマ 自警団団長 らん (id:yourin_chi)
コードティラル神聖王国 人間 女性 ラミリア・パ・ドゥ 格闘家 らん (id:yourin_chi)
ライスランド 精霊 男性 カウンチュド 射手 お米ヤロー (id:yaki295han)
メユネッズ 精霊 男性 ダン 夢追い人 たなかあきら (id:t-akr125)
カルマポリス アルビダ 女性 ルビネル 学生 フール (id:TheFool199485)

※敬称略ですごめんなさいm(_ _)m

※テーブル表記ってスマホとかだと見づらいんでしょうねごめんなさいm(_ _)m

※内容に相違があればご指摘ください直しますごめんなさいm(_ _)m

 

というわけで、前回は町田くんとアスミちゃんペア、ハサマ王、メリッサの4名を弄ばせて頂きました。

今回も好き放題に弄りますので、設定や口調などで「こんなんじゃねぇよ馬鹿野郎」というご指摘はいつでも承ります。

ちゃんと言ってくださいね。直しますから。

今回の被害者はこちらの3名です。

 

 

 

~・~・~・~・~・~・~・~

 

 

■クォルとラミリア

 

 

「絶対イケると思ったんだけどなぁ・・・」

 

赤く手形のついた自分の左頬を撫でながら、クォルは恨めしそうに呟く。

ご立腹の様子でズカズカ歩き去る女性の背中を見送っていた。

その女性から渾身の平手打ちを喰らったのだ。

しかし戦闘部族『カイザート』の街で道場の師範代を務めるほどのクォルである。

本来ならば素人の平手打ちなど、防ぐも避けるも容易だったハズだ。

敢えてこれを受けるのは、彼なりのこだわりなのだろうか。

 

「あんた、何やらかしたの?」

 

呆れた口調と呆れた表情で腕を組んでいるのはラミリア。

彼女も戦闘部族『カイザート』の出身であり、部族長の娘でもある。

自らも道場で師範代を務めるほど、格闘家としての実力も折り紙付きだ。

 

「お、俺様は全っ然悪くないぜ!?」

 

クォルの解説によれば、待ち合わせの時間まで少し余裕があったので街をブラついていたら、ガラの悪い連中に絡まれていた女性を見かけて、助けただけなのだとか。

しかし本当にそれだけなら感謝されることはあっても、手ひどいビンタは貰わないはずである。

その後なにか余計なことをしなかったかラミリアに問い詰められると、クォルは自信満々に答えた。

 

「俺様に愛される資格を与えようと・・・」

 

「ナニサマだ!」

 

ラミリアの鋭いツッコミ。

唸りを上げて鼻先をかすめる裏拳をミリ単位で見切ったクォル。

さすがにこれを敢えて受けることはできないようだ。

命に関わる威力だという認識がある。

 

「あ、あの・・・大変失礼ですが、もしやクォル・ラ・ディマ様、ラミリア・パ・ドゥ様、でいらっしゃいますでしょうか?」

 

普段の生活で、改まってフルネームを呼ばれる機会はあまり無い。

耳にくすぐったいほど畏まった呼び方をされ、二人は振り返った。

そこにはクォルの肩ほどにも足りない背丈の、小柄な少女が立っていた。

人間であれば眼球の白い部分、そこが黒く、瞳は金色に輝いている。

妖怪の一種で、サターニアという種族だ。

額から即頭部にかけてティアラのような角が生えている。

 

「わ、私、あの、カミューネと申します!この度は、あの、ご、護衛を・・・」

 

「緊張しなくても大丈夫よ。私の事はラミって呼んでね」

 

ラミリアはカミューネの頭をぽんと撫で、優しく言った。

そして抱き締めたい、ぐりぐり撫で回したい欲求をどうにか堪えた。

見たところ少々怯えているような印象を受ける。

初見でいきなり馴れ馴れしくするのはマイナスになるかもしれない。

しかし。

 

「なになに君、可愛いじゃん!俺様はクォル、クォでいいぜ!」

 

クォルはすでに腰を落としカミューネと視線の高さを合わせ、ハグの態勢に入っていた。

間一髪、ラミリアが体を入れ替えカミューネを抱き上げる。

クォルは両手を伸ばしたまま顔にラミリアの膝を食らい、その場で悶絶する。

 

「危なかったねぇカミューネちゃん。バイキンが付くとこだったよー」

 

「何で俺様がバイキンなんだよコノヤロウ!」

 

二人のやりとりに、カミューネがつい噴き出してしまう。

 

「あ、やっと笑ってくれた。コイツはともかく、私には警戒する必要ないからね」

 

ラミリアの言葉に不服そうなクォルの態度、それも可笑しくて、カミューネはひとしきり笑った。

 

「あの、ありがとうございます。改めて、護衛をよろしくお願いします!」

 

カミューネは、ジネという村の娘なのだそうだ。

ここ、コードティラル神聖王国を擁するリーフリィ大陸の東岸あたり、エルファリア自治区とカイザートの境界あたりにある小さな村。

彼女によれば、自分は鬼族の大富豪の屋敷で使用人をしており、主人の旅に同行していたのだそうだ。

しかし、森を抜ける際にモンスターの襲撃を受け、はぐれてしまったのだとか。

 

「ご主人様はとてもお強く、ご自分の身はご自分で護ることが出来ます。でもきっとご主人様は私が死んだものと思っていることでしょう。心優しいご主人様は、私のような者の為にも、そのお心を痛めてくださる。早く私の無事をお伝えしたいのです」

 

かと言ってか弱い少女が一人で森を抜けるというわけにもいかず、困り果てて道行く人に助けを求めたところ、ラミリアの実家である道場に行きついたのだそうだ。

普段は首都ティラルの自警団に所属するクォルとラミリアだったが、たまたま帰省中でカイザートに帰ってきており、そこでこの護衛の仕事を請けることになった。

主人の財布の一部を預かっていたというカミューネが、護衛の前金にと言って差し出したのはとんでもない金額だった。

半年は遊んで暮らせるほどのこれが前金ならば、送り届けた後の報酬はどれほどだろう。

 

「あの、大変恐縮なのですが、私・・・一刻も早く、ご主人様の元へ・・・」

 

二人を見上げながらおずおずと申し出るカミューネ。

このときはまだ、クォルもラミリアも、目の前のサターニアの少女を信じていた。

ジネという村は聞いたことも無かったし、そんな聞いたことも無いような村にそれほどの大富豪が居るというのも、おかしな話だった。

しかし逆に、二人はカミューネを疑う要素を持ち合わせていなかった。

無垢でか弱い少女が助けを乞うている、それだけで力を貸すのに値する立派な理由となった。

 

かくしてクォル、ラミリア、そしてカミューネの三人は、ジネという村を目指して歩き始めた。

特に賊やモンスターに出逢うことも無く、平穏に続く行程。

やがて見えてきた鬱蒼と生い茂る森。

ここから先は人の行き来がほとんど無いエリアとなる。

さすがにクォルもラミリアも気を引き締めた。

カミューネの案内通りに進むとやがて崖下の洞窟の様なものが見えた。

 

「ここを通り抜けると、もうすぐジネの村です」

 

そうか、と言いながらクォルが松明の用意を始める。

洞窟の内部がどうなっているのかは分からないが、どう見ても陽光が届くほど浅い道ではなさそうである。

 

「あ、あの・・・松明は・・・」

 

おどおどした口調でカミューネが言う。

自分は夜目が利く分、暗がりで明かりを見ると目を傷めてしまう。

洞窟はそんなに長くないので、自分が責任を持って先導するので松明は使わないで欲しいと言うのである。

彼女の言葉に違和感を覚えつつ、クォルとラミリアの真ん中に位置取り、手を引いて歩き始めたカミューネに何も言わないまま、二人は従った。

万一何か起こったとしても、暗闇であることは二人にとってさほどの枷にもならない。

クォルもラミリアも、気配さえ探れれば目隠しをしても組み手が行えるくらいの自信はあった。

三人は奥へ、奥へと進み、やがて入口からの陽光が届かない場所へ差しかかった。

その瞬間、微かに浮揚感を覚えた。

ほんの一瞬の出来事だった。

しかしクォルもラミリアも、カミューネにしっかり手を握られている。

気のせい、では無いはずだが・・・。

やがて闇の先に明かりが見えてきた。

ここを過ぎれば、ジネという村があるはずだ。

 

このときはまだクォルもラミリアも、まさかこの護衛の旅の終わりが自分たちの人生の終わりになることなど、知る由も無かったのだ。

 

 

 

■ダン

 

 

耳の長い精霊の男がひとり、街道を歩いている。

キッと固く結ばれた口元から、実直で不器用そうな印象を受ける。

どこから来てどこへ行くのか、その身なりから長旅ではなさそうである。

全身を包むマントと腰の剣、それ以外に荷物らしきものは見当たらない。

と、いきなり彼の目の前に三人の男が飛び出してきた。

手には刃物を持っている。

どうやら三人とも人間らしい。

 

「おい、さっきの、見てたぜ」

 

中央の男が短剣をキラリと光らせながら、精霊の男に言い放つ。

 

「怪我したくなかったら、さっき切り取った『夢』を置いていきな!」

 

精霊の男は無言のまま、腰の剣に手を掛ける。

三人の男はサッと身構え、重心を低くし、いつでも飛び掛かることが出来る態勢だ。

 

(こやつらは、夢無しか・・・)

 

心の中で、精霊の男は呟いた。

実は彼の腰の剣には、人の夢を探知できる夢センサー機能がある。

また、身に余る大きすぎる夢を一部切り取ることもできるのだ。

ここはメユネッズ。

夢が売買され、製造され、強奪される国。

人々は自分が購入できる範囲で夢を買い、その夢を心の支えとして生きてゆく。

しかしそのシステム故、背伸びをして分不相応な夢を手にしてしまう者も居た。

彼らはあまりにも身の丈に合わない大きすぎる夢を持て余し、運が悪ければ命の危険さえあった。

精霊の男は、そんな夢過剰者を見付けては、適切なサイズの夢への切り取りと、切り取った夢の保管を行うことを己の役割と認識していた。

切り取られた夢は、元の主人である人物がその夢を叶えるに相応しい成長を遂げれば自然と還る仕組みだ。

子供の頃に貰った小遣いの余剰分を親が管理し、大人になった時にまとめて渡してやるような具合と言えば伝わろうか。

万が一、元の夢主に還ることが無くなった夢は、他の誰かに切り分け与えることもできた。

しかしそれも、切り取った夢が無事であれば、の話しだ。

先ほど少年から切り離した「王様になる」という夢の余剰分を、この三人の男たちは狙っているのだ。

 

「私は未だ修行中の身なれど、夢無しの貴様らに遅れを取るほど未熟でも無い。盗賊に身をやつそうともまだ引き返せる。ここは夢の国だ。分相応な夢を得て改心するが良い」

 

「うるせぇ!やっちまえ!」

 

中央の男が声を張り上げると、左右の男が一斉に飛びかかった。

普通ならバックステップで距離を取る場面。

中央の男はその着地の瞬間に短剣を投擲するつもりだった。

しかし。

精霊の男は飛びかかる二人の男を体捌きでかわし、突進してきたのだった。

剣の柄で男の顎をクイと持ち上げ、精霊の男は静かに言う。

 

「お前たちを斬りたくは無い。引いてくれ」

 

その声と眼光の迫力に気圧され、中央の男は地面に座り込んだ。

そして左右から飛びかかり、その攻撃を避けられた男たちは精霊の男のマントの下から現れた鎧を見て叫んだ。

 

「こ、こいつ・・・この鎧・・・ダンだ!夢追いのダンじゃねぇか!」

 

 悲鳴を上げながら逃げ出す二人の男。

地べたを這いながら後ずさる、残された男。

 

「お、お前が、夢追いのダンだったのか・・・ッ」

 

ダンの鎧は微かに発光していた。

何色かと問われても答えることはできない、表現不可能な色。

もし名前を付けるとしたら『夢色』と呼ぶしかなさそうだ。

ダンはその夢色の鎧を、切り取った夢の保管場所にしていた。

 

「お前にやる夢は持ち合わせていない。去れ・・・ッ!」

 

「ひ、ひぃぃぃー!!!」

 

人間の男は泣きべそをかきながら駆け出した。

一体ダンについて、どんな噂があるというのだろうか。

こんなにも恐れられるようなことをした覚えは、当人には無い。

さて、噂と言えば。

 

「本当に、そんな男が居るというのか・・・?」

 

誰に言うでも無く呟いたダン。

それは数日前、酒場で聞いた噂話だった。

ここメユネッズから大陸をひとつ挟んで北西にあるキスビットという国。

そこは特に積極的な外交を行わず、世界的に見ても文明が遅れている途上国。

そして種族差別が横行し、非道徳が日常化してしまっているとも聞く。

そんなどうしようもない国を、たった一人の男が造り変えようとしているのだそうだ。

もし本当だとすればどれほどに大きな夢だろうか。

その夢を切り分け、人々に配ることが出来れば、その無謀とも言える夢も叶うかもしれない。

ダンは、大きな夢を持つ者が、その夢の大きさゆえに不幸になることに、たまらなく苦痛を感じていた。

夢は人を活かす、夢によって人は生きる、そうでなければならない。

噂とは言え、もし本当にそんな、既存の国を造り変えるという途方も無い夢を持った男が居るというのなら、逢ってみたいと思った。

 

ダンは夢色の鎧をマントで包み込み、また歩き出した。

その足は、港へと向かっていた。