『かなり』

干支に入れてよ猫

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人に頼みごとをするときの責任の所在

あけましておめでとうございます、坂津です。

近場のホームセンターに買い物に行くという営業マンに、おつかいをお願いしました。

会社の備品です。

坂津「インパクトドライバー買ってきてくれる?」

営業「どんな技ですかそれ」

坂津「プロレスじゃないよ?ネジ回すやつ」

営業「ああ、電動ドリルですか?」

坂津「う~ん、近いけど違うなぁ・・・」

営業「商品名が分かれば間違えないですけど」

坂津「特にメーカーもシリーズもこだわりは無いけど・・・」

営業「まぁ適当に買ってきますわ~」

坂津「じゃあメモ渡すから、この条件に合ったやつね」

営業「あいあいさ~」

インパクトドライバ

※回転のみの電動ドライバーじゃないよ!

・最大締付トルク130N・m以上

※ちゃんと確認してね!

・充電式のやつ

※コンセントのコードが付いてないやつだよ!

・だいたい1万円くらい

※上はキリが無いからね。安かったら7~8千円のもあるかな

こんなメモを渡しました。

「※」の部分もちゃんと書いてました。

欲しかったのはこんなやつです。

それなのに。

 

営業「帰りました~」

坂津「おかえり」

営業「ハイ坂津さん、コレ」

坂津「おお、ありがt・・・ん?これは?」

営業「電動ドライバーですよ?」

坂津「メモ渡したよね?」

営業「はい、貰いました」

坂津「見た?」

営業「いや、だってどれでも同じでしょ?」

坂津「・・・」

営業「それめっちゃ安かったんですよ。3,000円くらいでした」

坂津「・・・」

営業「1万円と比べたら7,000円浮いたじゃないスか」

坂津「メモを見れない目は要らんなぁ」

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営業「ギャー!!何するんですかッ!!」

坂津「こっちのセリフだ馬鹿野郎!何の為のメモだと思ってんだ!」

営業「買い忘れないための用心、的な?」

坂津「そんな脳みそは要らんわなぁ」

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営業「ギャー!!何するんですかッ!!」

坂津「だからこっちのセリフだ!!今すぐ返品してこい!」

営業「何でですか!?何が違うんです!?」

 

私はメモに『最大締付トルク130N・m以上』と書きました。

しかし営業マンが買ってきた品は『最大トルク締付3.5N・m』です。

例え単位の意味が分からなかったとしても、さすがに許容範囲を超えています。

いや、逆に分からなかったんならメモに従えと言いたい。

 

坂津「まず締付トルクってのは、ネジを締める力の強さなの」

営業「なるほど」

坂津「で、私が欲しかったのはこれくらいの強さね」

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営業「これは強そうッスね!」

坂津「そうだろう?すごく強そうだろう?それなのに、だ」

営業「ごくり・・・」

坂津「お前が買ってきた締付の強さはこれくらいだ」

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営業「ふわっふわじゃないスか!!」

坂津「そうだ!ふわっふわなんだ!分かってくれたか!?」

営業「分かりました!子猫じゃなくて猪木ですね!」

坂津「そうだ!猪木だ!さぁこの子猫を返品して猪木を買ってこい!」

営業「分かりました!」

坂津「いや待て!」

営業「え?」

 

私はネットで欲しいスペックに該当する商品を調べました。

その画面をプリントアウトして営業に渡します。

 

坂津「これを店員さんに見せて、これくださいと言うんだ」

営業「分かりました!」

 

あのまま買いに行かせてたら何か壮絶な勘違いをしたモノを買ってきそうで怖かったのです。

いや、記事のネタ的にはもう一度くらい間違った方がオイシイのかも知れない。

しかし状況的にはもう時間に余裕が無いのです。

ここで要望通りのアイテムが手に入らないのは痛い。

増員に合わせて下駄箱を設置しようとしたのですが、壁面の木材が予想よりも硬質で、インパクトドライバーじゃないとネジが入らないのです。

週明けには新人さんが出社するので、どうしても今日中に施工してしまわねば。

 

あれ?そう言えば私、まだこんなことしてる。

社内で起こる施工関連を誰かに引き継がねば!!

「つくっといて対応マニュアル」を誰かに!!

慢心は予想外のルートから還ってくる

あけましておめでとうございます、坂津です。

そうか、月曜日は春分の日でお休みなんですね。

でも春分の日って確か3月21日じゃなかったっけ?

これもハッピーマンデーってやつ?

と会社で言ったら苦笑されました。

春分の日 - Wikipedia

私の部署において「そんなことも知らないの?」は禁句に設定してあります。

個人の知識を組織としての能力に変換することを目的に、知識や情報を積極的に共有するようにしています。

なので「そんなことも知らないの?」は、そのまま「なんでそれを皆に伝えてないの?」と自分に跳ね返ってくる感じです。

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ただし、この決まりは「業務上」に限定されます。

ここがちょっと難しいところなんですよね。

「一般常識」と「仕事に必要な知識」の境界線が難しいんです。

 

坂津「マジで?春分の日って年ごとで変わるの?」

加納「ええ。20日と21日を行ったり来たりするだけですけどね」

坂津「なんでそんなこと知ってるの?」

加納「いや、常識って言うか・・・」

坂津「そ、そうか(´・ω・`)

 

これは恐らく一般常識の範疇です。

知らない私が愚か者でしたので素直に苦笑を受け入れましょう。

いいんだいいんだ。

今ちゃんと覚えたから良しとする。

 

坂津「ん?加納くん、それ何してるの?」

加納「データのファイル名の変更です」

坂津「なんで?」

加納「Macwindowsで互換性の無い文字が使用されてまして」

坂津「ああ、アレ困るよね。んで、目視&手作業?」

加納「ええ。何か早い方法がありますか?」

坂津「こーやってフォルダ内のファイル名を取り出して、と」

加納「おお!」

坂津「該当の文字を置き換えた文字列を隣のセルに、と」

加納「す、すごい」

坂津「あとはリネームのマクロを走らせて、と」

加納「い・・・一瞬で!」

 

この場合は完全に私の落ち度です。

過去に自分が同じような作業で困ったときに、解決方法をWEBで探して効率的な方法を構築していたというのに、それを共有できていませんでした。

 

坂津「エクセルはずいぶん研究したからねぇ。我流だけど」

加納「ありがとうございます」

坂津「単純作業なら十中八九、自動化できると思って良いよ」

加納「あ、じゃあこれはどうですか・・・?」

坂津「セル内の文字列抽出か。余裕♪」

加納「教えてください!」

坂津「まずmidで、その中にfindを入れて・・・」

加納「これも一瞬で・・・ありがとうございます!」

坂津「いやなに全然構わんよ君ィはっはっは」

 

坂津天狗です。

教えていない私が悪いのに、加納くんは乗せるのが上手いんです。

 

加納「あの、じゃあこれは?」

坂津「これはこっちの表からvlookupを使ってね」

加納「おおお!」

坂津「あとはピボットテーブルで、ほら」

加納「マジシャンですね!」

坂津「オダテても何も出んよ君ィはっはっは」

 

お大尽状態です。

他に困っていることはないか、こちらから聞く始末。

結果、どういう経緯でか忘れましたけど他部署の業務まで預かってしまいました。

 

加納「課長、安請け合いしすぎですよ」

坂津「だって加納くんが乗せるから・・・」

加納「僕のだけやってくれたら良かったんです」

坂津「ごめんよ。残業にまで付き合わせちゃって」

加納「僕は別に構いませんけど・・・(チラッ)」

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本間さんがすごい顔でこっちを見ています。

加納くんとディナーデートの予定だったそうで。

 

坂津「ご、ごめんよ本間さん・・・」

加納「歩美先輩、課長も悪気があったわけじゃ・・・」

本間「美味しいもの!」

坂津「は?」

本間「く・わ・せ・ろ!!」

加納「え?」

本間「この埋め合わせは美味しいモノでしかできませんよ!」

加納「食べ物で埋まるんですね( ̄~ ̄;)」

坂津「相変わらずお手軽で助かる(´ω`)」

本間「いつ!?何を!?食わせてくれるのかーッ!!」

 

というわけで、春分の日にどこかで何かを食わせることにします。

料理コンテスト失格まであと3日

あけましておめでとうございます、坂津です。

こちらの企画に参加させて頂きます。

pfcs.hatenadiary.jp

 

 

~・~・~・~・~・~・~・~ 

 

 

ここはキスビットにある最大都市、エイ マヨーカの住宅街。

その中にある一軒の家の部屋の中。

白いコック服を着た栗毛の少女が、立ちつくしている。

 

「女が料理人?無理に決まってんだろ!」

 

「男の世界に入ってくるんじゃねぇ!」

 

「厨房は聖域だ。小娘が気軽に足を踏み入れるな」

 

「遊びじゃ無いんだよ遊びじゃ!出ていけ!」

 

これまで自分に浴びせられた罵詈雑言が脳裏を駆ける。

タオナンは唇を噛み、拳を強く握りしめた。

その手の中には、丸められた紙片が入っている。

 

「なんでよ・・・なんでいつも・・・男ばっかりッ・・・」

 

しわくちゃに丸められた紙を床に投げつけ、タオナンは駆け出す。

それは料理コンテストの告知用紙であった。

コンテストの応募条件、それは「男性であること」だ。

女性であるタオナンに参加資格は無い。

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彼女が駆け込んだのは自宅の厨房である。

そこには調理アシスタントのアルファ、テイチョスが居た。

アルファとは、分かりやすく言えばロボットだ。

様々なタイプが存在するが、テイチョスは人類超近似タイプである。

学習型の人工知能が搭載されており、コミュニケーション能力からも外見の作りからも、人間と見分けることは難しい。

 

「テイチョスッ!!アタシ、男になるッ!!」

 

 タオナンはそう言うが早いか、調理台に置かれていたナイフを掴む。

おさげにまとめていた髪を左手で鷲掴みにし、右手のナイフで人思いに、切った。

 

「タオナン、君はまずその直情的なところを改善すべきだ。そして厨房で断髪式など正気の沙汰とは思えない。何より調理に使用すべき刃物で髪を切るなんて許されざる冒涜だ。ちなみに君は男には成れない」

 

淡々と正論を述べるテイチョスに、ワナワナと震えながらも言い返す言葉が見つからないタオナン。

しかし正しいことを正しいように真っ直ぐぶつけられると、人間というものはそれを素直に受け入れられないのである。

 

「分かってるわよそのくらい!髪はちゃんと掃除するしナイフも洗う!でもアタシは男になる!男になって、アタシの料理でみんなを見返してやるのよ!!」

 

涙をぼろぼろとこぼしながら感情を爆発させるタオナン。

テイチョスとて彼女を責めたいわけではない。

しかし度が過ぎた感情的行動はあくまで論理的視点から改善を促すべきという思考が働く。

冷静に話せば分かってくれるはずだ。

 

「ひとつずつ解決しよう。まず散らかった毛髪の掃除はワタシに任せてくれ。掃除は得意だ。それからナイフの洗浄も任せて欲しい。ワタシに備わっている機器洗浄機能は、君も認めるところだ。そして、君は男には成れない。分かるかい?」

 

髪を短く切っただけで男になれるとは、もちろんタオナンも思っていない。

しかし短髪で男装をすればあるいは・・・そういう思いがあった。

あの料理コンテストに男として登録し、優勝してみせる。

そしてそのあとで自分が女であることを公表してやる。

女であるというだけでまともに評価する機会も与えられず、今まで自分を見下してきた男たちに復讐してやるのだ。

 

「これで男装して“俺”とか言えば、ちゃんと男の人に見えるわ!」

 

テイチョスは軽くため息をついた。

彼女は見えていない。

周りも、自分も。

やはり指摘せねばならないのか。

 

「良いかい。ワタシは君の味方だ。君を大切だと考えている。だからこそ言わせてもらう。君は男には成れない。君はきっと一人称を変え忘れる。すぐにアタシと言ってしまうだろう。次に声。そんなに可愛らしい声の男は居ない。そして顔。君のようにキュートでチャーミングな男など不自然だ。最後に、その豊かで魅力的な胸。君は男には成れないんだよ」

 

全てが、テイチョスの言う通りだった。

 

「しゃべらない!顔は焼く!胸は斬る!アタシは男になるんだウワァーン!!!」

 

テイチョスはタオナンの手からバーナーとナイフをもぎ取り、椅子に座らせ落ち着かせるのに相当な労力と時間を費やした。

まだしゃくりあげてはいるが、少し落ち着いたタオナンはぽつりと言う。

 

「アタシの・・・ひっく。料理を・・・ひっく。認めて欲しい、だけなんだ・・・」

 

だいたいいつも、こうだった。

タオナンが感情のまま大暴れし、テイチョスがそれを諌める。

ある程度まで思いを吐露したら少し落ち着き、センチになる。

そんなタオナンを見て、結局は力を貸してしまうテイチョス。

 

「分かったよ。何か考えてみよう。だがあまり期待しないでくれ?」

 

「わぁー!!テイチョスありがとうッ!!大好きーッ!!!」

 

「わっぷッやめなさいタオナン!離れて!」

 

テイチョスとて彼女の胸は魅力的だとは思うが、しかしそれで窒息は笑えない。

本来テイチョスは呼吸の必要が無いタイプのアルファであるが、タオナンと居ると息苦しい時がある。

今のように、物理的に接触する面積が多い場合や、認識される肌の面積が大きい場合など、とても苦しくなる。

回路の故障だろうか。

 

ともかく、何か手立てを考えなければならない。