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『かなり』

私が感じる「かなり」なことを徒然に。

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バレンタイン事変

加納くん 本間さん 桐谷さん

あけましておめでとうございます、坂津です。

今週火曜日はバレンタインでしたね。

3日も前のことを今更って感じですが、これを書いているのはバレンタイン当日なので許して下さい。

予約投稿の時差ってやつですね。

読者の皆様の中には、ちょっと気になってらっしゃる方も居られるのではないかと思い、僭越ながら報告させて頂きます。

彼らのバレンタインを。

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※画像はイメージです。実際の出来事とは一切関係ありません。

 

事の発端は加納くんの何気ない行動でした。

本当に、何の悪気も無い、ごく自然な好意からの行為だったのに。

 

加納「はい、これ。どうぞ」

坂津「え?なにこれチョコ?」

加納「ええ。本命のを作るついでの副産物ですが」

坂津「へー。ありがとう。本間さんにあげるんだよねぇ?」

加納「そうですよ。チョコ大好きって言ってましたから」

坂津「で、この副産物ってのは、もしや社内のみんなにあげるの?」

加納「はい。業務用スーパーで材料買ったら意外と多くて」

坂津「そっか・・・」

 

漠然とした不安を覚えました。

正体不明の不安、俗に言う「嫌な予感」ってやつです。

社員旅行以来ここ2日間、加納くんと本間さんはそれはそれは仲睦まじく微笑ましい状態でした。

お互いに気持ちに余裕が出来たようで、仕事へのモチベーションも高い水準で維持されています。

行って良かった社員旅行。

 

しかし。

 

加納「歩美先輩、これ、チョコです」

桐谷「皆の前で堂々と渡すのがカッコイイね加納くん!」

加納「どうせみんな知ってることですし。みなさんの分もありますよ」

桐谷「やったー!」

本間「あ、ありがとう・・・」

 

我が社では数年前から「社内での義理チョコ配布という不毛なイベントを廃止しましょう」という運動があり、特にバレンタインだからと言って机に義理チョコが山盛りなんてことは無くなっていました。

部署内の小さな輪の中で、日頃からお世話になっている上司にこっそり、みたいなのは継続されていましたけどね。

 

本間「ねぇ加納くん、これもしかして手作り?」

加納「ええ。溶かして再形成しただけですけどね」

本間「加納くん、男の子なのに・・・」

加納「え?ああ、海外では普通みたいですけど、日本でも逆チョコとか言われて、そんなに珍しいことでもなくなってますよ」

本間「違う違う。こんなクオリティで手作りなんかされたら、私のが渡しづらいなーって」

 

あー・・・そう来たかー・・・。

いや、そうなるわなぁ。

本間さんはお世辞にも料理が出来る方ではありません。

ひきかえ加納くんは器用にそこそこの腕前です。

さっき貰ったチョコも、溶かして再形成しただけと言いながらトリュフでした。

単に溶かすだけでなく生クリームやバターを入れてるはずですし、表面の仕上げは丁寧にココアパウダー仕様とクランチチョコ仕様の2パターンが用意されています。

これが「ついで」なら、本間さんがもらう本命はどんな様相を呈しているのでしょうか。

 

しかも。

 

加納「ああ、そんなこと気にしなくていいですよ」

本間「気にするよぉ~!私だって女子なんだから!」

加納「大丈夫ですよ。歩美先輩に手作りとか期待してないですから」

本間「ッ!?」

 

加納くん加納くん、それはちょっと語弊が在りすぎること山の如し。

桐谷さんも露骨なまでに「アチャー」な表情。

加納くんにしてみれば「期待してない」=「プレッシャーを感じる必要は無い」という意味の言葉だったんだと思います。

しかし言い方と表現とタイミングの全てが最悪です。

「たとえ買ったものでも、歩美先輩から貰えるなら嬉しいです」

みたいな対応がベターじゃないでしょうか。

 

カップル内でよくある感情のうち、相手に対して覚える「怒り」「疑い」「軽蔑」「失望」などは、その感情を向けられた側が努力によってそれを払拭できる可能性があります。

感情をぶつけられた側が挽回できるってことです。

しかし、どちらか片方が自身に向ける「劣等感」は、それを抱く対象から何を言われてもなかなか取り除くことができません。

劣等感は自己否定に繋がります。

劣等感は解毒が極めて難しい進行性の中毒です。

最初は他者との比較による自己嫌悪ぐらいから始まり、最終的には自分のやることなすこと、過去や未来にまで悲観的になってしまいます。

 

私は恋愛についてとやかく言える人間ではありませんが、お互いが対等と思えないような関係は長続きしないと思っています。

恋だ愛だも人間関係の一種であるという論点から言わせてもらえば、理想的な人間関係というのは、相互に信頼されていて、お互いにその信頼を自覚し、それに足る人物で在るよう高め合う関係です。

本来ならば「相手が自分に好意的である」という事実は「それに応えるために頑張る」という働きを促して然るべきなのです。

それなのに劣等感という毒は「自分はそれに相応しくない」というマイナスな受け取り方を助長してしまうのです。

 

そもそも本間さんは自分が年上であることで、加納くんをリードせねばという妙な使命感を持っている部分があります。

 

あの加納くんの言葉に対しては、本間さんは怒っても良い場面でした。

しかし反応は「しょぼーん」でした。

良い傾向ではありません。

怒ってくれた方がまだ取扱いが簡単です。

 

仕事中はこれ以上、特に何もありませんでしたが、明らかにテンションが下がっている本間さん。

無自覚であったが故に事態が飲み込めずオロオロする加納くん。

 

あとで桐谷さんから聞いたのですが、本間さん、初めて手作りのチョコを用意してたそうです。

桐谷さんはとりあえず「今日中に絶対それを渡すように」というアドバイスだけしたのだそうで。

定時きっかりで退勤の本間さん。

足取りがトボトボしています。

 

坂津「加納くん、さっきのはマズったねぇ」

加納「よく考えたら、誤解されそうな言い方をしてしまったと思います」

坂津「自覚があるなら大丈夫だね。今日はもう上がりな」

加納「はい、ありがとうございます」

 

あまり周りがとやかく口出しをするのは良くないような気もしますが、歳を取ると若人の一挙手一投足が気になって気になって仕方ありません。

余計なことをしないように、見守るだけに徹したいと思います。