『かなり』

干支に入れてよ猫

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我々が紡ぐべきは復讐の連鎖ではなく許し合える豊かな社会

どうも、坂津です。

お盆明けの社内では、休み中にどこか旅行へ出掛けた従業員さんがお土産を買ってきてたりして、デスクの上にお菓子がコロリと転がっていたりするんですよ。

長期の休みになればなるほど、お菓子の種類と数は増える傾向にあります。

このお盆休みが休みでなく激務だったのは私とごく一部の人間だけでしたので、その他の方々からのお土産はごく自然に配給されました。

しかし、私の机に置かれた海老せんべいとおいもサブレと夕子と外郎とマカダミアチョコと謎のキャンディは右から左へとコンベアされました。

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別に私はお菓子が好きで好きでたまらないという性質ではありませんし、特に大好物が混じっていたわけでもありませんので気にしません。

 

「坂津さん、コレありがとうございます。本間さんと美味しくいただきます」

 

「自動的に回収した揚句お礼まで言ってくれるのかい?有り難いことだねぇ」

 

「皮肉ですか?」

 

「皮でも肉でも無くお菓子だよ」

 

「あはは。もう坂津さんたら」

 

「そんなことより、その謎のキャンディだけ食べたことが無いんだ。後で良いから味の感想だけでも教えてくれないか?」

 

 

そう、私にとってはお菓子が食べられないことよりも、それをくれた方へ感想が言えないことの方が問題なのでした。

 

何の気無しに配ったお土産でも、それに対して「ありがとう」「美味しかったよ」と一言返すだけで、お互いに良い気分になることができます。

これは社内に限らずですが、気持ちの良い人間関係を構築するのに非常に重要です。

 

しかしこの「ありがとう」が上辺だけのものだと思われると、それは一気に逆方向のベクトルへ働くので注意しなければいけません。

 

謎のキャンディのパッケージにはハングルと思われる文字が記載されており、その味や食感についての情報を目で読み解くことはできません。

 

もしかするとキャンディではなく、キャラメルのようなものかもしれません。

 

そして軽々しく美味しかったなどと言うのも危険です。

 

もしかするとこれをくれた本人は、美味しくないものをワザとネタとしてお土産にしている可能性もあります。

 

いつもの私なら数人を集めて「あのキャンディ食べた?え、私はまだだよ。君たちに毒見をしてもらってから食べようと思ってね」などと軽口を叩きながら探るのですが、今回に関してはそれぞれにパッケージの色が違うため、味もバラバラである可能性が濃厚です。

 

ザッと見渡したところ私と同じ色のパッケージが見当たらなかったので、同志を探し出すのも難しいと思われます。

 

ですから私は目の前にいるお菓子強盗から、その味について聞き出すよりほか無いのでした。

 

 

「坂津さん、さっきのお菓子、ソフトキャンディっていうんですかね、ほら、ハイチュウみたいな感じでしたよ」

 

 

そら来た。

これで迂闊にも「あの飴」などと言わずに済んだ。

 

 

「そうかそうか。ありがとう。で、味はどうだった?」

 

「ん~、微妙でした」

 

 

この解答は非常に困ります。

いわゆる「使えないコメント」です。

食リポで美味しいしか言わないようなものです。

 

 

「何味だったの?」

 

「・・・マスカット?いや、洋梨かな?」

 

「えー、マスカットと洋梨じゃ全く違うじゃないか」

 

「だって分からなかったんですもん。坂津さんだってきっと分からないですよ」

 

「そうだろうね。なにせその対象がもう無いんだから」

 

「ありますよ。さっきまで食べてたんですから、私の舌にまだ味が残ってます」

 

「それなのにマスカットか洋梨か分からないのはどの舌だい」

 

「この舌ですよ。坂津さんも味わってみませんか?」 

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穂花玲先生のセクシーな歌詞を彷彿させる魅惑の桐谷さん。

エロティカルヒット。

この展開はマズい。

相手の土俵に乗る前に降りなくては。

 

 

「もういいよ。マスカットとも洋梨とも取れる味だったことが分かっただけでも収穫としよう」

 

「ちょっとくらい乗ってくれても良いじゃないですか」

 

「君には旦那さんも子供も居るんだからそーゆーネタは自重しなさい」

 

 

そろそろ私が2次元にしか興味の無いオタクだと理解してもらわねば。

高さと体温と他意のある女性は苦手です。

ホント、対応に困るんです。 

 

結局のところ、謎の韓国製ソフトキャンディの味は分からずじまいでした。

それぞれのお土産をくれた方々にお礼を言うため、まずは当人探しをしなくては。

 

 

海老せんべいくれた人だれ~?あ、君か。美味しかったよ。ありがとう。ちなみにおいもサブレは誰からか分かる?ああ、あの子ね。ありがとう」

 

 

そして最後は件のやつ。

 

 

「坂津さん、私のお土産食べてくれました?」

 

「!?・・・あの韓国のソフトキャンディは本間さんが?」

 

「そうですよ~。坂津さんのは何味でした?」

 

「ああ、うん、マスカット、だったかな?」

 

「ええー?そんな味あったっけ?」

 

「あ、洋梨かも。きっと洋梨だ。うん」

 

「オカシイですね。珈琲と紅茶とキャラメルとヨーグルトしか無いはずなんですケド」

 

 

と言いながら笑いをこらえている本間さんを見て悟りました。

これはきっと二人で共謀しているに違いない。

 

 

「何味だったかは置いといて、本間さんがお土産を用意してくれたのは事実。これに対してはありがとう。しかし残念ながらそのお土産は私の口に入ることなく追い剥ぎに強盗されてしまってね。味の感想はその盗賊に聞いてくれよ」

 

「だめですよ課長、盗賊とか言っちゃ~。桐谷さん怒ってブログのコト言いふらしちゃうかもしれないですよ?」

 

「私は桐谷さんの名前なんて一言も出していないのだけど、君は私の言う盗賊を桐谷さんだと思ったんだね?」

 

「あ!ずるい!今の無し!」

 

「今回は私の勝ちということで」

 

 

内心してやったりな私でしたが、時間が経つにつれて徐々に後悔の念が押し寄せてきました。

これはまた、仕返しという形で私が何か仕掛けられることになるのでは?

こちらからすれば日ごろの仕返しをしたのは私の方なのですが、きっとあの小悪魔たちはそう考えてはくれないでしょう。

 

なんと言うか、今月に入って「坂津佳奈」という検索ワードでこのブログに辿り着いた方が3名もいらっしゃることだし、社内で露見するのも時間の問題かなぁ。