『かなり』

干支に入れてよ猫

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意欲が湧くのは良いことですが、湧いちゃ困る意欲もあるんです

どうも、坂津です。

今朝見たニュースで私が最も衝撃を受けたのはディズニー・ワールド・リゾートで男の子がワニに襲われて亡くなった事件でした。

想像すればするほど、怖くて仕方ありません。

だってこんなのフィクションでしか有り得ないと思ってましたから。

山でクマって話より、海水浴場でサメって話より、町中で毒クモって話より、間違いなく有り得なさナンバーワンだと思います。

だって遊園地ですよ?

完全なる無防備、マイナス警戒心、この上ない油断を誘う場所ですもん。

この世に安全な場所など無いということを改めて思い知らされた事件でした。

 

 

 

 

最近、というかここ数年、まともに鉛筆を握っていません。

つまりイラストを描いていないということなんですが、そもそも昔は「描きたい欲求」が抑えられなくてちょっとでも暇があればコピー用紙にガリガリ描いていました。

500枚入りのコピー用紙が無くなるのに1ヶ月も要らないくらいでした。

 

その中でペン入れまでいくのはほんの数枚で、ほとんどは鉛筆描きのラクガキなんですけど。

 

それがどうしたことか、急激に創作意欲というか、描く気がしぼんだように思います。

 

このこと自体は特に問題ということも無く、今まで描いていた時間が他のことに充てられるようになって、生活スタイルも描くことを排除したものになりました。

 

ところが。

 

つい今しがた、急に描きたい欲求、いや衝動と言っても良いレベルの気持ちの高ぶりが湧いてきてしまい、処理に困っています。

 

「描けばいいじゃん」

 

そう簡単に言わないでください。

私は存外デリケートなんです。

描くための環境とタイミングをきっちり作らないと、ダメなんです。

 

きっとこのモヤモヤを抱えたまま数日を過ごすことになるんでしょうね。

 

そして、機会を作ることなく自然にこの衝動は消滅してしまうんでしょうね。

 

よしんば描くことに成功したとして、数年のブランクを経た私のラクガキ能力で描かれた線は、私の衝動を満たす完成度には程遠い出来栄えとなるでしょうね。

 

 

そもそもこの描きたい衝動は、仕事中の電話でのやりとりから発生しました。

 

先日採用面接をした子に、二次面接の日時の連絡をしたのです。

今回のこの子に限って、この二次面接は形式的なものでした。

もう内定を出すことは確実で、ただ一応、最終決定者である社長とも会っておいてもらおうという程度の面接なのです。

ですから特に必要な資料なども無く、気楽に来て欲しかったのです。

 

「あの、当日までに準備するものや、何か持参するものがございますか?」

「そーゆーの特に無いから、ホント気楽に来てくれたら良いよ」

「はい。ありがとうございます。格好はリクルートスーツでよろしいでしょうか?」

「そうだね。あとは手ぶらで良いから」

「えっ、手ぶら・・・ですか?」

「うん、あ、一応メモ帳くらいは有った方がいいかな。ごめんごめん」

 

というやりとりで、電話を切りました。

その数分後、私の中で突如として妄想が爆発しました。

自分でも止めることのできない妄想が火山の噴火のように一気に噴出したのです。

 

 

 

さっきの子が、手ぶらと手ブラと勘違いして、面接の当日に手ブラで来る。

 

 

 

私の名誉のために断言しておきますが、私はその子をエロい目で見たことはありませんし、今後も有り得ません。

採用を決めたのも、そんな不純な動機ではなく純粋に彼女の能力とやる気と考え方が会社に合っていると考えたからです。

 

私の妄想はすでに二次絵として形成されていました。

 

 

そう、この「面接に手ブラでくる子」というのが描きたくて仕方ないんです。

 

馬鹿だ変態だと思われる方もいらっしゃると思います。

 

私も同感です。

 

仕方無いんです、湧き起こっちゃったんで。

 

この衝動はどーしょーも無いんです。

 

 

 

精神と時の部屋があれば今すぐ入るのに。

『シンクロ』

冴えないオタク男子が、電車内で出会った素敵な女性と恋に落ちる話。

インターネットの掲示板に書き込まれた恋愛相談が、やがて書籍化、映画化、漫画やテレビドラマにもメディアミックスされた恋愛ストーリー。

 

昔の作品だけど、僕の永遠のバイブルだ。

 

あの掲示板にはリアルタイムで参加していた。

あのときの興奮は今でも忘れない。


あれから僕は、これといって用もないのに、日課の様に秋葉原と自宅を往復する。

もちろん電車で。

僕はアレを期待しているから、必ず夜まで秋葉原をうろついて帰る。

アレとは、言わずもがなのシチュエーション。

「酔っ払いに絡まれる女性を助けるやつ」だ。

もう12年も、僕は絡まれている女性を探しているのに、全く出会いが無い。

 

だけど僕は今日、気付いてしまった。

 

この電車、特に帰りの電車には、ほぼ毎日同じ奴らが乗っている。

いかにもオタクなファッションに身を固めた冴えない男が7~8人。

 

僕と同じ狙いなんだろうと確信した。

 

そして同じ様に、この電車の常連になっている女性も、5~6人居るのに気付いた。

 

まさか・・・いや、考えられる。

 

彼女たちも待っているのだ。

 

絡まれた自分を助けてくれる男を。

 

結果的に、この電車には出会いを求める男女が乗り合わせているのに、お互い『あるキッカケ』を待っていて何の進展も無い状態になってしまっている。

 

僕もその『あるキッカケ』を待っていたから、分かる。

こんなに哀しいシンクロニシティがあるなんて。

 

 

僕は決心した。

 

 

僕らに決定的に欠けていたのは『女性に絡む酔っ払い』なんだ。

 

 

だから今夜、僕がその役を買って出よう!

 

そうして幸せなカップルを誕生させよう!

 

僕は、この電車内の異常な状態に気付いてしまった・・・。

知ってしまった者の役目か。

そして、12年の年月は残酷だ。

僕は立派におっさんになってしまった。

僕さえ犠牲になれば・・・。

 

 

その日、僕はかなり酔った。

 

 

元々強くもないのにたくさん飲んだので、足元はフラつくし顔は真っ赤で、ろれつも回らない。

理想的な『酔っ払いのおっさん』になることができた。

ホームで電車が来るのを待ちながら僕は、どうやって女性に絡もうか考えたが、酔った頭ではロクな考えができない。

 

こうなったら出たとこ勝負だ!

思ったことを怒鳴りまくってやる!

そして仲裁に入る若者にやっつけられよう!

 

意気込んだところに電車が来た。

 

 

開いた扉から車内に乗り込み、さぁ作戦開始だ!

 

 

「おいおいてめぇらフザケんじゃねぇぞゴルァ!

人がどんな思いでこうしてっと思ってんら?!

馬鹿じゃねぇかお前ら!

何で全員酔っ払いになってんらよ!」