『かなり』

干支に入れてよ猫

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闘いに明け暮れた日々

どうも、坂津です。

中学生の頃。

心がギザギザしていて、ナイフみたいに尖ってる奴らが周囲にたくさん居ました。

触れるものみな傷つけんばかりの態度で虚勢を張っていた彼ら。

特に我ら岡山人が日常的に用いる岡山弁という言語は、ナンかソレっぽい印象になる響きなのです。

広島弁ほどじゃないけどね。

地域差もあるんですけど、当時の私の周囲では男子の一人称は『ワイ』が最も多く使用されていました。

これがまたいかにもヤンチャな雰囲気を醸すんですよね。

 

学校の下駄箱前。

必ずそこを通過しないと校舎に入れない唯一の入り口。

そこに、彼はしゃがみ込んでいました。

海賊ドーラを想起させる程のボンタンに、HUNTERのヒソカを連想させる短ラン。

エリート戦士ベジータをオマージュした剃り込みと、尾長鶏にしか見えない襟足。

登校するため目の前を通過していく同級生たちに熱視線を送り続ける彼は、さながらコロナ禍で活躍するサーモセンサーのよう。

 

そんなサーモ君、通り過ぎる同級生に声掛けをします。

 

サモ「おう、ナン見ょんなぁ?」

(訳:やあ、何を見ているんだい?)

同級「(そんな場所でそんなことしてたら誰だって見るだろう)」

 

サモ「おい!ナン無視しょんならぁ!!」

(訳:おや、なぜ無視をするのです?)

同級「(見てもダメで無視してもダメって八方ふさがりでは?)」

 

同級「おうおう、ワイを誰じゃ思ぅとんなら?」

(訳:ねぇねぇ、私を誰だと思ってる?)

坂津「(別に誰でもねぇだろただの田舎のヤンキー中学生だよ)」

 

そしてそこに、私が通りかかりました。

 

サモ「ちょうツラ貸せや」

(訳:少々お時間よろしいでしょうか)

坂津「もうチャイム鳴るから次の休み時間なら良いよ」

サモ「分かったわ」

(訳:承知いたしました)

 

そして休み時間、約束通り私は彼の元へ。

彼は他に2人の仲間を連れて待っていました。

さぁ、闘いの始まりです。

彼らは教室最後尾の机を2つ向かい合わせ、その上に視聴覚室からパクってきた暗幕をバサッと掛けます。

そしてその上に木箱の中から144種の牌をブチ撒け、ジャラジャラと掻き混ぜます。

 

そう、麻雀大会の始まりでした。

 

どういう理由かは分かりませんが、彼らの中で麻雀が流行していたようなのです。

しかしなかなかルールを把握している同級生はおらず、四人を集めることが難しかったそうなのです。

そんな彼らが行った『麻雀できるやつ狩り』に引っ掛かったのが私。

ゲーセンで脱衣麻雀やってたら見つかってしまったのです。

セーラーウォーズってやつ。

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全然勝てないの。

でも現実の対人戦は思ったより面白く、私もハマってしまいました。

学校でこんなことやるのはイケナイと思いつつ、先生もそんなに注意してこなかったので随分と楽しんでしまいました。

 

私よりも少し上の世代だと『麻雀は男の必携スキル』みたいな時代だったように思いますが、昨今の麻雀離れには寂しいものを感じます。

賭けごとのイメージが強いのでアングラな印象を持たれがちな麻雀ですが、推理力や記憶力、洞察力や心理戦の技術、自分を信じる心、罠を看破する眼、気運を察する感性、苦境を我慢する忍耐力、機を逃さず行動する決断力などなど、生きる上で必ず役に立つスキルがメキメキと育まれる素晴らしい遊戯です。

息子が大きくなったら教えてみるかなぁ。

 

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