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袖を通すっておかしくね?

どうも、坂津です。

服を着るという行為を表現するために『袖を通す』という慣用句が使われている場面に遭遇することがあります。

しかし、それが誤用(厳密に言えば)であることもしばしば。

『袖を通す』とは、その衣服を『初めて着用する』ときに使う言葉なのです。

『いつものスーツに袖を通す』とか『姉のおさがりに袖を通した』とかは、普通は言いません。

それは、この言葉の成り立ちを考えてみれば納得できると思います。

 

そもそも『袖を通す』って、違和感がないですか?

服を着るというのは『袖に』『腕を』通すのであって、決して『袖を』通すことはありません。

重ね着であればまぁ、ジャケットの袖にワイシャツの袖が通ると言えなくもないですが、それはそれとして。

なので、事象から言えば『袖に通す』か『腕を通す』が正しい言い回しのように思えます。

しかし、逆にそれでは『初めて着用する』という意味にはなりませんよね。

 

ここで『通す』という言葉について考える必要があります。

一般的に『針穴に糸を通す』とか『ちくわにキュウリを通す』のように、限られた範囲(穴や筒など)を通過、貫通することを表す場面で使われることが多いと思います。

この場合の『通す』は、同じ行動を繰り返し行うことができ『初めて通す』場面でなくとも使用することができます。

しかし、その『トンネルを通す』や『国道を通す』という場合はどうでしょう?

道を作る、という意味での『通す』の場合、これはその場所において初めてのシーンでしか使われることがありません。

つまり『袖を通す』は、これと同様の意味での『通す』なのです。

 

まだ一度も着られていない衣服はペタンとしていて、その中に人の厚みはありません。

もちろん袖も筒状に仕立てられてはいますが、最初はぺったんこです。

そこに『腕を入れるための道を通す』という意味で『袖を通す』と解釈すれば、おのずと、最初の1度しか使わない言葉ということが理解できるのではないでしょうか。

 

って別にこれ、何か調べたわけじゃ無く私が勝手に妄想しただけなので間違ってる可能性も大いにあります。

でもこんな感じで、何でそんな表現をするんだろうと疑問に思う言葉も、その背景を紐解くことで自分が納得できる解答に辿り着けるかもしれませんよね。

 

新明解 語源辞典

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  • 発売日: 2011/08/01
  • メディア: 単行本