『かなり』

干支に入れてよ猫

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転んでないうちから杖を差し出さない方針

どうも、坂津です。

1歳と三カ月が経過した息子氏ですが、とてもチャレンジ精神が旺盛です。

ジャングルジム併設の滑り台を、自力で登って自力で滑り降りるという偉業を成し遂げたのが約3週間前。

それから毎日のように登って滑るを繰り返し、少しずつ危なっかしさが無くなってきています。

妻も私もようやく安心して見ていられるようになりました。

 

しかし。

 

当の本人はマンネリ化してきているようで、最初の頃のようなドヤ顔や満足げな表情が無くなりました。

滑り台に飽きて、もう遊ばなくなるのかな・・・と、私は少し寂しく思いました。

ですがその思いは杞憂に終わったのです。

彼は私の想像の遥か上を往く蛮勇を魅せてきたのです。

 

ちょっと前に購入したソフトブロック。

これを長く連結した棒状のアイテムを持ち歩くのがブームになった彼は、あろうことかそれを持ったまま滑り台に登り始めたではありませんか。

片手が使えない状態での登攀など、大人でも躊躇する高難度パフォーマンスです。

しかし幾度となく繰り返されたノーマルヒルはすでに彼にとってはイージーモード。

よりスリリングな刺激を味わうためには多少の危険も必要なのだと言わんばかりの蛮行です。

 

妻も私も固唾を飲んで見守りました。

ここで彼の手中にあるブロック棒を取り上げることは容易い。

しかしそれでは彼の意思を、決意を、挑戦を、成長の機会を、損なうことになるのではないか。

親の役割とは、転ばぬ先に杖を用意してやることではなく、転んだ後に最大限の補助をしてやることなのではないかと。

 

息子は一生懸命にバランスを取りつつ、やがて片手の相棒を手放すこと無く登頂に成功し、難無く滑り降りることができました。

そのときの清々しく凛々しい笑顔は、まさにやり遂げた男の顔でした。

妻も感動しています。

 

と。

 

ここで息子氏。

 

「ふんす」と鼻息を荒げたと思ったら、今度は両手にブロック棒を装備しました。

 

まさか?

 

いやいやいや。

 

まさかでした。

 

彼はスキーノクロスカントリーよろしく、両手にストックを携えたまま滑り台に登り始めました。

ノルディック複合だってジャンプの時にはストックを持たないというのに。

無理です。

無茶です。

無謀です。

どう考えても愚行です。

しかしこれも彼が考え、彼が自ら起こした行動です。

私たちが横槍を入れるより、少しくらい痛い目に遭って学んだ方が良いのです。

 

両手にブロックを持った状態ですから、当然ながらジャングルジム部分に掴まることができません。

二本の脚のみで階段を登らなければなりません。

もう一段目から苦戦しています。

しかし諦めない息子。

何度もよろめきながら、二段目に足をかけました。

階段は三段。

最終段に向けて片足を上げたとき。

 

息子はゆーっくり後に倒れていきました。

ソフトブロックで組まれた棒は彼を支えることなく崩壊しました。

赤ちゃんならではの柔軟さですぐに膝を曲げ、床と臀部との距離を最小限に抑えた息子。

そして厚いパンパースの保護によって尻もちはほぼノーダメージでした。

 

が。

 

転倒の勢いはそれで終わったわけではありません。

更に後方へ倒れる上半身。

そのままの推進力を維持しつつ、頭部が壁面に衝突しました。

 

ゴンッ。

 

地味に痛々しい音が和室を抜けリビングにまで響きます。

目をまんまるにしている息子。

 

そして2秒後。

 

「うあ゛あ゛あ゛ーーーっ!!!!」

 

そりゃ泣くわ。

めっちゃ痛そうだったもん。

でもな、そうやって覚えていくんやで。

自分が幼い頃の記憶を辿れば、その無知ゆえに子供が『自ら喜々として死に向かう』ことを痛感します。

校舎の二階から飛び降りてみたり、急で長い坂道を廃タイヤと一緒に転がったりした私のDNAが、息子にも受け継がれているのです。

 

だからこそ、許容範囲内の痛みでもって危険を学習して欲しいのです。