どうも、坂津です。
聞いてください。
昨日、新幹線に乗ったんです。
幸運にも、自由席だったのに窓側の席に座れてラッキーでした。
窓側の席は電源の確保ができるんでね。
でも、ラッキーだったのはそこまで。
前方に座った老紳士と、隣に座った酔っ払い、後方に並ぶチャイニーズ旅行者さんのお陰で大変な往路になってしまいました。
まず、私が座席を確保した直後に前方の席についた老紳士。
彼は柔和な笑顔を浮かべながら少し会釈をし、そして「シートを倒してもよろしいでしょうか？」と丁寧に尋ねました。
私もにっこりと笑顔を返しつつ「もちろん、構いませんよ」と快い返事をしました。
すると彼はもう一度会釈をし、席に着き、そしてシートを倒しました。
ＭＡＸまで。
今まで何度も新幹線に乗車したことはありますが、前の人がリクライニング機能を最大限に行使する場面に遭遇したことはありませんでした。
こんなにも倒れるのかのぞみの座席よ。
老紳士は私に頭頂部を凝視されながら、すぐに深い眠りに落ちました。
折りしもそこへ、私の左隣の空席に滑り込んできた男性が居ました。
彼は特に目立った荷物を持っているわけでもなく、またスーツ姿でもありません。
コンビニのビニール袋を提げているだけ。
前のシートに備え付けられているテーブルを降ろすや否や、彼はおもむろにサキイカを開封し、ワンカップを開栓しました。
私は新幹線に乗っていたつもりでしたが、どうやらここは競馬場か競艇場のようです。
折りしもそこへ、今度は後方の座席に大きなリュックを背負い大きなスーツケースを引いた中国人と思われる女子３人組がやってきました。
私は２シートある座席の窓側でしたので、彼女らは必然的に通路を挟んで３人座ることになります。
【席】【席】【席】 【席】【老】
【席】【席】【席】 【酔】【坂】
【席】【席】【中】 【中】【中】
こんな感じの布陣です。
中国は国土のスケールも歴史のスケールも日本とは比べ物にならないほど大きいので、会話のボリュームも非常に大きいものでした。
気の合う仲間と楽しい海外旅行ですから、そりゃテンションも上がるでしょう。
そんな大音量での異国語会話をものともせず爆睡する老紳士によってパーソナルエリアを狭められ、レフトサイドから日本酒の芳香とスルメのスメルを強制吸引させられながら高速運搬される私。
それだけでも地獄のような環境だったのですが、いきなり隣の酔っ払いが話しかけてきたのです。
酔「お兄さん、仕事？どこまで？」
私「はい仕事です。東京までです」
酔「は～大変だねぇ～。泊まり？」
私「いいえ、今回は日帰りします」
酔「それより後の奴らウルサイな」
私「旅行で浮かれているんですね」
酔「しかしおっぱいは大きいよな」
私「さてそこまでは存じませんが」
酔「ほら見てみろよ揺れてるだろ」
私「やめましょうセクハラですよ」
酔「どうせ言葉は分からんだろう」
完全なる
いや、そりゃ彼女らも公共の場での会話音量という点においてはもう少し周囲のことを考えて欲しいものですが、とは言えそれを盾に取ってこちらがハラスメントを行って良いことにはなりません。
例え日本語が分からなかったとしてもこちらの視線はアカラサマに分かるわけだし、酔っ払った赤ら顔でスケベェな目を向け下卑た笑いを浮かべるのは危険な事案です。
本来であればスマホゲームを充分に堪能しながら東京に向かうはずだったのに、縁もゆかりも無い騒音旅行者を酔っ払いから庇うという意味の分からない状況。
しかも前方の老紳士によって極限まで狭められた空間で。
やがて新幹線は京都に到着し、そこで酔っ払いは降りました。
チャイナ娘３人組は名古屋で降りました。
徐々に拘束を解かれていく解放感を催しつつ、しかし前方の老紳士は東京までずっと私に頭頂部を見せつけていたのでした。
