『かなり』

干支に入れてよ猫

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ない

どうも、坂津です。

私はこれまで「ない」の反対は「ある」だと思って生きてきました。

「居ない」⇔「居る」とか「有り得ない」⇔「有り得る」なんかも、この「ない」「ある」の仲間で、必ずついになっているものだと思っていました。

この世のすべては陰と陽。

月と太陽、男と女、春と秋、偶数と奇数などなど。

しかし。

どういうわけか対になるハズの「ある」が存在しない「ない」の言葉がたくさんあることに気が付いたのです。

 

仕方しかたない

日常的によく使う言葉ですよね。

でも「仕方ある」とは言いません。

つまり「仕方」はいつも「ない」のです。

「仕方」は「ない」ことでその役目をまっとうしているとも言えるでしょう。

ドーナツの穴と同じですね。

 

■やるせない

これもよく耳にする言葉です。

でも「やるせある」とは言いません。

要するに「やるせ」も、常に「ない」のです。

水平線や地平線と同じく、言葉としては「ある」のに実際には「ない」のです。

 

■くだらない

頻繁に使用される言葉ですね。

でも「くだらある」とは言いません。

いや、もし言うのなら「くだる」の方が的確でしょうかね。

でも「くだらない」の反対の意味として「くだる」と表現することはありません。

ですが「くだらない」とはつまり、常に上昇志向で前向きでポジティブという解釈も可能です。

天を目指してどこまでも上り続ける、まるでバベルの塔ですね。

 

■切ない

目にも耳にも触れる機会の多いありふれた言葉です。

しかし「切ある」とは言いません。

「せつ」も、他と同様に「ない」ことで初めて機能するのです。

埋蔵金みたいなものでしょうかね。

「ない」からこそ人を駆り立てる。

仮に「ある」ことが証明されてしまったら、その時点で夢も浪漫も消滅してしまいます。

 

■はかない

いや失敬。

さすがの私も「はか-ない」じゃなく「はかな-い」だということは分かっています。

「儚い」ですもんね。

これは今回の「ない」「ある」関連とは種類の異なる言葉です。

同じように「つたない」とか「おさない」なども仲間です。

 

さて、ここで更に気付いたことがあります。

これら「ない」言葉の逆で、「ある」という表現しかない言葉が見当たらないのです。

否定やマイナスの意味合いである「ない」は、それを打ち消す「ある」が存在しないままでも成立しているというのに、肯定やプラスの意味合いでの「ある」には必ずそれを打ち消す「ない」が対になっているのです。

こんなこと考えたって仕方ないのは分かっています。

でもなんだかプラス勢がマイナス勢に負けてるみたいでやるせないですよね。

だからと言ってこの発見をくだらないものとして胸にしまっておくのは切ないので、記事にしてみました。

「無」の科学

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