どうも、坂津です。
大学生の頃、友人たちと夜な夜な集まってキモいオタク談議に花を咲かせたりしていました。
テレビゲームもめっちゃやったし、TRPGやTRGもやりたい放題でした。
そんな夜更かしのお供としてよく利用していたのが、宅配ピザです。
本当に有難いことですよね。
家に居ながら注文して、1時間も経たずに配達してくれるだなんて。
しかも焼きたてで温かいしすこぶる美味しい。
人数が多いと色んな種類を注文できるので、バラエティ豊かな味を楽しめます。
食べざかりですから1人1枚くらいペロリでしたもんね。
そんな美味しい楽しい嬉しいピザを、楽しみに待っていたあの夜のこと。
坂津「電話したのっていつだっけ?」
友A「たぶんもう1時間は経ってる」
友B「いつもより遅いような気が?」
友C「オラ腹が減ってリキが出ねぇ」
友D「いいからもう1戦やろうぜ?」
友E「でも途中で来たら嫌じゃね?」
いつもなら発注後1時間以内には届くはずのピザ。
しかしこの日は1時間が過ぎてしまいました。
今まで遅れたことなどなかったので、こういうときどうすれば良いのか分かりません。
とりあえずもう少し待って、それでも来なければお店に電話しようということになりました。
で、結局90分経過しても来なかったし何の連絡も無かったので、お店に電話してみました。
すると、もう随分前に出発していて、そろそろ帰ってくるものだと思っていたと言うのです。
まだ配達されていない旨を伝えると、とりあえず本人に連絡してみますということで一旦電話を切りました。
しばらくして店から連絡があり、配達中の本人に繋がらないと言われました。
とりあえず他のスタッフに大至急配達させますということでした。
それから30分くらいかな?
こちらが代わりの配達があり、私たちは熱々のピザを堪能しました。
食べ終わって箱をゴミ袋に押し込んでいるときですから、たぶん30分後くらいだと思います。
玄関のチャイムが鳴りました。
驚いたことに「ピザの宅配です」と言うじゃありませんか。
ドアを開けるとそこには、顔面に大きなアザを作ったお兄さんが。
最初、配達用のバイクで転んじゃったのかなと思いました。
しかし顔以外に傷らしい傷、汚れらしい汚れは見当たりません。
そして渡されたピザは冷めきっています。
坂津「何があったか聞いても良い?」
ピザ「代金は8800円になります」
友A「もう代わりのピザ食べたよ?」
ピザ「代金を・・・ください・・・」
友B「とにかく理由を話してみな?」
ピザ「女性に声を掛けられて・・・」
友C「ああ!高級車に乗せられた?」
ピザ「はい・・・どうしましょう?」
友D「え?何?どゆこと?何なの?」
友C「最近この辺で美人局が出るの」
友E「何で配達中に誘われるんだよ」
ピザ「コンビニでトイレ借りた後で」
彼の話を整理すると、こんな感じでした。
配達中どうしてもトイレに行きたくなった彼は途中のコンビニに駆け込み用を足しました。
で、そのまま出るのも悪いので軽く飲み物を買って店から出ました。
バイクまで駐車場を歩いてる間に、停車していた黒塗りの高級車の窓が開き、中から女性に声を掛けられたんだそうです。
「こんなことを初対面の人に打ち明けるのは恥ずかしいのですが、どうしてもHがしたくてたまらないのでお願いできませんか?」
そんな明白な罠に掛かる馬鹿が居るのかと言いそうになりましたが、目の前の彼がそうだったと思い出して口をつぐみました。
配達は30分以内が理想ですが、交通事情などで1時間までは大丈夫だと考えた彼は、あろうことか「20分ほどならお相手できます」と返答したらしい。
そしてそのまま後部座席に乗り込むと、車は静かに滑り出す。
女性とは別に運転手が居たんですね。
移動するなんて聞いて無いと言おうと思ったけど、さすがにコンビニの駐車場ってのも人目が有るしと思っていたら女性が熱烈なキスを。
彼に覆い被さるようにして体を押し付けてくる状況に、車外に目をやる余裕など一瞬で無くなったそうで。
で、ズボンとパンツを脱がされて「いざ」というところで車のドアがガチャ。
「おう、人の女と何やっとんじゃい」
下半身丸出しの状態で車外に引きずり出され、
周囲はコンクリ壁の見知らぬ車庫。
んでまず一発殴られて、ケジメをつけろと言われたんだとか。
ケジメの方法は二択で、このままフルボッコにされるorお金で解決。
と、ここでようやく怖いお兄さんが彼の身なりに気付きます。
明かなるピザ配達員。
こーゆーのって、1人暮らしとかで、特に数時間拘束しても誰も疑問に思わない人材を狙うらしいですね。
でも配達中だからすぐに誰かが異変に気づいちゃう。
案の定、お店から支給されてる携帯が鳴りました。
もちろん出ませんけどね。
車庫の隅では運転手がボコボコに殴られ始めたらしい。
「釣る相手をよく見ろって何べん言わすんじゃボケがぁ!」
「すんませんすんません」
ってことで、とりあえずウェストポーチに入ってるお釣り用のお金を全部で許してやるからさっさと帰れってことになったんだとか。
目隠しされて車でちょっと走ったとこに投げ出されましたが、自元だったので場所がすぐ分かったのが不幸中の幸い。
そこからトボトボ歩いてコンビニまで戻ってウチまで辿り着いたんだと。
当然のように口止めされてるし、そもそも配達の途中でそんなことしようとしてたってお店の人には言えないし。
とにかくお釣り用のお金を盗られたのを少しでも補てんしようと、この冷めたピザ分の代金が欲しかったんだそうです。
坂津「へぇ~あるんだ~実際・・・」
友A「でも店は異変に気付いてるぞ」
ピザ「どうすれば良いんでしょうか」
友B「転んで気絶してたとかどう?」
友C「運悪く人気の無いところでな」
友D「盗られたお金は出してあげる」
友E「お釣り用だし大金じゃないね」
と言うわけで、私たちは面白い話を聞かせてもらった代金として1人千円ちょっとくらいを彼にカンパし、失われたお釣り用のお金を補てんしました。
気をつけて帰るように言いながら彼を送り出した私たち。
それからピザを食べるたびにこのことを思い出します。
今考えればすぐ警察に通報すれば良かったんでしょうけど、でもそれは彼が決めることですし。
もう20年も前の話ですから、さすがに今はこんな罠、転がってないと思いますけど、皆さまもどうか美人の誘惑にはお気をつけくださいね。