どうも、坂津です。
中学生の頃、授業中に『ほんのちょっとしたキッカケ』から妄想が始まり、まるで幻覚を見ているんじゃないかってほど集中してその想像の中を深くまで潜り、気がつくと授業が終わっていたなんてことがよくありました。
もちろん先生に当てられたりしたら強制的に
そんなとき「聞いてませんでした」と言うと先生的には気分が悪いでしょうから、全く質問の内容が分からなかったとしても適当な答えを必ず言うようにしていました。
当たり前ですが見当違いの回答になりますから「おまえナニ言ってんの?」となります。
そこですかさず「あれれぇ?もう一回質問の内容を教えてもらえますか?」と返します。
すると苦笑いしながら教えてくれるので「ああ、そういう意味でしたか!」と返します。
「聞いていない」よりも「変な勘違い」の方が、先生のプライドを守ることができます。
さて、私の妄想には大別して2種類のパターンがあります。
『現実延長型』と『夢想幻影型』です。
『現実延長型』は、実際に起こる可能性がゼロでは無い『リアルな妄想』です。
この妄想は未来にも広がりますし、過去にも遡ります。
例えば、中学生の頃なんて、誰と誰が付き合ってるとかそーゆー類の噂話が絶えませんけど、それを耳にした後の授業中なんてめっちゃ『現実延長型』の妄想してましたね。
あの二人ならお似合いだな。
安藤さんが転校してきて家が近所だとか言ってたもんな。
たぶん学校以外でも接点があるんだ。
家族同士で食事とか行ってて、それで仲良くなったんだろう。
もしそのまま上手くいって結婚したら、安藤さんは江崎くんの名字になるから『江崎紗絵』になるけど、それって回文じゃないか!
『えさきさえ』これは面白い・・・いや待てよ?
もしかしたら江崎くんが安藤さん側に婿養子に行く可能性だってあるよな。
そしたら安藤竜・・・なんてこった!
『アンドリュー』の誕生じゃないか!!
これは素晴らしいカップルが誕生したもんだ。
この面白い発見を誰かに話したい・・・いや待て、これは二人の結婚式のスピーチまで取っておくことにしよう。
安藤さんとはそんなに親しくないけど江崎くんとは小学校から一緒だし、部活も一緒だし、たぶん式に呼ばれないなんてことは無いだろう。
だが待てよ・・・江崎くんと一番仲が良いのは吉村くんだよな。
きっとスピーチは吉村くんがお願いされることになるだろう。
つまりこの話を結婚式で披露するためには吉村くんのスピーチ原稿を私が書くという状況を作らなければならない、と。
現状、吉村くんと私の新密度は10段階で6程度。
今のうちにせめて8か9くらいまでは上げておいた方が良いだろう。
ただ吉村くん、給食のとき口を開けて咀嚼するからクチャクチャうるさいんだよな。
席も遠いし一緒にご飯を食べる機会も少ない今ならまだ我慢できるけど、これ以上仲良くなろうとしたらクチャクチャサウンドを避けて通ることはできない・・・。
つまりTheEND。
安藤さんと江崎くんの結婚式でこの話を披露できる可能性はゼロになってしまった。
リアル過ぎて逆にリアルじゃないという超絶キモい妄想でした。
ちなみに、後で発覚したことですが、江崎くんは『えさき』じゃなくて『えざき』でしたので回文は成立しませんでした。
それに安藤さんがまたすぐ転校しちゃって、二人はすんなり破局しました。
『夢想幻影型』は、文字通りのファンタジーです。
現世では実現するはずもない魔法や妖精が出てくる夢世界、もしくは科学が発達した未来の世界などなど。
そんな幻想への入り口は、意外なほど身近にいくつも転がっているもので。
授業中、ふと窓の外に視線を送ると、ハラハラと雪が舞っていたときなど。
雨は農業にも必須だし、人間の生活に水が欠かせない。
なので雨が降る分には納得できる。
でも雪が降って良いコトって何かあるか?
スキーとかの娯楽は置いといて、不可欠な要素って無いよな。
じゃあ逆に考えてみよう。
もし雪が存在しない世界だったら・・・。
そもそも雨も雪も降ってくる原理は同じで、上空の気温だけが状態を左右するんだから、まず雪が存在しない世界の上空は0℃以下にならないってことだよな。
つまり今よりもすごく温かい世界。
そうなると南極も北極も氷を維持できないから海面は今よりも随分高いハズ。
もう陸地なんてほとんど無いんじゃないか?
そんな状況で生物が存在するためには『空を飛ぶ』か『水棲能力を得る』かの二択だろう。
いや、そのどちらも存在する世界の方が面白いな。
『空の民』vs『海の民』みたいな。
資源の無い空の民は海にそれを求め、空気と陽の光が欲しい海の民は空への進出を狙う。
僅かに存在する陸地はどちらの所有でも無く、空と海とが陸の所有権を巡って対立するのも面白そうだ。
あ、飛べない空の民と泳げない海の民とか良いな。
飛べない空の民は仕方なく僅かな陸地へ。
泳げない海の民も仕方なく僅かな陸地へ。
そして二人の落ちこぼれがその陸地で相互理解を得る。
『空も海もみんな仲良く』的な理想を掲げてお互いの民に呼び掛ける。
しかし。
飛ぶことができない空の民の声が空に響くことは無い。
泳ぐことのできない海の民の声が海に広がることも無い。
それどころか二人の邂逅は、空と海それぞれの民にとって『開戦の口実』にうってつけの材料となってしまった。
海も空もみんな戦争で絶滅して、結局この落ちこぼれ二人が人類の始祖になるっていう神話をでっちあげたところでチャイムが鳴って授業終了。
休み時間は友人と馬鹿騒ぎするし、次の授業中は別の妄想が捗るのでこの話はここでおしまい。
何本もの中途半端な物語を紡ぎ出したものです。
あれ?
これって私だけ?
みんなそうですよねぇ?