『かなり』

干支に入れてよ猫

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エレベーターにて

どうも、坂津です。

後で気付いてめっちゃ恥ずかしくなること、ありますよね。

運転中に爆唱してて後部座席の窓が開いてたとか。

おしゃれにキメてたけど社会の窓が開いてたとか。

気付く前までは上機嫌で有頂天で最高にハイってやつだったのに、真実を知ってしまったあとは羞恥心ロードローラーに押し潰されて死にそうですよね。

しかしそれは、自分で自分の『羞恥シーン』に気付いた場合のオハナシです。

これが『他人の恥ずかシーン』に遭遇したときはまた違った状況になるのです。

 

 

to be or not to be告げるべきか否か

 

 

私の仕事場はオフィスビルに入っています。

階の移動はエレベーターを利用します。

 

エレベーターあるある、だと私は思っているのですが、降りたいのに上りに乗っちゃったり、逆に上がりたいのに降りに乗っちゃったりすることってありません?

 

もちろんそんなに頻繁にしでかすワケじゃありませんけど、疲れてるときなんかは、ほら、仕方ないですよね?

 

その日も私は遅くまで事務所に残ってナンやカンやし、ようやく目処がついて帰り支度をしました。

出入り口の鍵を閉め、エレベーターに向かい、呼び出しボタンを押します。

何気無くスマホをいじっていると、小さくポーンと音が鳴り、エレベーターの到着を告げました。

視界の端で開くドアを確認しながら乗り込もうとすると、先客がいました。

お互いに無言のまま、軽く会釈だけ交わします。

 

そして。

 

「あっ・・・」

 

私は無意識に声を出してしまいます。

こんな時間ですから、当然この人も1階に降りるだろうと思いつつ、念のため向かう先の階を確認しようと視線を送った先で、電光表示の矢印が上を向いていたのです。

つまりこれは上りのやつ。

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先客はスーツ姿の女性でした。

あんまりよく顔とか見ていませんでしたが、たぶん若い子。

 

私がカバンを持っていることと、時間が時間であること、そして私の「あっ」。

これらは彼女にとって容易に「コイツ乗り間違えたな」と想像することができる材料でしょう。

そもそもこのオフィスビルで、途中の階から上に行くことはあんまりありません。

 

こんな時間に上の階へ行くということは、まだ仕事をするってことなんだろうな。

きっとバリバリ仕事してるバイタリティビジネスウーマンなんだろうな。

たぶん空気も読めるし気も遣える、めっちゃできる子なんだろうな。

だから恥ずかしさで死にそうな私に背を向けて、如何にも「何も気付いてませんよ」ってオーラを出してくれてるんだろうな。

 

そんな妄想を瞬時に脳内で繰り広げた私は、しかし次の瞬間、口から飛び出た魂がマッハで宇宙旅行するほど驚いたのです。

 

to be or not to be告げるべきか否か

 

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結論から言えば、私は沈黙を守りました。

いえ、正直に申し上げるのならば、真実を伝える言葉を持たなかったのです。

たった数階の距離を上昇するだけのごく僅かな時間でベストな選択ができるほど、私は高性能ではありません。

私が逡巡、葛藤、苦悩している間に、エレベーターは目的の階に到着し、彼女は降りていきました。

 

無力な自分、無能な自分、ちっぽけな自分、そんな自責の念を抱きながら震える私を乗せ、エレベーターは降下を始めました。

 

でも、だって、難易度高すぎませんか!?

 

あなたならどうします!?

 

何が正解!?