どうも、坂津です。
仕事で使うにしろプライベートで使うにしろ、人間はとにかく『道具』を活用して生きています。
身の回りにある『道具』を、大切にしていますか?
先日ご近所のおばあちゃんちにお邪魔する機会がありました。
いや、おばあちゃんと呼ぶにはその瀟洒な佇まいに合わなさ過ぎる。
おばあ様でしょうね。
よく手入れされたお庭が印象的なおうちです。
いつもお一人でメンテナンスをされてらっしゃるので、本当にすごいなと思っていました。
妻と一緒にお呼ばれし、ひとしきりの歓談後、私たちはお庭に出ました。
そこで何気なく目にしたのが、おばあ様がいつも使ってらっしゃるスコップでした。
「ずいぶん年季の入ったスコップですね」
「私ったら片付けもせず、恥ずかしいわ」
「お手入の途中に来ちゃってすみません」
「良いのよ。いつでも来てちょうだいね」
「それにしても、力強く刺しましたねぇ」
「私そんなに力がある方じゃないけど?」
「でもスコップが半分程土に隠れてます」
不思議そうな顔をするおばあ様。
特に植物を育てているでもないその場所は恐らく土が柔らかいということもないでしょう。
そこにこれだけ深々とスコップを突き立てる腕力は、そろそろ米寿を迎えようかというおばあ様からは想像できませんでした。
でも、事実としてそのスコップは目の前にあるのです。
「あら、まぁまぁ。本当に恥ずかしいわ」
おばあ様はそう言いながら、スコップに手を伸ばしました。
次の瞬間、私と妻は「あっ」と声を上げました。
スコップが、カタンと倒れたのです。
「新しく替えれば良いんでしょうけどね」
おばあ様は苦笑い。
「す、すごい・・・これは徐々に短く?」
「そうよ。なんだか手に馴染んじゃって」
働き盛りの男性が全力で振るった農具ならいざしらず、か弱い細腕のおばあ様が庭のお手入れだけで、何年使えばこうなるんだろう。
愛着を持って大事に使ってきたんだろうなと思いました。
もちろん単純に『長く使う=大事にしている』とは言えないでしょうけど、でも大事に使っていなければ長くは使えないと思います。
お正月早々、とても良いものを見せて頂きました。