どうも、坂津です。
明日は終戦記念日です。
玉音放送で日本の降伏を国民に公表した日が、記念日になっています。
でも、実質的には8月14日に、日本政府はポツダム宣言を受諾し、それを連合国に通告しています。
終戦記念日が、対外的な戦争が終結した日ではなく、国民への発表の日に設定されているということには、とても意味があることなんじゃないかな。
戦争をしていたのは『国』ですが、そこには国を構成する『民』が居ます。
もし終戦を、国だけの問題と捉えていたのなら、きっと終戦記念日は8月14日になっていたことでしょう。
でもそれでは、本当の意味で戦争は終わっていないんですよね。
国を構成する民それぞれが「終わった」と思わないことには。
さて、ウチのじいちゃんは当時、日本には居なかったそうです。
どっかの島で、なんか「フワッと」した情報として「戦争、終わるってよ」と耳にしたんだとか。
じいちゃんも含めて大半の兵隊は「マジかっ良かったー!」と思ったらしいです。
でもそれを言葉にも態度にも出せないので、微妙に深刻な表情で聞いたそうです。
この時期、テレビでも何でも「戦争関連」の情報が頻繁に流れます。
そーゆーのを見るたび、私はじいちゃんから聞いた話を思い出します。
じいちゃんはもう死んでしまったので、色々と聞いた話の真偽は確かめようが無いけれど、でも「その話が本当か嘘か」は、私にはまるで興味がありません。
私にとって「じいちゃんがそういう話を私にしてくれた」という事実さえあればそれで良いのです。
例えば「いやいや、さすがにそれは嘘でしょ」と思うようなエピソードもありました。
でもそれに対して真実かどうかを突き詰めるとか、嘘だという証拠を集めるとか、そんなことには何の意味もありません。
じいちゃんが、私に何を伝えたくてその話をしてくれたのか、そこに思いを馳せることが私にとっては重要なのです。
もちろん、その真偽が私の人生を左右するんなら話は別ですが、私たちが見聞きする情報のうちの大半は「それが本当でも嘘でも別にどうでも良い」ものばかりです。
ブログやSNS界隈でも良く見かける「それは本当か」というツッコミ、あれは見ていて悲しくなりますね。
それが例えば真っ赤なウソだったとして、それであなたに何のデメリットがあるの、と尋ねたくなります。
その情報の真偽によって自分が影響を受けるかどうかの判断をまず最初にして、取るに足らないものだった場合は静かに「ふーん」と受け流せば良いんです。
子供が両手を広げて「こーんなに大きい魚を釣ったよ!」と言っているところに「証拠を出せ」「写真を見せろ」みたいなことを言うもんじゃありません。
話が反れてしまいましたが。
まぁとにかく私のじいちゃんは私に、摩訶不思議アドベンチャーな昔話をたくさんしてくれました。
先にも言いましたが、私にとってそれが本当か嘘かは関係無いのです。
■ポケットのトウモロコシを植えたよ
嘘だろ度:★★☆☆☆
じいちゃんが名も知らぬ南の島に進軍したときの話。
なんかサイパンあたりだって言ってたような気もしますが、島の名前は言ってなかったと思います。
んで。
すごく食べる物に困ったそうです。
みんな自分の持ち物を探りますが、食べれそうなものは全部食べちゃってました。
で、じいちゃんはと言うと、なぜかポケットにトウモロコシの粒が10個くらい入ってたんだとか。
経緯は分かりません。
ただ、これを今みんなに言っても腹の足しにはなりません。
じいちゃんは植えて育てることを決意します。
でも、それをみんなに言うと、育たなかったときの落胆が大きいので、ちゃんと芽が出て実が生りそうなことが確認できるまで秘密にしようと思ったそうです。
トウモロコシは植えてから収穫まで4~5ヶ月くらいらしいです。
その場にそれだけの期間、居ることになるかどうかも分かりませんし。
というわけで、こっそり隠れて土を耕し、こっそり隠れて種を撒き、こっそり隠れて水をやったりしてたんだとか。
芽が出たときはすごく嬉しかったって。
でもトウモロコシ育成作戦はここで終了。
みんなで移動することになったんだって。
じいちゃんはトウモロコシのことは誰にも言わないまま、諦めて移動したんだそうな。
んで何やかんやあって、装備も無い負傷者も居る隊員が減ったというひどい有り様で、その場所に戻ってきたんだと。
んでまずは食べるものを探せってんで、動ける人が散り散りに。
そしたらその中の一人がトウモロコシを持って帰ってきたと。
彼の誇らしそうな顔と、みんなが褒め称えるのを見て、じいちゃんは自分が植えたんだと言い出せなかったそうな。
海水を沸かして茹でたトウモロコシの美味さったら昇天モンだったって。
■何かの部品で大砲を作ったよ
嘘だろ度:★★★☆☆
島に居るじいちゃんたちは、戦闘機から狙い撃ちされまくってたらしい。
人対人の戦いなんて、一回も無かったって言ってました。
それどころか、なんで自分がこの島に居るのか意味が分からなかったとか。
ひたすら逃げて隠れての繰り返し。
なんたって空飛ぶ飛行機相手にロクな武器無しですから、逃げ隠れ以外何もできませんよね。
それなのに、いつの時代でもどこの場所でも居るんですよね、無茶言う人って。
上官から「なんとかしろ」って言われたらしいです。
んでみんなで色々考えた。
シーソーの原理で大きな石を飛ばしてみようとか、樹木のしなりを利用して大きな石を飛ばしてみようとか、なんか石を飛ばそうとばかりしてたみたいです。
そんな中、誰かがふと言い出したそうな。
「海岸に鉄板が落ちてるのを見た」
そこから始まった「大砲作ろう作戦」がトンデモ無かったんです。
鉄板を叩いて筒を作って、その中で火薬を爆発させて内容物を射出しようって発想。
いま考えるととても正気とは思えませんが、追いつめられると何かそんなアイデアが通っちゃう雰囲気になるんでしょうね。
でもじいちゃんは「いや、それ無理だからw」って、樹木を利用する作戦を練ってたらしいです。
んで何日か後、すごい大爆発と共に負傷者が三人増えたんだとさ。
■マッカーサーから勲章を貰うのを断ったよ
嘘だろ度:★★★★★★★★★★∞
ある日じいちゃんのところに、偉そうな米兵が来たんだそうな。
じいちゃんは血気盛んに「誰だキサマ!」と塩対応。
すると相手は「お前にこれをやろうと思ってな」と、勲章を取り出した。
しかしじいちゃんはそれを撥ね退け「そんなモノは要らん!」と米兵を追い返したんだとか。
んで終戦。
何年も経って、テレビでマッカーサー元帥を見たじいちゃんは驚いた。
「コイツはアイツじゃないか!」
これらの話、嘘だろ度が高いものほど、じいちゃんが高齢になってから聞いた話です。
痴呆もあったし、こっちとしても眉毛に唾を塗って聞いてました。
でも、本当に面白そうに話すんですよね。
私がじいちゃんから聞いた戦争関連の話は、悲壮感とか過酷さとか悲惨さ、そういう感じは一切無かったんです。
話の内容は置いといて、どれもこれもコミカルなコメディタッチで語られるという共通点がありました。
私は、そのことがとても嬉しいのです。