『かなり』

干支に入れてよ猫

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車内に響く絶叫

あけましておめでとうございます、坂津です。

ずいぶん暖かくなってきました。

近所の桜のつぼみが、今にもはちきれんばかりに膨らんでいます。

つい最近まで固い芽だったのに、今は先端がピンクに色づいているのです。

そう、日本列島は今まさに『春』を迎えようとしているのです!

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春分の日も過ぎたし、暦の上ではもう春だよなんて使い古された言葉を耳にするたびに「時代も環境も刻一刻と変化しているというのに、いつまで古い暦に支配され続けるつもりだ?」と心の中で軽く反論してしまう私です。

さて、皆様は春と言われて、何を思い浮かべますか?

 

■春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)

 春の夜に感じる趣には、それがたった一刻であっても千金の価値がある、という意味だそうです。

 

私にはまだ風流を感じる能力が充分に備わっておりませんので、この境地には程遠いのですが、ただ春の夜の時間が大切であるということは理解しているつもりです。

それが四季としての春ではなく、恋の季節という意味であれば尚更に。

 

坂津「春だねぇ」

加納「ええ、そうですね」

坂津「夜だねぇ」

加納「はい。そうですよ」

坂津「春の夜のことを春宵っていうらしいよ」

加納「へぇ、そうですか」

坂津「怒ってる?」

加納「怒ってませんけど」

坂津「えー、怒ってるよね?」

加納「怒って無いって言ってますよね」

坂津「・・・ごめん」

加納「良いですよ、別に」

 

私は加納くんを助手席に乗せて、夜のハイウェイを運転しています。

どうしても明日の朝までに届けなければいけないという案件を、例によって私が請け負ってしてしまったのでした。

 

坂津「なんで出来もしない依頼を受けるんだ!」

営業「だって、できると思ったから・・・」

坂津「だってじゃ無ぇだろガキじゃあるまいし」

営業「とにかく、なんとかしてください!」

坂津「開き直ってんじゃねーよもう・・・」

営業「坂津課長だけが頼りなんです」

坂津「毎回毎回そーやって、私が何度お前のお尻拭きになったと思ってるんだ」

営業「すんませんすんません」

坂津「お前の為じゃないからな!お客さんの為なんだからな!」

営業「ありがとうございますありがとうございます」

私の通常運行がよくわかる記事が上記です。

本来であればあと1日納期を長くもらうか、1日早く着工しなければならなかった案件を、営業マンが無理矢理に進めて強行納品となりました。

で、今回のお届けアイテムはどうしても一人では運べない物なので、アシストを加納くんにお願いしてみたという次第です。

ちなみに営業マンとのやりとりは電話です。

彼は出張先から依頼してきているので、自分で動くことはできません。

 

加納「本当に怒ってませんからね。“僕は”」

坂津「あー、やっぱり・・・だよねぇ・・・」

加納「何かお土産を買って帰りますから、大丈夫ですよ」

坂津「忍びねぇな」

♪~もぐもぐしてると~くらくらする~♪

加納「はい、もしもし」

坂津(なんという着信音・・・)

加納「ええ、すみませんね」

坂津(はは~ん、本間さんか?)

加納「そうです。明日の昼には帰ります」

加納「え?いやいや。無理でしょ」

加納「歩美先輩?横に課長が居るんですよ?」

加納「無理ですってそんなの」

加納「何言ってるんですか、冗談はやめてください」

加納「もう切りますよ?」

加納「え?ちょ・・・」

加納「分かった。分かりましたよ、もう」

加納「課長、サービスエリア寄って貰っていいですか?」

坂津「次まで15分くらいかかるよ?」

加納「15分後に掛け直しますから」

加納「え?いや、だから15分後に・・・」

加納「もう、分かりましたから」

加納「おやすみ。ちゅッ」

加納「聞こえたでしょ!?」

加納「はぁ?もう言いません!」

坂津「・・・」

加納「・・・」

坂津「・・・」

加納「・・・課長」

坂津「・・・ん?」

加納「聞こえました?」

坂津「うん・・・ごめん」

加納「・・・」

坂津「・・・」

加納「あ゛ーッ!!恥ずかしいよぉぉぉぉーッ!!!」

坂津「ごめんよ!何かごめんよぉぉぉぉぉーッ!!!」