あけましておめでとうございます、坂津です。
ついに始まりましたね「就職活動」略して「就活」。
いや、こちら側からすると「採用活動」なんですけどね、略して「用動」。
3月1日から連日、ほとんど会社に居ない状態です。
合同企業説明会に出席して、来年の新卒くん新卒ちゃんたちに我社のアピールを力強くねちっこくしつこく行っています。
ブースに8脚のパイプ椅子を並べ、目の前を通過するリクルートスーツで武装した学徒兵に声を掛けます。
我社に興味を持って説明を聞いてくれるかどうか、これは戦いです。
見せてもらおうか、就活生のリクルートスーツとやらを。
「ねぇ、今ちょっと時間ある?ココ、椅子が空いてるんだけどさぁ」
「あれ?忙しそうな顔してどしたの?少しゆっくりしていかない?」
「君の為の席を、ここに用意してるんだけどなぁ、聞いてかない?」
「え?私?坂津佳奈っていいます。は?女みたいな名前だって!?」
「佳奈がおっさんの名前で何が悪いッ!!私はおっさんだよッ!!」
とりあえずこの手法で、まず席を埋めます。
8席が埋まったら会社説明を開始です。
約20分間しゃべり倒します。
「将来の夢があってそれに向かって就職する人なんて皆無だからね」
「大半は、労働条件で絞って採用試験に挑んで疲弊していくんだよ」
「根本が間違っているからそんな悲しいことになっちゃうと思うよ」
「自分の夢が探せる職場、見つけた夢を目指せる職場、それが正解」
「だから、自分の才覚次第で好き勝手にできる中小企業が良いのさ」
「君がもし我社に入社後に、うどん屋をやりたいと夢みたとするよ」
「きちんとした事業計画が在って採算が見込めるなら、我社はやる」
「君を責任者としてうどん事業部を創設し、人員も投入するだろう」
質疑応答があり、約30分で終了。
個別の会社説明会の開催日時が記載された資料と会社案内を渡し、解放。
以上を1セットとして、開場した11時から終了の17時半まで、13セットの演説をブチかまします。
花粉症患者である私はこの時期マスクを着用しているのですが、会場の乾燥がひどくてやばいです。
マスクが無ければ即死だった。
嘘です。
さすがに会社説明の間にマスクが着用できるわけがありません。
正直、会場の乾燥と私音声の連続再生によって喉はガラガラだし、プロジェクターの真横で排気熱の直撃を受けながらしゃべるので汗だくだし、4セット目くらいには体力がエンプティでした。
それでも企業イメージというものがありますから、明るく元気に笑顔でハキハキを意識してマシンガン口撃を続けます。
だんだん酸欠にもなってきます。
頭がボーッとしてきます。
途中から、何をしゃべっているのか分からなくなってきます。
そして最後の13セット目、これで終わりだという気の緩みから、私は大失態を演じてしまったのです。
「君には、目指すべき夢があるのかい?」
「そうかそうか、クリエイティブな仕事がしたいのか・・・たわけが!」
「なんだその五里霧中を絵に描いたような回答は!」
「この世にクリエイティブでない仕事など存在しない!」
「その仕事が創造的かどうかは自分が決めることだ!」
「お前がどうするかだ!お前がどう動くかだ!」
「決めるのは誰だ?やるのは誰だ?行くのは誰だ?」
「そう、お前だ!お前が舵をとれ!」
「ヨーソロー!」
同行した部下の話では、私はだいぶ恍惚としていたそうです。
学生ぽかーん。
冷静さを取り戻した私はこの事態をどう収拾するか秒で考えました。
「って言ったらどうする?」
最悪です。
最悪手です。
しかし私と目が合った学生くんが返答してくれました。
「素晴らしいと思います。御社の理念に共感します」
あまりにも意外な発言に私の方が面くらいました。
しかしこの学生くんのお陰で「そう、なのか?」という空気が流れ、そして「まぁ、そんなに異常でもないか」という雰囲気になり、ゆるりと解散しました。
超、助かりました。
他の学生が解散したあとでも、その学生くんは残っていました。
そして。
「僕も、Captain of the Ship大好きです!会社説明会にも是非参加させてください!」
「そうかね、それは私も大好物だ。できれば毎日食べたいくらいだよありがとう」
大変申し訳ない、学生くん。
そのとき君が何を言っているのか、私にはまるで理解できていなかった。
あとでググってようやく分かったよ。
この場を借りて謝罪しよう。
※この記事は2月下旬に、去年の記憶と現在の妄想をブレンドして書かれたものです。この記事が公開される頃、実際の合同企業説明会がどうなっているのかは不明です。私の無事をお祈りください。ちなみに私は人事部でも採用担当でもありません。