どうも、坂津です。
警察はいつまで「事件を未然に防ぐことはできない」と言わないつもりなんでしょうかね。
「起きた事件の解決(究明)には全力を挙げるが、これから起きるかもしれない事件については関与しない」と明言すれば良いんですよ。
防犯にまで責任範囲を広げるから叩かれるんでしょ?
どうせできないんだから「防ぐのはお前らでやれよ」って言えば良いのに。
「犯人逮捕、捜査、尋問、そこまでは全身全霊をかけてやるけど、それはお前が実際に明らかに目で見て分かるほどの被害に遭ってからな」って。
日本における警察という機能は、何よりもまず「法の遵守」が最優先です。
それが拳銃の所持や発砲を法によって認められていることの代償です。
具体的な事例はまるで思い付きませんが、もし仮に「合法的に」もしくは「まったく違法性が見当たらないような方法で」目の前で殺人が行われたとしても、警察官にはそれを止めることはできません。
よく見聞きする「なぜ警察は事件を未然に防げなかったのか」という報道。
それは前提として「事件を未然に防ぐ能力が在ったにも関わらずそれを行使しなかった」という認識があります。
でも、それって事件が起こった後だから言えてるだけでしょ?
私たちがすべきことは、動けなかった警察を責めることではなく、どういう法を整備すれば警察が防犯的に機能するかを検討することです。
速度制限が40km/hの道路を、凶悪犯が120km/hで逃走していたとします。
このとき、追跡するパトカーは法を遵守して、緊急時の速度超過が許されているギリギリの100km/hで走行し、取り逃がしたとします。
で、逃げた先で犯人が凶悪な事件を起こしたとします。
きっと「そこで守るべきは法定速度じゃなく、次の危険予測と市民の安全だろ」とか言って責められるんでしょうね。
同じ状況で、追跡するパトカーが凶悪犯逮捕の優先し、140km/hで追跡した結果、犯人は自損事故を起こして停車。
車輛の安全装置のお陰で犯人の命に別条はなく、無事に逮捕できたとします。
この場合、誰かが警察の速度超過を責めるでしょうか?
いくら犯人逮捕のためとはいえ、道路の法定速度を100km/hもオーバーし、また緊急時に認められている超過分すら40km/hも超えた危険運転を、誰かが責めるでしょうか?
更に同じ状況で、今度は140km/hで追跡中のパトカーが事故を起こし、一般市民に死傷者が出たとします。
このときは大バッシングでしょうね。
100km/hまでしか認められていない速度を40km/hも超えての無理な追跡の末、尊い命が失われました!
これは過失ではなく、もはや殺人です!
警察の日々の指導はいったいどうなっているのでしょうか!
未来のことなんて、誰にも分からないです。
起こったことに対してしか動けないのは、私たちも警察も同じなんですよ。
私たちが未来に対して行動する権利を行使し、その正当性を保証してくれるのは、唯一法律だけなんです。
もう17~18年ほど昔の話になりますが、私の妹がひどいストーカー被害に遭ったことがあります。
色々あって、結局のところ妹はそのストーカーによって殴る蹴るなどの暴行を受け、それでようやく警察が動きました。
それでも犯人は捕まらず、最終的に別の傷害事件で逮捕された犯人に、妹が面通し(めんとおし:事件の関係者に容疑者を見せて犯人かどうかを確かめること)して、その件でも逮捕されたようでした。
確か妹がこれ以上の関わりを嫌がって、別件の方の傷害事件だけで起訴されたように記憶しています。
このとき、坂津家はみんなで警察を非難しました。
なぜもっと早く動いてくれなかったのか。
初動が遅かったせいで妹だけでなく他の被害者まで出てしまったじゃないか。
しかし「精一杯やれることはやったのですが、結果的には残念なことになってごめんね。こっちにも動ける範囲ってのがあってね」的な反応だったと思います。
確かにそうなんです。
一介の女子高生が「付きまとわれてるの助けて」と訴えてきたことに対して、今の世の中で警察がどれだけの権限を持って行動に移せるのか。
想像してみてください。
あなたには一瞬で人をブッ殺せる能力があります。
ノートに名前を書くとかそんな回りくどいことしなくても、ひと睨みでOkです。
想像してみてください。
あなたの目の前に血相を変えて「助けてください!」と叫び走って来た人が居ます。
その人を「待て!逃がさんぞ!」と叫びながら追いかけてきた人が居ます。
想像してみてください。
逃げてきた人はあなたの手を握り「助けてください!」
追ってきた人は「そいつを渡せ!」とあなたに怒鳴る。
どうしますか?
1.追って来た人を殺す。
2.逃げて来た人を殺す。
3.まぁまぁ落ち着いて。まずは事情を聞かせてよ。
1
⇒逃げてきた人は凶悪犯で変質者。あなたは刃物で刺されてDEAD END。
2
⇒追って来た人は凶悪犯で変質者。あなたの協力に感謝するふりをして近付き、あなたは刃物で刺されてDEAD END。
3
⇒穏便に済まそうとしてる間に逃げてきた人は半狂乱。追ってきた人は逆上。始まる殺し合い。
どれを選んだって正解がないじゃないか!
と思った方がいらっしゃいますかね?
なんで三択なんだよ、もっと賢い方法があるだろと思った方がいらっしゃいますかね?
では現実の世界で、どの選択肢が正解なのか前もって分かりますか?
未来の不透明性は誰にとっても平等に恐怖です。
時間の不可逆性は誰にとっても平等に残酷です。
己の正当性だけは誰にとっても最優先事項です。
他者への非難は誰にとっても好都合な生贄です。
冤罪を絶対許すな
事件が起こってからじゃ遅い
自白を強要するな
なぜあんな奴を保釈するのか
強引な捜査はダメ
警察が動けばあの件は防げた
なにこの雁字搦め。
これじゃ動けないって。
警察が「人任せのくせにうるせーよお前ら」と思ったとしても仕方ないなんて考えてしまいます。
日本にだって探偵事務所や警備会社があります。
直接的に支払いが発生する間柄の方が、より結果に責任を持って任務に当たってくれるような気がします。
「誰の税金で飯食ってると思ってるんだ」という冗談をよく耳にしますが、少なくともそんな言葉を吐いている人に限って、自分がいくら納税していて、それがどのように使われているのかを分かってなかったりします。
長い時間が経ってようやくですが、妹の件で、警察にしか相談しなかったことを反省した私でした。