『かなり』

次の祝日は7月16日ですってよ

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雪山でプチ遭難

どうも、坂津です。

雪山で遭難したこと、ありますか?

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いや、もちろんそんな深刻な感じじゃないんですけどね。

当事者としては遭難気分で焦ったよって話です。

 

私は大学生の時に初めてスノーボードに挑戦しました。

当時の私は「なぜ寒い時期に寒いトコロへ行かねばならんのか」とウィンタースポーツ全般に断固反対していたのですが『ゼミのみんなで行く』ということで話をまとめられ、しぶしぶ連行されることになったのです。

 

先輩「この中でスキー、スノボの初心者は?」

坂津「(おずおずと挙手)・・・はい・・・」

先輩「よし、初心者が居るなら雪質重視だな」

 

いつも豪快なだけで特にカリスマ性の無い先輩が、今回はやたらと仕切りたがります。

恐らくスノボ経験が豊富で、ここぞとばかりに鼻息を荒げているのでしょう。

その鼻息先輩によれば、人生初のゲレンデというのが今後のスキー、スノボ人生を大きく左右するんだそうで。

雪が薄くて固いスキー場が初めてだと、転ぶたびに痛い思いをするので、楽しいと思えないんだとか。

初心者はたくさん転んで感覚を掴むものなので、転んでも痛くないフワフワ雪のゲレンデで初滑りをするのが良いそうです。

 

先輩「最初が肝心だ!セックスと同じだな!」

坂津「分かるけどこの場でその例えは無ぇ!」

 

私が所属していたゼミは『女子6:男子4』という女性陣優位な勢力図でした。

そんな中でも平気で下ネタを暴発させる鼻息先輩。

しかしその裏表の無い性格と豪胆さと分かりやすさ、つまり『害の無い単細胞脳筋キャラ』で、嫌われてはいませんでした。

 

先輩「では行く先を北海道のスキー場とする」

全員「は?北海道?何言ってるんですか先輩」

先輩「坂津の初めてを大事にしてやりたい!」

全員「(言い出したら聞かない馬鹿だー!)」

 

ということで、私の初スノーボードは北海道のスキー場ということになりました。

確か当時は『テイネオリンピア』なんて名前だったと思うのですが、今は『サッポロテイネ』って名称になっているようですね。

 

で、なんやかんやあって現地に到着後、ウェアから板から一式レンタルをして、いざ雪の上です。

思った通り、鼻息先輩は慣れた手つきで装備を身につけていきました。

 

初心者連中は優しい女性の先輩が先導し、雪の上で立つところから教えてもらっていました。

しかし初心者の中で唯一の男だった私だけ、なぜか鼻息先輩のマンツーマンレッスンが開幕していました。

 

先輩「よし坂津ッ!あのリフトに乗るぞッ!」

坂津「ファッ!?まだ立てても無いのに!?」

先輩「習うより慣れろって四字熟語あるだろ」

坂津「四文字でも無いし熟語でも無いがな!」

先輩「やればできるってことわざもあるだろ」

坂津「ソレことわざでも何でも無ぇからな!」

 

そして私は鼻息先輩に無理やりリフトに乗せられ、ゴウンゴウンと雪山を登ったのでした。

体感で10分くらい乗っていました。

 

坂津「ね、ねぇ先輩?ちょっと高くないスか」

先輩「高く上った方がたくさん滑れるだろ?」

坂津「それって上手い人の意見じゃないスか」

先輩「おい、そんな褒めても何も出ないぞ?」

 

そして私が降り立ったのは、なんと札幌オリンピックで使用された女子大回転のコース。

 

坂津「せせせ先輩?大回転って何ですか!?」

先輩「そりゃお前、大きく回転するんだろう」

坂津「この斜面を何がどのように回転ッ!?」

先輩「決まっている。坂津、それはお前だ!」

 

ドンッ!

 

坂津「あ゛あ゛あ゛ああぁぁぁぁ・・・・・」

 

ズザァッ・・・ガッ・・・バフッ・・・

 

坂津「ししし死ぬかと思ったけど痛くない!」

先輩「だろう?遠慮せずどんどん転ぶのだ!」

 

こんな感じで始まった私のスノーボード訓練。

鼻息先輩の言う通りになったのは悔しいのですが、確かに『転んでも痛くない』という状況は効果抜群で、何度も滑っているうちに感覚がつかめるようになってきました。

 

先輩「おおっ!滑れるようになったな坂津!」

坂津「左足が前で真っ直ぐだけならどうにか」

先輩「それで充分だ!どうだ、楽しいだろ?」

坂津「悔しいですけどめっちゃ楽しいです!」

 

食わず嫌いなだけでしたから。

そりゃ楽しいに決まってるんですよ、実際。

んでリフトに乗っちゃ滑り下りるという周回を何度も繰り返しているうちに、だんだんと日が暮れてきました。

しかしゲレンデには煌々と水銀灯が輝き始め、ナイター営業がスタートするのです。

でもさすがに一日中滑っていたので疲れがハンパ無く、また全身の筋肉も悲鳴を上げていました。

さらに夕方から降り始めた雪は徐々に激しくなり、吹雪と呼んでも良い程度の状況になっていました。

 

坂津「先輩、帰って風呂入って寝ましょうよ」

先輩「よし!じゃあコレが最後の1本だな!」

坂津「えぇ・・・今降りてきたのに・・・?」

先輩「見ろ、リフトはまだ動いているからな」

 

誘蛾灯ゆうがとうに引き寄せられる蛾のようにリフトへ向かう鼻息先輩。

私もしぶしぶ付き合うことに。

しかしリフトが中腹に差し掛かったあたりで、スキー場にアナウンスが流れました。

 

「天候悪化のため、この滑走を最後にしてください」

 

先輩「ラッキーだったな!最後の1回だぞ!」

坂津「アンラッキーとしか思えないですけど」

先輩「少しでも長く滑れるコースで降りよう」

坂津「えぇ・・・真っ直ぐ帰りましょうよぉ」

 

・・・

 

坂津「先輩、ここはドコなんでしょうか!?」

先輩「そんなことも忘れたのか?北海道だ!」

坂津「はぁ~・・・(深い深い深いため息)」

 

鼻息先輩の「おい坂津、こっちから降りよう」という悪魔バカの囁きに乗ったのが運の尽き。

斜面を降りれば降りるほど、なんだかゲレンデの照明からどんどん遠ざかっているように思えます。

木にぶつからないように降りるのがやっとな斜面。

これは絶対に正規のコースではありません。

 

坂津「あの、これ本当にコース合ってます?」

先輩「それは降りてみれば分かることだろ?」

坂津「降りてみて、合ってなかった場合は?」

先輩「ぐるっと歩くか、登るかの二択だな!」

 

・・・

 

坂津「ほとんど灯りが見えなくなりましたよ」

先輩「そうだなぁ。なんか腹が減ってきたな」

坂津「言いたかないですが、これって遭難?」

先輩「だなッ!」

坂津「そこは『そうなんです』だろーがよ!」

先輩「だが安心しろ坂津。俺は大丈夫だぜ!」

坂津「何の根拠もない自信やめてもらえます」

先輩「根拠ならあるぞ?ホラ、これを見ろ!」

 

そう言うと鼻息先輩は手袋を外し、バッと広げた手のひらを私に向けました。

 

先輩「俺のライフラインは途切れていない!」

坂津「・・・?」

坂津「あ・・・」

坂津「生命線はライフラインじゃ無ぇよ!!」

先輩「ん?生命線ライフラインには自信があるんだがなぁ」

 

と、絶体絶命漫才をやっていると、下の方に灯りが見え始めました。

なんだかんだで超絶ホッとしたのを覚えています。

 

坂津「先輩ッ!ほら!あれッ!灯りですッ!」

先輩「おお!無事ショートカットできたな!」

坂津「どこがショートで何をカットしたのか」

 

どこをどう降りたのか全く分かりませんが、とりあえず無事に帰れたことを喜びつつ、ゼミのみんなが私たちの帰還を待つことなく宴会を始めていたことに憤ったのでした。

 

坂津「不在を不審に思わなかったんですか?」

先生「いや、だってアイツと一緒だったろ?」

後輩「すごく自由ですからねぇ、鼻息先輩は」

同期「もう部屋で寝てるんじゃねって思った」

先輩「もう過ぎたことは良いだろ?飲もう!」

 

これを機に、私はスノーボードが趣味になりました。

社会人になってからもちょくちょく行くようになりました。

でも、コースから外れないことだけは絶対の掟として守るのでありました。