『かなり』

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私の奇妙な冒険 いや、冒険では無いのだけれど

どうも、坂津です。

今日は私が過去に経験した奇妙な体験をご紹介します。

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基本的には高校、大学時代が遭遇の頻度が高かったように思います。

事故に遭うとか体調が悪くなるとか、そういった何かしらの影響を受けるということは無く、見たり聞いたりするばかりでしたので、当時は「疲れから来る幻聴、幻覚」という強引な解釈で乗り切っていました。

 

友人に「何か新しいの、仕入れた?」と聞かれ、別に好き好んで体験していたワケではなかったのですが、社会人になってから奇妙な経験は徐々に減り、最近はめっきりということを自覚するに至りました。

新しいのが無いなら古いのをまとめてみようということで、当時私が感じた恐怖度のランキングを作ってみました。

 

※文章で表現すると大して怖くないことばかりなので、特に問題ないとは思いますが、念のため怪談が苦手な方は引き返してくださいねと言っておきます。

 

 

恐怖度:★★★☆☆

■1980年代 北海道

 

これは私が怖かったというよりも、両親が私に対して恐怖したという話で、両親からの伝聞です。

小学校の低学年だった私は、家族旅行で北海道に行きました。

父が運転する車の助手席に母、後部座席には私と、小学生になったばかりの妹が乗っていました。

北海道特有の長い長い一本道を順調に快調に飛ばす父。

視界いっぱいに広がる木々の緑と空の青を堪能する母。

最初こそはしゃいでいたがすぐに隣で寝てしまった妹。

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そして、運転する父に話しかける私。

「ねぇ、車がパンクするよ」

父は笑いながら受け流し、母も同調しました。

「本当なんだよ。パンクしちゃうよ」

私は何度も繰り返し訴えたそうです。

あまりにもしつこい私に父はついに折れ、見えてきたガソリンスタンドに入りました。

まだ半分ほどガソリンは残っていましたが、給油がてらタイヤを見せれば、私が大人しくなると踏んだそうです。

しかしタイヤを確認した父は青ざめます。

右前輪に大きな金属片が食い込んでいました。

ガソリンスタンドの店員さんにタイヤの修理を頼みます。

「ここで気が付いて良かったね。このまま走ってたらバーストして事故になってたかもしれないよ」

 

そんなことがありつつ、どうにかその日の宿へ辿り着いた坂津一家。

じつはこの宿、両親にとっては思い出の場所らしく、母が私を身籠っているときに一度旅行で訪ねたことがあったそうです。

もちろんそれは後日聞いた話ですので、当時の私は知りませんでした。

しかし。

「この廊下の先にお風呂があるよ」

「朝ごはんはあの部屋で食べるんだよ」

玄関で靴を脱ぐとすぐに宿の案内を始めた私に女将も驚いていたそうです。

「ぼうや、ウチに来たことがあるの?」

「うん。雪がいっぱい降ってるとき」

両親の旅行当時、雪が降り積もっていたとのこと。

 

当時を振り返るとき両親は口を揃えて「あの時のお前は気持ち悪かった」と言います。

この話を聞かされる度に毎回思うのですが、私はこの旅行のことをまるで覚えていないんですよね。

前後のことは覚えているんです。

旅行の準備が楽しくて、自分の着替えなどをリュックに詰めていたこととか、帰ってきて友達にお土産を渡したこととか。

でも北海道での記憶が一切無いんです。

もしかしたらパンクや旅館の件、私では無い他の誰かなのかもしれないですね。

 

 

恐怖度:★★★★☆

■1990年代 沖縄県

 

高校の修学旅行での話です。

夜、ホテルを抜け出した私達4人は特に当ても無くフラフラ歩いていました。

普段クラスは違いますが同じ演劇部の仲間でした。

各自、同室のクラスメイトに先生の巡回をうまく誤魔化すよう頼み、他の団体客が揃ってホテルから出ていく波に紛れての脱出に成功したのです。

しかし付近に繁華街があるわけでもなく、脱出はしてみたものの手持無沙汰な状態で、つまらない散歩という有り様でした。

「おい、アレ・・・」

仲間の一人が囁くように声を発し、前方の車を指しました。

防風林か何かでしょうか、陸地と海を隔てる雑木林の、その脇を通る道に路上駐車している四駆が見えます。

社内に少し明かりらしきものが見え、低くエンジン音も聞こえるため、アイドリング中であることが分かりました。

街灯も無い場所でしたのではっきりとは分かりませんが、どうも車体が揺れているように見て取れました。

「アレって、カーセックスじゃね?」

私達のテンションは一気に上がり、物音を立てないように四駆に近づきました。

期待通りの光景が、車内で繰り広げられていました。

外国人男性と、おそらく日本人女性のカップルでした。

しかし出歯亀視聴は長くは続きませんでした。

車内の外国人男性が私達に気付き、窓を開けて怒鳴ってきたのです。

何と言っているのかはまったく分かりませんでしたが、きっと「失せろクソガキども!見世物じゃねーぞ!」的な感じでしょうか。

私達は蜘蛛の子を散らすように雑木林の中へ逃げ込みました。

最悪、車で追って来られたりしないようにという咄嗟の判断です。

追跡の気配が無いことに安堵した私達でしたが、雑木林が思っていたよりも鬱蒼としていたのが計算外でした。

もうすでにどっちが海でどっちが道か分からなくなっていました。

今思えばこの時点でおかしかったのです。

本当なら波の音が聞こえるはずだったので。

しかし私達は、まっすぐに歩いていれば海か道かのどちらかに出るだろうとタカを括り、楽観的に歩を進めていました。

しかしいつまで経っても木々が途切れることはありませんでした。

やがて、少しだけ木が少ない開けた場所に出ました。

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そこにはまるで遺跡のような石造りの地面と、三方を壁に囲まれたような空間があり、全体的にコケが覆っていました。

三方の壁のうちの中央には、何か飾りのように掘られた模様がありました。

私達はこの不思議な石造りの建造物が、沖縄特有のお墓であることを知らなかったのです。

少し小高くなっている中央の壁の上に登り無意味にジャンプしてみたり、コケを剥がしてみたり、愚かにも程がある遊戯に興じました。

「ん?何か言った?」

仲間の一人がふいに振り返りました。

しかしその方向には誰もおらず、振り返る彼の姿を他の3人が見ているという構図になっていました。

「おかしいな・・・」

と、彼がこちらを向いたその瞬間に、今度は4人全員が同じ声を聞きました。

「カシャ・・・ギトン・・・カシャギィ・・・トォン・・・」

意味は分かりませんがそう聞こえました。

苦しそうな、かすれた女の人の声でした。

全員が黙ったまま一目散に駆け出しました。

さっきまで全然出られなかった雑木林でしたが、この時は一瞬で道路に出ることができました。

さすがに複数の人間が聞きましたし、ホテルに帰ってからみんなの証言が一致したので幻聴ではないかなぁと思いますが、もしかしたら誰か雑木林に居たのかもしれませんね。

 

 

恐怖度:★★★★★

■2000年代 香川県

 大学時代の夏休み、うどん県の友人の家に泊まりに行きました。

4人乗りの軽四に無理やり5人乗って夜の山道をドライブしました。

友人のボロ車はエアコンの効きが悪く、さらに人口密度の高い車内は大変な暑さでした。

少しでも涼を求めようと、そしてその山の周辺が古墳ということもあり、安直な発想で怪談が始まりました。

特に怖くもなんともない話を順番に話しつつ聞きつつしていると、ついに山道も終わりに近づいてきました。

もう2~3のカーブで麓に降りるというあたりで、対向車とすれ違いました。

全員が「ヤバい」と思いました。

すれ違ったのはパトカーでした。

明らかに定員オーバーでしたので、バレたら怒られると思ったのです。

定員オーバーって何点だっけ?などと話していると急にサイレンが聞こえました。

後ろから赤色灯を回転させながらパトカーが迫ります。

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「止まりなさい、止まりなさい」

あー、もうダメだ。

Uターンして追っかけてきやがった。

私達はお祭りムードから一転、意気消沈しました。

路肩に車を寄せ、私達はぞろぞろと車から降りました。

警察官もパトカーから降りてきて、鼻息を荒げながら説教の始まりです。

「こんな時間のこんな山道で、なんて危険なことをするんだ!」

私達は全員が黒っぽい服装でしたが、パトカーのヘッドライトに照らされているので闇夜に紛れて逃げる訳にもいきません。

「一歩間違えたら死ぬことだってあるんだからな!」

定員オーバーくらいで大袈裟なとも思いましたが、交通ルール違反が重大な事故に繋がることを知らしめるのが警察の仕事なので仕方無いですね。

「それで、もう一人はどこに行ったんだ!?屋根に乗ってた白い服の奴は!?」

私達が「そんな奴は知らない」「マジ勘弁してください」と騒ぐので、警察官もようやく自分が見たものを疑い始めました。

パトカーの助手席から降りてきた少し年配の警察官が、私達に怒鳴ってきた警察官と何か二言三言話し、そして私達は解放されました。

どうも定員に関してはまるで気付いていなかったようです。

私達は元のように5人で軽四に乗り込み、友人の家に帰りました。

酒を飲みながら、さっきの話題で盛り上がります。

「マジだったんかな?」

「警官が怖がらせようと思って嘘ついたんじゃね?」

「んなことせんやろ」

喉元過ぎればなんとやら。

私達は泥酔し、そして誰からともなく寝落ちとなりました。

家主は自分の布団の上、それ以外の4人は6畳程度の床にパズルのように組み合わさって器用に寝ていました。

ふいに物音で目が覚めました。

ギシ・・・ギシ・・・

家鳴りのようでした。

古いアパートですから仕方ありません。

ちょっと歩くだけで床がギシギシ鳴ることも知っていました。

ぼんやりと見えるカーテンの隙間からのぞく外はまだ暗く、明け方でもないような感じでした。

ギシ・・・ギシ・・・

だれかがトイレにでも起きたのでしょうか。

と思って音の鳴る方向を見ようとして、ようやく気付きました。

動けません。

金縛りのようです。

しかし金縛り程度であれば慣れたものですので、特に気にすることもありません。

顔を動かさずに見える範囲は窓側だけで、床の鳴る音は真反対の玄関側から聞こえます。

見えないのなら仕方ないので、私は耳を澄ますことにしました。

ギシ・・・ギシ・・・

やはり誰かが歩いているような床の軋み音です。

一定の間隔で鳴っています。

ギシ・・・ギシ・・・

ここで私はあることに気付き、急に恐ろしくなりました。

床の軋み音が、仮に歩いている音だと仮定すると、一歩がめちゃくちゃ大きいのです。

部屋の入口あたりで「ギシ・・・」

私の耳元、つまり窓側で「ギシ・・・」

私の足元で「ギシ・・・」

私の頭がある位置から対角の部屋の角で「ギシ・・・」

つまり、大まかに言えばこの部屋の四隅で音が鳴っているのです。

非常識な長さの足を持った何者かが、この部屋の中をぐるぐる回っているという想像が頭から離れなくなり、私は怖くて怖くてたまりませんでした。

 

いつの間にか落ちていたのでしょう、翌朝目を覚ました私はひどい二日酔いでした。

他の友人たちも同様でした。

やっと動けるようになったのは夕方も迫ろうかと言う時刻。

ギリギリ動ける私ともう一人の友人が買い出しに行くことになりました。

軽四のキーを借り、駐車場に向かいます。

ドアの鍵穴にキーを差し込んでロックを開けようとしたとき、ドアに手形が付いていることに気が付きました。

きれいに砂埃がついた、というと変な言い回しですが、いわゆる洗車などしたことがないようなボディに、指で字が書けそうなほど砂埃が付着しているのです。

その埃が、手のひらの形に取れています。

運転席の中から窓を全開にして、右手をドアの外に出し、だらんと下げたような位置に手形はありました。

もしやと思い助手席側に回ると、そこにも同じような位置に手形がありました。

昨夜のあれ、私はてっきり足の長い何かだと思っていたのですが、実は手が長い何かだったのかもしれないと思いました。

 

 

 

こうしてまとめてみると、やはり自分だけで見聞きしたものよりも共通の体験をした人が居るほうが、より怖い記憶として残るんだなと思いました。

夜の学校の廊下に一直線に並ぶ人の陰も、前を走る車のトランクからちょっとだけ出ている指も、体育準備室の柱の向こうにいた灰色の女の人も、路地から出てきたやたら小さいお婆さんも、ボロ布を纏って電線からぶら下がっている影も、すべては私が一人で見たものですので信憑性に欠けるのです。

 

とは言いながら、遭遇した当時はめちゃくちゃ怖いんですよ。

時間が経てば大したこと無いんですけどね。

 

やっぱり文字にするとあんまり怖くないなぁ。