『かなり』

干支に入れてよ猫

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ポケットの中のビスケットのように小悪魔が増えます 叩いてもないのに

どうも、坂津です。

コミックマーケット公式サイトへようこそ

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コミケが近づいてまいりました。

本当に参りました。

参ってるんです。

忙しすぎて!

 

「坂津さん、艦これのデータをチェックして欲しいんですが」

「お前、この時期に“艦これのデータ”って、どんだけ艦娘が溢れてると思ってるんだ」

「すみません、大井と間宮がぬちょぬちょのやつです」

「バカヤロウ!管理番号で言え!キャラ名なんぞ知らん!」

「え、知らないんですか?」

「いや、知ってるけど、おおまみカップリングなんて多過ぎてどれのことか分からないだろって言ってんの。データ管理番号を教えろください」

「いや、おおまみはそんなに多くないですよ」

「そんなこと聞いてねぇぇぇー!早く番号言えやぁぁぁー!!」

 

忙しいと思っているのは私だけなのでしょうか。

どうにも周囲とのギャップを感じます。

 

「坂津さん、ちょっとこのデータ見て欲しいんですが」

「ん、どれどれ」

「コレなんですけど、いけますかね?」

「・・・うわぁ、さすがにマズいな。作家さんに修正のお願いしといて」

「どのくらい修正してもらいましょうか?」

「どのくらいって・・・こっちから言う分にはそりゃ“商業誌レベルで”としか言えんだろうよ。せめて具が見えないようにして、結合部も隠さなきゃ」

「じゃあ粗モザか黒海苔ですかね。薄消しとか線はダメですね?」

「そだね。白ヌキでも良いよ」

 

オフィス内でこんな話をしようものなら、女性従業員からの侮蔑の視線が突き刺さります。

ありがとうございます。私にとってはご褒美です。

 

 

 

そんな中、部下の一人がこっそりと寄ってきました。

 

「坂津さん、ブログ書いてますよね?」

 

「ぶべらっ! な、なに?いきなり何だよそりゃブログくらい書くよ私も現代人のはしくれだからね」

 

「いや、ウチの会社がコミケ前で忙しいじゃないですか。だから他にもそんな会社あるのかなーって、繁忙期とか忙しいとかコミケ前とかの言葉で検索してたら、どうも坂津さんとしか思えないブログが出てきまして」

 

「気のせいだろ。坂津なんて名前はどこにでもいるし」

 

「いや、でも桐谷さんのことが書いてあったので・・・」

 

「あべしっ! 誰にも言わないでくれたら美味しい美味しいゴーフルをあげよう」

 

「わーい!ありがとうございます!桐谷さんと食べよっと」

 

 

ん?

 

桐谷さんと?

 

あれ?

 

もしや?(もやしじゃないですよ)

 

 

今の話、もしかしてあの子が偶然にこのブログを見付けたのではなくて、桐谷さんが漏らしたという可能性も・・・

あ、漏らしたって、情報をですよ?

それ以外の何を漏らすって言うんですか、ダメですよそんなこと想像しちゃ。

 

桐谷さんというのは最近中途入社してきた妖しい女性です。

 

 

まず確認しなきゃな。問い質してみよう。

 

いや待て。

 

もし違ったら桐谷さんに濡れ衣を着せることになる。

あ、冤罪って意味ですよ?

本当に服を濡らしたりしたら透けちゃって、ダメですよそんなこと想像しちゃ。

 

上手く聞き出す方法は無いものか・・・。

 

そうだ、さっきの子のPCの閲覧履歴を見ればすぐに分かるじゃないか。

本当に検索してて偶然に当たったのなら、それらしい履歴が残るはず!

あとこのブログのアクセス解析で流入ワードを調べるのも必須!

よし、まずこれでいこう。

 

私は自分のナイスアイデアに胸を躍らせました。

あ、自分がわくわくしたってことですよ?

桐谷さんの胸は躍らせられるほど無・・・あ、いや、ダメですよそんなこと想像しちゃ。

着痩せするタイプなので本当は割と・・・あ、いや、ダメですよそんなこと想像しちゃ。

 

まずい、テンパって暴走している。

 

まず落ち着こう。

 

忙しいのがいけないんだ。

 

少し休憩を取ろう。

 

私が喫煙者であればここは1本吸うところなのでしょうが、5年くらい前に禁煙してそれが未だに継続中なので吸いません。

5年経っても、まだ濃い食事のあとなんかは「いま吸ったら美味しいんだろうな」とか考えてしまします。

あ、吸うってタバコですよ?

いや吸いませんけど。

代わりに飴を舐めますけど。

飴ですよ飴、舐めるのは。

 

あーもうヒドいな、私。

 

毎日毎日来る日も来る日もエロい絵ばっかり見てるから精神が病んでしまったのでしょうか。

とにかくブレイクが必須。

コーヒーでも飲もう。

 

 

と、私の脳内で坂津劇場が絶賛上映中にご本人さん登場。

 

 

「あれ坂津さん、こんなところで何してるんですか?」

 

「うわっほぃ! ああ、桐谷さん、今日も暑いね」

 

「ホント、暑いですねぇ。汗だくですよ~」

 

そう言いながら彼女は、シャツの第二ボタンまで開けて左手で襟を広げながらそのファンタジーゾーンへ右手で微風を送り込む。

 

その姿を凝視してはいけないという自制心のおかげで私はなぜか壁に向かってしゃべる。

 

「事務仕事は座りっぱなしだから、ちょっと腰を伸ばそうと思ってね。ついでにコーヒーでも飲もうとこうして自販機コーナーに来たのさ。そうだとも。気分転換だよ、気分転換ははは」

 

「そうでしたか。で、そこ、何か書いてあります?」

 

「ん、いや、何でもないよ」

 

「あ、そういえばお菓子ありがとうございました。美味しかったです」

 

「ああ、本間さんにあげたやつね」

 

「あの子すごく律儀ですね」

 

「そうだね。若いのに大したもんだよ。で、何が律儀なの?」

 

「坂津さんにブログのこと言ったら貰ったって、だから分け前だって言ってました」

 

「ちょっと良いかな桐谷さん」

 

「なんですか?」

 

「何人に言った?」

 

「本間さんだけです」

 

「本当に?」

 

「本当です」

 

「なんで本間さん?」

 

「あの子なら他の人に絶対しゃべらないって思ったので」

 

「あー、その辺の配慮はあるんだ」

 

「もちろんです。坂津さんのブログのことは極秘事項ですから(笑)」

 

 

桐谷さんは謎の自信を覗かせて去って行った。

覗かせてという意味なら、その魅惑的な鎖骨も存分に披露しながら。

 

フラフラと席に戻り、どうしたものかと悩んでいるとそこへ本間さんが。

 

 

「坂津さん、絶対に誰にも言いませんからね。でも激務で疲れた頭に糖分が不足してボーッとしてつい口が滑ったらごめんなさい」

 

「よし、ゴーフルをやろう」

 

「わーい!」

 

 

これは何のフラグなんだッ!?

 

 

とりあえず私の言動をあとで振り返ることができるよう、カテゴリーに桐谷さんを追加しておこう・・・

あ、本間さんも一応作っとこうかな。