『かなり』

干支に入れてよ猫

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カラスは「便宜上、黒い」のであって、私が「カラスは白い」というのを否定することは誰にも出来ない

どうも、坂津です。

昔から目立つ人でしたが、最近特に露出が多くなった気がする大泉洋さん。

割と好き嫌いが分かれるタイプの方だとは思いますが、私は好きです。

 

 

 

白黒はっきりしなさい、という言葉がありますね。

YESとNO、男と女、過去と未来などなど、対義語として使われる言葉はたくさんありますが、どれを取っても「その中間」という状態や立場や選択もあり得ます。

白か黒かの判断を色調のグラデーションで可視化してみたときの中間層を、グレーゾーンと呼びますね。

 

世の中、グレーゾーンで成り立っていると思いませんか?

 

価値観の多様化が進むにつれて、グレーゾーンの浸食も進みます。

今はもう「はっきり白」「きっぱり黒」なんてごく一部にしか存在しないのではないかと思うほど、グレーゾーンの勢力は拡大されています。

 

な・の・に、なぜか人は白黒はっきりつけたがるんですよね。

 

真っ白いものでも闇の中では周囲と一緒に真っ黒です。

真っ黒いものでも強い光の中では周囲と一緒に真っ白です。

 

白だろうが黒だろうがYESだろうがNOだろうが男だろうが女だろうが過去だろうが未来だろうが、すべてまとめてぐちゃぐちゃに混じり合ったのが現在の私であり、あなたなのでしょう。

 

恐らく「効率の良い仕組み」の中ではとても価値のある区分けなんだと思いますよ、白黒の判断って。

でもそれが絶対的なもので、それが拠り所なんて人生はひどく脆いように感じます。

 

ふにゃふにゃしてる方が強い、と思うんですけどねぇ。

『過去消去サービス』

『あなたの消したい過去、キレイに消します』

 

広告の効果ってすごいな。

こんな胡散臭い広告なのに、ちゃんと食い付くお客さんが居るんだもん。

ま、あたしがその食い付いた1人だけど。

だからってあたしも馬鹿じゃないし、まるっきり信じてるわけじゃないんだけど。

 

藁にもすがるってやつ?

どうしても消したい過去があるのよね、あたし。

 

だからまぁ、好奇心と期待が半々みたいな感じかな。

 

とりあえず広告持ってお店に入ったら、スーツ姿の男の人が漫画みたいな笑顔で迎えてくれた。

 

「いらっしゃいませ。お客様、当店のご利用は初めてでいらっしゃいますね。どうぞこちらへ」

 

顔見ただけで初めてってわかるの、すごくない?

あ、やっぱお客さんが少ないから?

てゆーか何度も来る人もいるのかな?

 

とか考えてたらその男の人がぺらぺら話し始めた。

 

「当店のサービスはお客様が消してしまいたい過去を完全に消去してしまうというものです」

 

すごく手際よく分かりやすく説明をしてくれた。

だいたいこんな内容だった。

 

『1.消したい過去に関する本人の記憶、それからその過去に関わる全ての人の記憶を消去する。過去を想起する物品も全て処理する』

へぇ!あたしだけじゃなくて他人の記憶も消してくれるんだ!

 

『2.料金は、消したい過去のデータ容量100ギガアーデルハイド毎に5,400円』

いまいちよくわかんないなぁ。

 

『3.一度消去した過去は元に戻りません。また過去を消去したことによるトラブルには当店は一切関知いたしません。』

一回消したら戻んないのね。気をつけなくちゃ。


てゆーか、ぶっちゃけあたしが一番気になってんのは料金なんだよね。

あたしが消したい過去って、いくらなんだろう?

無料で見積もりしてくれるみたいだからしてもらった。

色々質問されて、あたしが答えるたびに男の人は慣れた手つきで電卓を叩く。

そして、漫画みたいな笑顔で金額を教えてくれた。

 

「お客様のご希望通りに過去を消去致しますと、384億5400万円程ですね」

 

高!なにそれ!

 

と、あたしは声に出しはしなかったけど、思いっきり顔をゆがめちゃった。

 

そしたら男の人は

「只今サービス期間中でして、料金5%引きキャンペーンと、無料過去消去体験を行っております」

って言った。

 

料金が5%引きになったところで到底払えないけど、無料体験はちょっと興味あるなぁ。

消せるのは本人の記憶を1時間分だけらしいけど、丁度それくらいの消したい記憶があるし、試してみよっかな。

無料だし。

 

「あの、今日の昼1時から2時まででお願いします」

 

その時間は、この店の広告を見つけてから今までの時間。

だって、どうせ払えないんだもん。

忘れちゃった方がすっきりするよね。

 

そしたら男の人が言ったの。

「またですか?」