『かなり』

干支に入れてよ猫

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視点の違いを理解し合うところから始めよう

どうも、坂津です。

寒暖の差が激しく、体調管理が大変ですね。

 

 

~・~・~・~

 

男は巨大な帆船のクルーだ。

順調に風が吹いているときは余裕の航海で、船長をはじめ乗組員はみんな上機嫌。

しかし風が止むと状況は一変する。

男は多くの仲間たちと一緒に船底にあるオールで必死に漕ぐ。

視界にある小さな窓からは、今のおよその時間と天候くらいしか分からない。

とにかく、漕がなければ船は進まない。

甲板から死ぬ気で漕げという怒声が降り注ぐ。

 

男はやがて、船底に小さな穴があるのを発見する。

その穴から徐々に海水が浸入してきているのが分かる。

男は叫ぶ。

 

「おい!ここに穴があいているぞ!誰か!」

 

しかし周りのみんなは男と同じく、両手で必死にオールを動かしている。

甲板から死ぬ気で漕げという怒声が続いている。

男の声は仲間の耳に届いているのだろうが、しかし反応は無い。

 

(まだ小さな穴だし、今は急場しのぎで・・・)

 

男が手近にあった木片を穴に差し込むと浸入してくる海水の量はいくらか減った。

しかし安心してはいられない。

オールを漕ぐ手を止めるわけにはいかないのだ。

甲板から死ぬ気で漕げという怒声が続いている。

 

しばらくすると男の耳に叫び声が聞こえた。

 

「おい!穴だ!海水が入ってくるぞ!」

 

思った通り、誰も反応はしない。

もちろん男も見て見ぬふりをする。

 

(俺が声を上げたときもそうだった・・・)

 

だが今度は状況が違った。

穴はみんなの想像以上に大きかった。

どんどん海水が溢れてくる。

浸入する冷たい水は男の足元にも及んだ。

誰かが叫ぶ。

 

「海水を汲み出そう!」

 

幸いにも、汲み出せる量と浸入してくる量は同じ程度。

このまま汲み出していればまず沈没は免れると思われた。

次々とオールから手を離し、海水の汲み出しを始める仲間たち。

男も参加した。

 

甲板から死ぬ気で漕げという怒声が続いている。

 

誰もが思った。

 

(今はそんな時ではない!この汲み出しをやめればたちまちこの船は沈んでしまう!)

 

~・~・~・~

 

男は巨大な帆船のクルーだ。

順調に風が吹いているときは余裕の航海で、船長をはじめ乗組員はみんな上機嫌。

しかし風が止むと状況は一変する。

男は船底に居るオールの漕ぎ手たちに向かって叫ぶ。

 

「おい!死ぬ気で漕げよ!手を止めるな!」

 

男の位置からでは漕ぎ手たち全員の姿が見えるわけではない。

甲板から船底に続く小さな出入り口から確認できる数人に対して檄を飛ばすのだ。

男は連絡係。

船長の指示によって漕ぎ手の動きを統制する。

例えば右舷のオールを止め、左舷だけ漕がせて船首を右側に回頭させるといった具合だ。

 

今、船長からは「とにかく漕がせろ」と指示を受けている。

 

やがて男は船底の様子がいつもと違うことに気がつく。

船の速度も落ちているように感じる。

持ち場を離れる漕ぎ手がいるようにも見える。

 

「おい!死ぬ気で漕げ!スピードが落ちているぞ!」

 

しかし状況は変わらない。

船長からは「なぜ漕がせられない」「早く進ませろ」と脅迫にも似た指示が飛ぶ。

 

男は思った。

 

(なんで下の奴らは指示通りに漕がないんだ!船長、私はちゃんと伝えています!)

 

~・~・~・~

 

順調に風が吹いているときは余裕の航海だっかが、風が止むと状況は一変する。

船長は乗組員に指示を出す。

 

「この凪では帆は役に立たない!オールを使ってとにかく進むのだ!」

 

この船で唯一、双眼鏡を持つ船長だけが知っていた。

船の背後に大きな嵐が迫っていることを。

 

船長の長年の経験では、もう少しこのまま進めばやがて停泊できる島があるはずだった。

仮に嵐に巻き込まれたとしても島に近ければ近いほど、難破したときの生存率は上がる。

今は何よりも前進することが最優先なのだ。

 

嵐はどんどん近くなる。

心なしか船の速度が落ちているように感じる。

オールの漕ぎ手たちはちゃんとやっているのか?

自分の指示はきちんと届いているのか?

 

嵐の影響で行く手を阻むように逆風が吹き始める。

船の速度はみるみる落ちていく。

このままでは全員が・・・

 

「連絡係!何をやっている!漕がせろ!進むのだ!」

 

船長は知っている。

長く苦楽を共にしてきたこの船は、いたる所に不具合があるだろうこと。

旧式の舵は重く、操舵しづらいかもしれない。

船底の木材がもろくなっていて、最悪の場合は穴があくかもしれない。

 

しかし今は進まねばならない。

留まれば死に体の状況だが、進めば希望はゼロでは無いのだから。

 

船長は思った。

 

(みんな私を信じてくれ!今はとにかく進む時なのだ!)

 

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さて、それぞれの状況と思いはご理解いただけたでしょうか。

漕ぎ手の男、連絡係の男、船長はそれぞれ、どのように行動すれば良いのでしょうか。

今が最善とは、とても思えませんよね。

 

1.漕ぎ手は連絡係に船底の状況をきちんと説明することと、穴の修繕を依頼すること

 

2.連絡係は船底の状況をちゃんと把握するために自分で見ることと、船長の指示の意図を理解するために船長と話し、それを漕ぎ手に伝えること

 

3.船長は自分の持っている情報、考えを連絡係から漕ぎ手へ伝えること

 

色々な考え、意見があると思いますが、私は上のように考えます。

 

 

自分なりの解決策、改善策を思い描いたところで、次に船を会社、船長を経営者、連絡係を中間管理職、漕ぎ手を現場スタッフに置き換えてみてください。

嵐は不景気とか、船底の穴は日々の業務とか、できればその辺りも置き換えを。

もちろん現実との相違はたくさんあると思いますが、共通点もありませんか?

 

 

もしあなたが今の仕事で悩みや行き詰まりを感じているとして、あなたが考えたさっきの船に対する改善策が、あなたの悩みの解決のヒントになれば幸いです。