『かなり』

干支に入れてよ猫

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糖質制限中の夫婦、アホになる

どうも、坂津です。

↑これの、その後です。

 

お互いにポンコツ旧機種からの脱却が実行され、私たち夫婦は快適なスマホライフを送ることができるようになりました。

 

私「ふおおおお!はてなアプリが使えるぅぅぅー!」

妻「うひょおお!電池が全然減らないぃぃぃぃー!」

 

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ケースもお揃いにしたんです。

私たちはそれぞれ思い思いの体勢で画面に指を走らせます。

 

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タップタップフリックフリックタップフリックフリック♪

 

妻「さて、そろそろお腹がすいてきたと思わんかね」

私「奇遇だなラブやん。まったく同感だ」

妻「では昼ご飯を作りましょう」

私「何か手伝うことはあるかね?」

妻「ふっふっふ・・・今日は唐揚げを作ります」

私「えぇッ!?い、いのか?」

妻「ただの唐揚げと思うなかれ」

私「ま、まさか・・・ッ!?」

 

私と妻は現在糖質制限中。

なので揚げモノはコロモ部分が天敵なのです。

しかし。

tomy103103.hatenablog.com

実は私、糖質制限の先輩であるTomyさん(id:Tomy103103)のごはんを拝見して以来、ずっと『大豆粉』の唐揚げに憧れる日々を送っておりました。

 

私「どうやらこの世には『大豆粉』というものが存在しているらしい」

妻「もしそれが本当なら、今後の我々の戦局が大きく変わるな」

 

こんなやり取りがあり、妻はそれを覚えていてくれたのでした。 

 

妻「ここに味付け完了した鳥肉があります」

私「おお!ザンギスタイル!」

妻「粉を付けてください」

私「まかされたっ!」

 

私が粉を付ける係り。

妻が揚げていく係り。

 

そして。

 

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ご飯の代わりに豆腐というスタイルはもうレギュラーです。

 

妻「今日は久しぶりに、ワインを解禁します」

私「ありがとうございます!」

妻「スパークリングワインは1本でだいたい糖質15gです」

私「あ、思ったよりも低い」

妻「普段は摂っていない糖分ですので侮ってはいけません」

私「肝に銘じます」

 

とは言え、他のメニューにはほとんど糖質は含まれていません。

解禁するとは言いつつ、ちゃんと摂生しているのです。

んで、昼間っから飲んだくれた私たち。

すぐにスパークリングワインが1本、カラになりました。

 

私「呑み足りないね」

妻「うむ。だが今日はもうワインはダメね。糖質多いから」

私「じゃあ何にする?」

妻「ジンライムでも作ろうか」

 

こんな調子で飲み続け、気付けば外は真っ暗になっておりました。

 

妻「なんかもう、夜ごはん要らないね」

私「同感だな」

妻「でも・・・」

私「でも・・・?」

妻「あなたは信じますか?別腹の存在を」

私「信じます!信仰しています!別腹万歳!」

妻「敬虔な別腹信者である旦那にはコレをあげます」

私「うおおお!」

 

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シャトレーゼ様がご降臨なされました。

 

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そしてその御身を私めの別腹へとお沈めになられました。

 

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妻「甘めぇぇぇぇー!!!」

私「美味えぇぇぇー!!!」

※注:二人とも酔っています。

 

妻「こんなに甘いのに!?」

私「糖質5gゥゥゥー!!」

妻「こんなに美味しくて?」

私「糖質5gゥゥゥー!!」

※注:二人とも泥酔しています。

 

妻「別腹様ばんざーい!」

私「シャトレーゼ様ばんざーい!」

妻「ねぇねぇシャトレーゼ様ってどんな声だと思う?」

私「そりゃなんか、その、カッコイイ女性じゃない?」

妻「榊原良子さんみたいな?」

私「ハマーン様クシャナ殿下!異存なし!」

妻「じゃあ別腹様は?」

私「ん~・・・池田秀一さんかな?」

妻「まだだ・・・まだ食い終わらんよ」

私「このシャトレーゼの糖質を侮ってもらっては困る!」

※注意:二人とも正気ではありません。

 

妻「味を見せてもらおうか、シャトレーゼの低糖質の、ケーキとやらを」

私「よくもそんなことが言える!味を知れ!俗物が!」

※注:二人ともぐでんぐでんです。

 

で、気付いたらちゃんとベッドで布団にくるまって寝てました。

エアコン効きすぎて寒かったんだと思います。

ちなみにこうなることは予想済みでしたので、壊れる前に(ワインを飲み干したタイミングで)入浴を済ませておいた我々に隙はありません。

ダイエット成功からのスマホ機種変で感動

どうも、坂津です。

↑この記事でも書きましたが、絶賛停滞中です。

「停滞は手痛い」なんてフザケテいる場合ではありません。

体重がちっとも落ちなくなりました。

こちらのグラフをご覧ください。

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右側になるにつれ、減り幅が少なくなっていますよね。

ゲンナリです。

 

なのですが。

 

実は、サイズダウンはきっちりできてました。

ウェストはマイナス15cmです。

きっとコレのおかげですね。

KEEP   EMS マッスルフィットネス MCF-1BK
 

もうかれこれ40日以上、毎日30分の使用を続けています。

でも電池の交換もジェルパッドの交換もしていません。

なんという威力。なんというコスパ

 

んで、ウェストに関しては日に日にベルトの余りが長くなっていったので実感していたのですが、ある日突然「おや?」と思った部分があります。

それは太腿まわり。

実はきっちりとビフォーを計測していたわけでは無いのですが、パンツの余り具合から推測するとだいたいマイナス6cmくらい。

もう新しいのを買うしか無いほど余っています。

 

妻「あれ?」

私「どしたの?」

妻「そのパンツ、そんなにブカブカだったっけ?」

私「んにゃ。前はピッチピチだったよ」

妻「だよねッ!?」

私「太腿もだいぶほそなった」

妻「けしからん!」

私「でも体重は停滞してるよ?」

妻「当初の目的はサイズダウンでしょ?」

私「んむ」

妻「ならもう目的は達成したようなもんだねぇ」

私「そうなのかな」

妻「では見事にダイエット成功を成し遂げた旦那に、スマホを買ってあげます」

私「マジか!」

 

というワケで、妻に「ダイエット成功」と見做みなされた私はついに、機能不全の旧型とオサラバできることになりました。

↑この記事でも書いたのですが、本当に大変な不具合でした。

 

・一度電源を切ると、なかなか電源を入れられない。

※電源ON作業を繰り返すと10回に1回くらいの確率で電源が入る。

BlueToothが繋がらない。

※カーナビと連動していたはずが、いつの間にか切れていた。それ以降は周辺機器をサーチしても何も見つからない状態。相手側の機器からこちらのスマホは表示されるけど、リンクができない。

Wi-Fiが繋がらない。

※海外出張に行くときは重宝していたのに、ある日突然まったく繋がらなくなった。Wi-Fi電波を探すためのスキャン実行画面のまま何時間経っても電波をキャッチできない子。

chromeが「ページを読み込めません」になる。

※特にはてなブログ。ページ全体が表示されるまで我慢できないようで、すぐに読み込めませんと弱音を吐きやがる。

・電池パックがすぐ膨らむ。

※4年間の使用中2回交換。それでもまた膨らんできてる。ダイエットしろ。

はてなブログのアプリと相性が悪い。

※PVグラフが表示されない。下書きしてある記事の編集ができない。他の方の記事が読めない。基本的にできることは完成している下書きを公開することだけ。

・新しいアプリに対応してない。

※面白そうなアプリ紹介の記事を読んでも、いざインストールしようとすると必ず「このバージョンには対応しておりません」と言われ続ける。

・位置情報が更新されず、ずっとその場に居ることになってる。

※パズドレ(パズドラレーダー)という移動式のモンスターゲットアプリ(ポケモンGO的な?)で、起動した位置からどれだけ進んでも端末が移動したことにならない。毎回アプリを終了して再起動しないと現在位置が更新されない。

 

 

妻「と、いうわけで。これが最新機種のカタログです」

私「うお!なんて用意周到な!」

 

妻は背後から7~8冊のカタログを取り出し、渡してくれました。

昼間の内にショップへおもむき集めてきてくれたのでした。

 

私「ん~・・・これだけあるとすごく悩むねぇ・・・」

妻「別に急ぐことじゃないからゆっくり決めてね」

私「ふむ。まずコレとコレは無し」

妻「お、消去法だね」

私「コレらは次点として保留・・・」

妻「うんうん」

私「あー、結局コレとコレの2択だなぁ」

妻「ほほう」

 

画面のサイズやカメラの性能、カラーバリエーションなどの様々な条件を考慮しつつ選ばれし2択です。

Galaxy S8+』と『AQUOS R』でした。

ちなみに私が使っていた旧機種はGalaxy S3です。

同系機であれば基本操作やキーの配置などが変わらないので、操作を覚える手間が要らなくなります。

しかし私には旧機種の不具合の多さに対する不信感という足枷あしかせが付いていました。

 

私「よし、決めた」

妻「聞こう」

私「ドゥルルル・・・ドゥンッ!(ドラムロールのつもり)」

私「私の新しい相棒は・・・アクオスである!」

妻「知ってた(笑)」

私「え?」

妻「ほら」

 

よく見るとアクオスのカタログの済みに「旦那とおそろい」と書いてありました。

 

私「ふぁ!?」

妻「私も一緒に変えるから」

私「ふおおおおおおおッ!!!」

 

私の選択が読まれていたという驚愕と、妻とお揃いのスマホを持つという狂喜が織り混じった何とも言えない感情が溢れ出し、とりあえず私は踊りました。

 

妻「何その動き」

私「分かんない。分かんないけど何か動かなきゃ消化できない」

妻「晩御飯を?」

私「ん~ん。気持ち」

 

そんなこんなで翌日、私たちは機種変に臨みました。

もともと休日はショップが混み合うだろうという予測から、ショッピングモール内にテナントとして入っているお店なら穴場なのではないかと当たりを付け、いざ出陣。

 

『当店では、休日の機種変更は承っておりません』

 

なんじゃそりゃーッ!!

そんなことあるのかッ!

 

妻「ダメ元で、ショップに行ってみる?」

私「うん。行ってみゆ」

 

もう機種変する気満々だった私は、今日を逃したら金輪際チャンスは無いくらいの勢いでした。

 

が。

 

『機種変更のお手続きは予約制で、再来週まで埋まっています』

 

なんじゃそりゃーッ!!!

んなことあんのかぁー!!

 

妻「参ったねぇ」

私「ヤダヤダ欲しいようスマホ欲しいよう」

妻「ワガママ言わないの!しょうがないでしょ!」

私「いーやーだ!ほーしーい!」

妻「・・・じゃあ、最期の手段ね」

私「聞こうか(`・ω・´)キリッ」

妻「電器屋さんに行ってみよう」

私「天才かッ!」

 

そして。

 

『ご希望の機種、ございます。すぐに機種変更手続きをされますか?』

 

モチのロンでございますッ!!

 

妻「良かったねぇ」

私「ありがとう!本当にありがとう!」

店「では、お二人とも機種変更ということですね?」

妻「はい。お願いします」

店「それでは運転免許証などの身分証明証をお願いします」

妻「はい」

私「え?」

妻「え?」

店「・・・」

妻「持ってきて無いの?」

私「・・・お、おう・・・」

 

この日、妻の車で妻の運転でお出掛けしておりました。

つまり私は何も持っていないのです。

財布も家の鍵も、もちろん免許証も。

私が私であることを証明できるのは唯一私自身の記憶のみ。

私の記憶の連続性だけが私を私たらしめる・・・

 

妻「呆れたぞ」

私「ご・・・ごめんなさい・・・」

 

機種変なんてもう何年もやってないので身分証明証が要るなんてことすっかり失念していましたよテヘペロ

 

店「身分証明証が無いと、さすがにお手続きができませんが・・・」

私「ですよね・・・」

店「奥様の分だけでも手続きしておきますか?」

妻「進められるところまで進めといてもらえますか」

私「?」

店「かしこまりました」

妻「取ってくるよ、免許証」

私「ッ!!」

妻「旦那はここで待っててね」

私「神か!いや、神だ!」

 

妻は自宅まで往復1時間をかけ、私の免許証を取りに戻ってくれました。

「今日じゃなくても良いじゃん」「てめぇが忘れた尻ぬぐいをなぜ私が」と私を責め立ててもおかしくない状況で、この神対応

好きだ。

 

という経緯で私はようやく最新スマホを入手できたのでした。

 

そして。

 

妻「旦那ぁ、やっぱ新しいスマホ、良いわ」

私「ん?ラブやんのも調子悪かったん?」

妻「うん。実はそーなの。充電とか1時間もたなかったし」

私「マジか!よく我慢してたね」

妻「うん。だから、ダイエット成功してくれてありがとう」

私「(´;ω;`)ブワッ」

 

全坂津が号泣しました。

 

 

 

Tシャツ

どうも、坂津です。

ついに来ましたね、この季節このお題。

 

今週のお題「ちょっとコワい話」

※それほど怖くないですが、念のため怪談が苦手な方はバックしてくださいね。

 

大学生のときの話です。

入学したばかりの頃。

私が通った大学は地元と言うわけでもなく、知り合いが誰もいない状態でした。

しかしすぐに声をかけて来た奴が居ました。

 

「え?君もミレーヌが好きなの?」

 

どこからどう見ても完全にオタク武装の男がニヤニヤしながらこちらを見ていました。

こちらから話し掛けたわけではないのに、「え?」から始まる意味が分かりません。

 

(は?何コイツいきなり話し掛けてきて超キモイんですけど)

 

と思いつつ、しかしそんなことを言えるはずもなく。

私は無難に会釈しながら、「いや、そんなに・・・」と答えました。

 

「いやいやいや。さすがに好きじゃなきゃそれは着れないでしょ(笑)」

 

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そう、このとき私はこんなTシャツを着ていたのです。

マクロスセブンというアニメに登場する、ミレーヌというキャラクターがプリントされたものでした。

しかし誤解を恐れずに言うのならば、私は当時このマクロス7を観ていなかったし、ミレーヌに対しても特別な好意を寄せてはいませんでした。

 

現在は改名、統合など様々な経緯を経て『C3 TOKYO』という名称になっているガレージ・キットやおもちゃの展示会が、まだ『JAF-CONジャフコ ~Japanジャパン Fantasticファンタスティック Conventionコンベンション~』という名で開催されていた頃。

東京国際展示場ビッグサイトがまだ無く、晴海の旧国際展示場で開催されていたそのイベントに、私は毎年夜行バスで駆け付けておりました。

イベント会場内は非常に人が多く、まさに芋洗い状態。

特に人気のブース前などは買い物をするのも一苦労でした。

そんな中、私はこのTシャツを購入したのです。

なぜ購入したのかと問われれば、たったひとつのシンプルな答えしかありません。

 

「間違えた」

 

折り畳まれたシャツのプリントの、ごく一部しか見ずに購入したのです。

ご覧いただければすぐお分かりになると思いますが、ミレーヌはピンク髪です。

私が本当に欲しかったのは、こっちのピンク髪でした。

 

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万能文化猫娘という作品のヒロイン、NK-1124 夏目温子こと、ヌクヌクです。

※私がいかにヌクヌクが好きかを書いているのはこの記事です。

 

一日中会場を歩き回り、ヘトヘトの状態で帰路につきました。

帰りは新幹線です。

家に帰るまで待てない私は、新幹線の中で戦利品を開封していきます。

そして、本来ヌクヌクであるはずのTシャツを広げたとき、目の前に立ちはだかったのがくだんミレーヌでした。

 

「うおっ誰だキサマ!」

 

しかしこれは100%私の落ち度。不手際。ミス。間違い。

きちんと確かめなかった自分の不注意と軽率を戒めるため、私は敢えてこのミレーヌTシャツを着用することにしていたのでした。

 

 

つまり私が「自らに課した刑罰」として着用していたTシャツに、まんまとおびき寄せられたのが彼というわけです。

こんな経緯から仲良くなり、友人になった彼ですが、この出会いから数週間後、亡くなりました。

交通事故です。

 

その事故の、前日のことです。

私たちはいつもの時間いつもの場所でオタクトークに花を咲かせていました。

 

「だから、今は自分で簡単にTシャツが作れるんだって」

「マジで!?」

「そう。アイロンプリントの用紙も売ってるし」

「そうだったのかぁ・・・」

「だから坂津は画像だけ用意しろよ」

「い、良いのか・・・?」

「もちろんさ。明日、ウチに来いよ」

 

当時、まだ携帯すら一人に一台ということも無かった時代です。

そんな中、彼はパソコン、プリンタ、スキャナを完備しているハイレベルオタクでした。

私が本当はヌクヌクのTシャツが欲しかったということを知った彼は、クオリティを問わないなら自作できると教えてくれた上に、一緒に作ってやると言ってくれたのです。

Tシャツにしたい画像さえ用意すれば、それで作れるのだと。

まだインターネット経由で画像を用意できるような環境ではありませんでしたので、雑誌の切り抜きや下敷き、本の表紙などをスキャニングします。

必要な部分だけを切り抜いたりする作業は非常に面倒ですが、それもこの友人がやってくれると言うのでとても助かりました。

これに乗った他の友人たちも、それぞれが思い思いのアイテムを用意して翌日を迎えました。

ちなみに私はヌクヌクの下敷きを持参しました。

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しかし。

 

彼は学校に来ませんでした。

登校中に、事故に遭っていたからです。

ですがその時には私たちはその事実を知りません。

体調不良だろ、くらいに思っていました。

でも翌日も来ませんでした。

そこで私たちは彼の家に行くことにしました。

風邪で寝込んでいたりしたら可哀相なので、栄養ドリンクなどを買い込んで行きました。

 

が。

 

「君たち、泰樹の友達かい?」

 

見知らぬスーツ姿の男性が、彼の部屋から出てくるところでした。

男性は友人のお兄さんでした。

そして私たちはここで、友人が亡くなったことを聞かされました。

あまりに突然のことで、全員ただ狼狽することしかできずにいました。

そしてお兄さんから、葬儀は遠方にある実家で行うので参列は難しいと思うが、この部屋を引き払うときに是非来て欲しいと言われました。

私たちはそれを承諾し、モヤモヤした気持ちでその日までを過ごします。

 

そして1週間くらい。

 

友人の部屋を引き払うため、ご家族が来られていました。

私たちが訪ねるともうすでに家具などの大物は運び出されており、部屋の中では洋服をビニール袋に詰めたり小物を段ボール箱に入れたりする作業が行われていました。

大学進学を機に実家を離れ、一人暮らしを始めて数ヶ月のタイミング。

ご家族が把握していない荷物はほとんど無かったようです。

しかし明らかに「こちらに来てから部屋に追加されたもの」だけを入れた箱がひとつ、玄関に置かれていました。

 

「この中のものは、私たちがよく分からないものです。泰樹の思い出に、皆さんで持っててやって頂けませんか?」

 

こんな経緯で、私たちはそれぞれ、自分が欲しかったTシャツを手に入れました。

あの日、皆が手に手に持ち寄った画像がアイロンプリントされたTシャツを。

 

「なんだ、あいつ作ってくれてたのか」

 

「これ背景を切り抜くの大変だっただろうな」

 

「俺、大事にするよ」

 

「・・・おいちょっと待て・・・」

 

「・・・これ、いつ作ったんだ?」

 

そもそもあの日、私たちはアイロンプリント用紙に印刷までを行い、シャツの用意とアイロン圧着は各自が行おうと言っていました。

この場に完成品があること自体、オカシイのです。

更に、みんなが用意してきた画像を、彼が知るはずもありません。

みんなが素材を持ち寄ったあの日あの時間、彼はすでに亡くなっていたはずなのですから。

 

色々と協議した結果、全てのシャツを私が持って帰ることになりました。

もちろん、ご家族には「一人ずつ戴いて大事にします」と言いました。

ですが「やばい」「怖い」「泣きそう」「捨てるに捨てれない」という友人たちの精神的緊張を緩和するためです。

 

怖いというよりも、少し不思議な体験でした。

 

ちなみにそのTシャツはいつの間にか紛失してしまいました。

引っ越しの最中に間違って捨ててしまった説が有力なのですが、私は絶対に捨てませんし、作業を手伝ってくれた家族も捨てていないと言い張ります。

たたんで引き出しに、ではなくハンガーで吊るしてクローゼットに入れていたので、無くしてしまう可能性はすごく低いと思うんですけどねぇ。

 

コクヨ インクジェットプリンタ用紙 アイロンプリントペーパー A4 5枚 KJ-PR10N

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